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地獄の門  作者: 赤城康彦
29/31

人魔決戦 八

 影からの叫び。独鈷杵は素早く楓太郎の腕に戻り。それと同時に楓太郎は駆けた。黒鬼が立ちはだかる。

「邪魔だッ!」

 独鈷杵の赤い光ひらめき、あっという間に袈裟懸けに黒鬼を斬り殺す。独鈷杵の力と楓太郎の心とが呼応しあって、互いの力を引き出しあっているようだった。

 しかしその時には、黒い影、地獄の門から魑魅魍魎がどっと溢れ出し。楓太郎に襲い掛かり。村人たちやお品、妙蓮坊はこれはいかんと逃げ出す。

「妙蓮坊さま、楓太郎が!」

「やむをえぬ。じゃが、楓太郎を信じるのじゃ!」

 村の天は魑魅魍魎に呼応してか途端に分厚い雲が太陽を隠して覆い。まるで夜にでもなったかのような暗さであった。

「おおおッ!」

 魑魅魍魎は楓太郎と取り囲んで、一斉に襲い掛かったが。楓太郎も怖じることなく、帝釈天の独鈷杵を振るい、閃かせた。

 そこは途端に血風吹き荒ぶ修羅場と化した。 

 帝釈天の独鈷杵閃くたびに魑魅魍魎どもは血しぶきをあげてたおされてゆく。それでもひっきりなく楓太郎に襲い掛かり。そのたびに独鈷杵の光増し、魑魅魍魎を血祭りにあげてゆく。

 地は血でぬかるみ。魑魅魍魎の屍で埋まる。それを踏み潰しながら、楓太郎は独鈷杵を振るい続けた。

 常人ならばまたたく間に肉塊にされているこの修羅場で楓太郎は襲い掛かる魑魅魍魎をことごとくたおし。まるで帝釈天が乗り移ったかのようだった。

 その顔は、鬼神のようであり。人が見ればそれだけで小便を漏らしそうな気迫があった。

「どけどけッ!」

 楓太郎は魑魅魍魎をたおしながら、覇偉栖へと駆けた。この男をたおせば、魑魅魍魎も消え去るかも知れぬ、と。

「赤葉楓太郎、いや、帝釈天。それほどまでの力とは」 

 黒い影に包まれて、覇偉栖はうめいた。いかに数の力にまかせて魑魅魍魎をけしかけようとも、いたずらに犠牲をふやすだけであった。

「死なぬ。私はひとりでは死なぬぞ!」

 その叫びがあがると、黒い影はだっと駆け出す。その先には、魑魅魍魎を薙ぎ倒す楓太郎。

「楓太郎よ!」

 黒い影は魑魅魍魎をどかしながら楓太郎に迫る。

「おおッ!」

 楓太郎も独鈷杵を閃かせて、腕を伸ばし突きの構えで影に迫れば。光は影を貫き。影、地獄の門から血が溢れる。

「佐久璃覇偉栖!」

 楓太郎は叫んだ。

「地獄に落ちろ!」

腕に力を込めて、影を貫き通そうとする。その腕を、黒い影は吸い込もうとする。

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