表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地獄の門  作者: 赤城康彦
26/31

人魔決戦 五

(どうする)

 阿修羅と赤鬼の攻めをかわしながら、楓太郎は考えた。両方一緒に相手にしてもだめだ。どちらか一方に集中せねば、と考えた。

 そうと決まれば狙いを赤鬼にさだめて、迫り来る八つの拳をさけながら、しきりに赤い腕の動きを注視する。

 その時、脳裏に閃くもの。

 赤鬼の拳が迫るが、楓太郎は避けようとせず。真正面に立って独鈷杵を突き出せば。

 まるで独鈷杵の赤い光に誘われるように、吸い込まれるように、赤鬼の拳は迫った。それを見るとともに、脚を浮かせて跳躍する。

 赤鬼の拳は独鈷杵の赤い光が深々と突き刺さる。それと同時に、阿修羅の拳が迫り。楓太郎の脇にぶつけられ。吹っ飛ばされて地に叩きつけられてしまった。しかし先に足を浮かせて跳躍していたので、打撃の痛みはそれほどでもない。と言いたかったが、口から血が溢れて、ごぶ、と吐き出される。

 赤鬼は拳を刺された痛みでややひるんだが、痛みが怒りに変わって、起き上がろうとする楓太郎へ蹴りを食らわそうとする。

「う、く」

 うめきながら、咄嗟に蹴りを交わしながら立ち上がる。独鈷杵はしっかりと手に握っている。赤鬼の拳に赤い光が突き刺さったとともに、光を鎮めたので阿修羅の拳を食らっても手放さずにすんだのだ。

 再び赤い光を出し。迫り来る拳に脚を交わす。

 しかし赤鬼の動きはやや遅くなっている。拳を貫かれた痛みのためかもしれぬ。

「でかい奴めが!」

 楓太郎は一喝し、阿修羅を無視して赤鬼に迫った。赤鬼も受けて立つと迫った。拳が迫る。それをしっかと見つめて。咄嗟に頭を下げて身をかがめた。さすれば、赤鬼の股間が迫る。さらに身をかがめて、腕を少し上げて独鈷杵を掲げれば。

 楓太郎は赤鬼の股をくぐり、それとともに独鈷杵の赤い光は赤鬼の股下からへそまでを切り裂いたではないか。

 これには赤鬼もたまらず、

「ぐおお――」

 と叫んで、倒れてのたうちまわり。のたうちまわれば、切り裂かれた部分から血が、はらわたが溢れ出る。

 咄嗟にのたうちまわる鬼の首元までゆき、首を叩き斬ろうとすれば。阿修羅の脚が迫り、「ちっ」と舌打ちしながらさければ。

 阿修羅の脚は楓太郎ではなく、赤鬼の顔面を踏み潰してしまったではないか。

「味方を、なんて奴だ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ