第2話 本性もとい秘密
何かまだプロローグみたいな感じです・・・
主人公の口調が定まらない・・・
テラスに出て空を見上げると、赤い満月が出ていた。
地球では絶対にありえない色。
ふいにシェイリアが口を開いた。
「何か用ですか。ラナ様?」
後ろをチラリとも見ずに、シェイリアはいつの間にか後ろにいた少女に声をかける。
声をかけられた少女はそのことに驚いた様子をみせずに、寧ろ当然かのように不敵な笑みを浮かべた。
「相変わらず凄いわね。気配を上手く消したつもりだったのだけど」
「普通に分かるって。全然気配消せてないし」
そういってニヤリとしたシェイリアは、先程とはまるで別人だった。
私、シェイリア・レイデンワースには生まれた時から所謂前世の記憶っていうものがあった。
前世では平穏な女子高生をやっていて、適当に生きてきたんだけど、ある日車に轢かれて呆気なく死んだ。
其れで次に目が覚めるとテンプレすぎる異世界に転生していたというわけ。
異世界に来たら絶対に、ギルドにいって冒険者になるって決めていたからなるつもりだったのに・・・。
なんと転生先は侯爵令嬢だったのだ!
貴族って、お金持ってるし、楽できるし、お金持ってるけど、それじゃあ冒険者になれないじゃないか!!
そう考えた私は、まず強くなろうとした。強くなって、大きくなったら冒険者になろうと。
それから私は、暗殺を始めとする武術を片っ端から極めていったのだ。
家族に本当の事をいったら卒倒しかねないので勿論内緒で。
そのおかげ?で演技力もかなり上がった。17年間見破られたことは無い。
因みに皆から見た私は、素直で、少し病弱な良い子という設定だ。
「それにしても貴女の演技力にはいつも驚かされるわ。私も演技じゃないと知っていなかったら絶対騙されるわよ」
ラナは私の親友で、こうやって本性を出して話せる一人だ。
「暗殺者の端くれなんだし、これくらい出来ないとね」
「暗殺者って・・・まあ、事実といえば事実ね」
私の言葉にラナは苦笑する。
「其れより何の用だったわけ?」
「あら?貴女が何やら令嬢たちと楽しそうなお話をしていたから来てあげたのに」
ちっ。此奴絶対楽しんでやがるな・・・
「王妃ですって?良かったじゃない。貴族の令嬢としては大変名誉なことよ」
「私はこれっぽちも嬉しくないし、事実無根なんです」
「でも貴女の持っている力を知られたら、絶対に王妃にさせられるわよ」
それを訊いて、思わず舌打ちしたい気分になる。
冒険者になるためにと頑張っていたのに、裏目に出るとは誤算だった。
絶対にあの事はバレないようにしないと・・・
「でもまあ、その前に家を出て冒険者になるからいいけど」
貴族の娘は大体10代後半には結婚する。20歳になると所謂いき遅れになり、家の恥になるのだ。
現在17歳な私は、結婚適齢期だ。だから、どっかの誰かと結婚させられる前に家を出ないといけない。
「精々頑張りなさい。まあ、無理だと思うけど」
そういってニヤリと笑うラナ。
何か嫌な予感がする・・・
ラナの意味深な笑みの意味を、後に知ることになる。