第1話 夜会で
取り敢えず簡単に書きました。
気持ちいい夜風が吹き、王宮の中を駆け抜けている。
此処、【バルベルト王国】の王宮では、貴族たちによる夜会が開かれていた。
皆煌びやかな衣装に身を包み、ダンスを踊ったり、会話を楽しんだりと様々だ。
その中で一人、一際異彩を放っている青年がいた。
20代前半位で、肩までの黒髪に切れ長の碧眼。少し冷たい印象を受けるが、かなりの美貌の持ち主だ。
其の青年を、多くの令嬢たちが熱い視線で見ていた。
「アレス様は本当に美しいですわね」
「ええ、流石はこの国をまとめ上げた歴代最強の国王様ですわ」
アレス・ラークレス・バルベルト。
この【バルベルト王国】の国王で、さっきから多くの視線を集めている青年でもある。
アレスは弱冠14歳の時に即位してからの様々の功績を残し、今や歴代最強とまで言われる様になった。
そんなアレス王の年齢は現在23歳。結婚するには少し遅すぎるくらいだ。だが王妃がまだいないという事で、誰が王妃になるのか令嬢たちの間で注目の的だった。
最も、王妃になるにはある条件がいるのだが。
「シェイリア様は誰が王妃になられると思いますか?」
「王妃ですか?やはり私とは比べられないくらいお綺麗で聡明な方がなると思いますわ」
国王を遠くから見つめていた少女―――――シェイリアは、屈託のない笑みで答える。
「そんな、シェイリア様は十分お綺麗ですわ。それに王妃になれる条件を満たしているんでしょう?」
令嬢たちは興味心を瞳にチラつかせながらシェイリアを見る。
「ですが、アレス様は"光の精霊王″と契約している方。私などが王妃なんて無理ですわ。それに私はこうやって遠くから見つめるのが一番好きなのです」
儚げな表情をみせるシェイリアに、他の令嬢たちは思わず守ってあげたくなるような衝動に駆られた。
この世界は精霊と人とが共存して暮らしている。
精霊にも階級があり、″光の精霊王″は精霊の頂点に立つ精霊王の一角。
その″光の精霊王″は代々この国の王族と契約をしており、アレス王は″光の精霊王″と特別に相性が良く、それも最強たる所以だ。
「そういケホッ、コホッ・・・」
シェイリアが違う話をしようとした時、急にせき込んだ。
周りの令嬢がとたんに心配そうな顔をする。
「シェイリア様大丈夫ですか?お体が良くないのに無理したからでは?」
「そうですわね。少し夜風に当たってきます」
「ついていきましょうか?」
「大丈夫です。少し外すだけですので」
そういって、シェイリアはテラスの方へと足を運んだ。
次回、主人公の本性が・・・
というか、さっきの誰?レベルです。