表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

僕が水死体になったワケ

コメディ成分抑え目で、ヤンデレ注意です。一応人が死にますので苦手な方はご注意下さい。

「じゃあお兄ちゃん、二次元に行けるアイテムもしくは能力、見つけてきて」


 そんな一言から、僕が行動を開始してはや三日。万策尽きた僕は、河原で空を見上げていた。


「そう簡単にできるもんじゃないよな……」


 妹の言葉を聞いた僕はすぐさま自分の部屋に戻って、とりあえず携帯ゲーム機の画面を割ってみた。

 一機目は普通に割って、手から入れないものかと試してみた。失敗。

 二機目は電源を付けたままで割って、感電しそうになった。失敗。

 三機目はスクリーンだけを取り外してみた。コードが指に絡まった。失敗。


「ネットもこんなことじゃ頼りにならないしなぁ」


 某掲示板にスレ立ててみたりもしたし、過去の投稿も全部チェックした。書かれている方法は全て試してみたけど、やっぱり上手くいかない。

 そもそも、僕自身は二次元に行きたいとかそういう夢は持ってないんだ。妹がいる現実だけで十分満足してる。だから、「行きたい世界を心に描いて──」とか当然無理だし、「自分の嫁の名前を十回繰り返す」とか言われても、妹の名前以外思い浮かばない。


「だから……最後の手段だ」


 そのために僕はここまで来た。

 僕という人間に不可能なことなら、人間よりも高位の存在──神様とか?──を頼るしかない。そのことに思い当たるまで三日もかけてしまった僕は、馬鹿だ。


「手っ取り早くそういうのに会うには、死ぬのが一番簡単だよな」


 もし僕が死んだことで……。


『お兄ちゃんがいなくなって、気づいたの。どれだけ大切だったのかをっ……!』

 とか言って、僕の死体を抱きしめてくれれば、むしろそっちで僕は昇天できる。


『お……にいちゃん……?

死んだ、なんて嘘だよね?』

 とか言って、僕の死体をナイフでぐさぐさ刺してくれればそれで本望だ。ヤンデレ妹、万歳。


 ようするに、死ぬことは大した問題ではないのだ。問題は、方法。

 例えば首吊り自殺したところで、神様に会えるとは思えない。精々が悪魔とご対面というところだろう。僕は転生でもして、妹の弟にしてもらうつもりだから、それはいただけない。

 では、神様の元に行けそうな死に方はどんなものだろう?

 まず思いついたのは、焼身自殺。セルフ火炙りの刑だ。でも、現代社会でそんなことをすれば、すぐに見つかって通報されてしまう。というか、実行しようとしたら、準備段階で通報された。鼻歌混じりだったのがいけなかったのかもしれない。

 そして、次に思いついたのがこの方法だ。投身自殺。すなわち身投げ。

 神様への生贄とかは、水に沈めてたんだよな? そうそう死に損なうこともなさそうだし、これがベストだろう。心中しようとして連続で失敗した某小説家のことはひとまず置いておこう。僕が死ねれば良いわけだし。


「遺書はここらに置いとけばいいか」


 お兄ちゃん、妹の為にちょっくら逝ってくるよ! とだけ書いたメモ用紙の上に飛ばないように小石をセット。

 ……見つけてもらえるか不安だな。まあ、その時はその時だ。仮死状態で生き返るかもしれないし。

 楽観的な希望を胸に、僕はそろそろと水の中に足を踏み入れていく。流れが意外にも、かなり早い。でも、結構怖いな、これ。橋の上からとかにしとけば良かった。


「っていうか、冷たっ!」


 もう春とは言っても、まだ桜が咲いていないくらいには冬だ。膝までつかるほどの水は、刺すように冷たい。唇が紫色になってるだろうな。

 引き返して、橋から身投げパターンに切り替えようかと思ったその瞬間、足元からズルッと嫌な音がした。


「え──」


 左足が深みに嵌まって、体のバランスを崩す。運の悪いことに、顔を下にした態勢で。

 息が、できないっ!

 がむしゃらに手足を動かしてみるけれども、顔を上に向けられない。足が地面に着かない。水面がどこだかわからない!


 あ……ダメだ。確実に死んだな僕。

 目の前がブラックアウト。奇妙な確信とともに僕の体は沈んでいった。



兄はやっぱりヤンデレでしたという回です。好きな相手に被害が出ないヤンデレはなかなか無いような気もしますが、分類がよくわからないのでヤンデレです。


前回一話目を投稿したところ、1日で100アクセス近い接続があったようで、本当に驚きました。タイトルの偉大さを思い知った限りです。こんな駄作を読みに来て下さった皆さん、誠にありがとうございます。


感想、アドバイス、批評、などなどお待ちしております。長々と失礼しました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ