4月。家でのフゥーハッハッハッハ!! な事。
岡部ではない。俺の名は、鳳凰院凶真だ!!
さて。
なんやかんやあったが無事に今日も家に帰ることができた。玄関のドアは壊れてしまっているのでそのまま両手で持ち上げてから中に入らなければならない仕様となっていた。
「よっ……と」
ドアを持って家に入ってまたドアをはめ直した。大工さんか誰か呼んでドアを直してもらおうかと考えていたら居間のテレビから音がしていた。
この家にたった一人いる住人が何か見ているのだろう。そう思って居間を覗き込んでみた。
『正義のヒーロー、K☆I☆Z☆A仮面ここに見参!! 桜ヶ丘町の平和は、私が守る! フゥーッハッハッハッハッハ!!』
「フゥーッハッハッハッハ!!」
……あっれー。なんだろ。なんか俺と同い年くらいのめっちゃかわいい美少女が教育テレビの三流ヒーローを見てなんか、こう、真似しているよ?
アレだよ。一時のなんかこう、ストレッチするヒーローみたいに真似してた時期とかあったじゃん。あんな感じ。そして凄く……。
「フゥーっはっはっはっは!!」
痛い。痛いです。中途半端に似ているものだから余計に見ているこっちがつらい。あとそのマフラーどっから出した。
「フゥーッハッハッハッハ……あ、お帰りですマスター。なんだか出掛けている間に魔力のぶれを感じたんですけど、何かあったんですか?」
「気づいてたの!?」
なに? コイツ妖怪アンテナとか、そう言う類の機能があるの!?
「――……ああ、言い忘れていたが、魔人と魔導師にはちょっとした糸が結ばれている。魔導書と同じ原理と考えてもらってかまわない」
「先に言えよ」
じゃああの時助けを呼べば早かったんじゃね?
「それはまあ、キミの観察力不足と注意力不足、あと知的好奇心の不足といったところか。どちらにせよキミ自身が招いた結果だ。別にどうということにはならなかった――ぐぉっ!?」
ちょっとイラッとしたので瓢さんからもらった不思議なブックベルトをきつく結んだ。
「マスター」
思いっきりきつく結んでいると目の前の魔人がこちらを見据えていた。
「今日、学校で何かあったんですね? ――話してください。何があったんですか?」
さて、どうするか……。
とりあえず、ここは隠しておいた方が良いかもしれない。
下手に事実を話すとどんな反応をするか分からないし。触らぬ神になんとやら、だ。
「……いや、何も」
「…………マスター」
彼女は少し俯いて、
「何かあったら、『来い』と一言言ってくださいね? いつでもそこに駆けつけますから」
「一言、って言われても……俺、お前の名前わからねぇし」
あ、と言った感じで彼女は口に手を当てる。「しまった!」といった具合に。
「そうでしたねマスター。私の名前をまだ教えていませんでした」
改めて考えると彼女の名前は何なのか。第一呼ぶ名前がなくては助けを呼ぶこともできない。
「そう言えば名前、なんてーんだ?」
「はい、私の名前は――」
「ストップだ、二人とも」
自己紹介をしようとしたとき、急に魔導書が声を上げる。
「何だよ、ベブズ」
「悪いが、客人のようなのでね。……二人きりの世界に入っていたときに、やってきたようだ」
「客?」
すでに夕方。こんな時間にやってきたのは……。
「ふむ。やはりドアが外れているな。大丈夫か?」
ドアを壊した張本人が家にやって来た。しかもなんだか手土産を持って。
今回の没ネタ。
「フゥーっはっはっはっは!!」
痛い。痛いです。中途半端に似ているものだから余計に見ているこっちがつらい。あとそのマフラーどっから出した。
「フゥーッハッハッハッハ!! フゥーッハッハッハッハ!!」
ちょ、一体いつまで……。
「さぁ、俺と一緒に世界の支配構造を変えていこうではないか!」
え、ちょ!?
「さぁ、皆さん、ご一緒に!! フゥーッハッハッハッハ!!!!」
『フゥーッハッハッハッハ!!!!』
「どっから沸いて出てきたこのカルトな集団!」
――Eru Pusai Konguru.――




