プロローグ シュオーマ王国の歴史
初めまして、作者の野間口です。
今回は本格的なファンタジー作品を書いてみました。
ジャンルとしては“建国ファンタジー”って所かな?
ではでは、前書きはこの辺にして、早速ですが本編の方をどうぞ!!
シリラム大陸南西部
シュオーマ王国
この国は“王国”だが、王はいない。
貴族もいない。
役人もいない。
いるのは……民のみ。
今から10年前……
このシュオーマ王国は、近隣のヒンバー帝国と戦争を起こし、敗れた。
完敗だった。
完璧社会主義のヒンバー帝国は、シュオーマ王国の国王、その家族、その他国政を任されていた貴族、役人等の完全抹殺を実行。
シュオーマ王国第26代国王、ハリバーン=セルネーラ他、シュオーマの全貴族役人は処刑された。
だから今、このシュオーマには民しかいない。
国を治める者がいなければ、国は乱れる。
国のあちらこちらでは強盗が跋扈し、弱き者から全てを略奪する。
国の王がいなければ、司法は成り立たない。
つまり、国王がいないため、国の法律が意味を成さなくなる。
罪を犯した者を、法律に従い処罰を与える者がいないのだ。
役人は抹殺されたから。
人を殺しても、罪にならない国。
シュオーマは荒れ果てていった。
ヒンバー帝国は、貴族役人の抹殺を終えた後、シュオーマの統治権を放棄。
他の国も、この荒れ果てた国など欲しがらない。
シュオーマの民は飢餓に苦しんだ。
たとえ作物を作っても、強盗に持って行かれるだけだから。
強盗に反抗しよう物なら、その場で虐殺。
もう、民は他の民から物を奪う事で生きながらえる。
何なら、構わず人を殺す。
そんな国。
シュオーマは荒れ果て、そして……
この国は、滅亡を迎えようとしていた。