ep202:もち粉と黒紫米粉の団子
異世界の調理は、魔法が使えるから現実世界よりも楽だ。
もち米を手に入れた僕は、餅をつくより簡単な団子を作ってみた。
材料は、もち米と水があればいい。
もち米を粉砕魔法でパウダー状にしてもち粉を作り、水を混ぜて捏ねればモチモチ団子ができる。
ぼくは今回、そこに黒紫米を粉にしたものも混ぜてみた。
二種類の粉と水を混ぜて捏ねて、耳たぶより少し硬いくらいにする。
一口サイズにちぎって丸めて、沸騰したお湯で数分間、モチッとするまで茹でて完成。
(なんか、見た目が蒟蒻みたいだな)
茹で上がった団子を見て、僕は思った。
この艶といい、色といい、黒い粒の混じり具合といい、蒟蒻にソックリだ。
しかし、一つ食べてみるとモチモチしていて、蒟蒻とは違う。
味も蒟蒻ではなく、餅や団子と同じだった。
……っていうか、もち粉と米粉から蒟蒻が爆誕したら、何事かと思うよ。
この団子にあんこやきな粉をまぶせばスイーツになるが、今日はお惣菜にしよう。
ありあわせの野菜と肉を炒めて、水を入れてアクとりしながら煮て、茹でた団子を入れて、智之氏から貰った合わせ味噌を入れてしばらく煮込んで、モチモチ団子入り味噌汁の出来上がりだ。
イメージ的には、とん汁に団子を入れたみたいな。
団子の見た目が蒟蒻なのは、気にしてはいけない。
日本のあちこちにある、汁物に小麦粉の団子を入れる料理の応用的なものだ。
すいとんの小麦粉を餅粉&黒紫米粉にした感じかな。
「このお団子、凄く柔らかくて滑らかね」
もち粉の団子を初めて食べたリュンヌ様は、すぐに食感の違いに気づいた。
今まで、ぜんざいなどで使ってきた小麦粉の団子は、ここまで柔らかくはならなかったからね。
小麦粉はグルテンの弾力、もち粉はアミロペクチンの粘りがある。
その違いが、団子の食感の違いになっていた。
「もち米の粉から作った団子です。小麦粉の団子とどちらがお好みですか?」
「こっちの方が柔らかくて好き」
リュンヌ様は、柔らかい団子の方がお好みらしい。
「このとろける柔らかさも良いですが、わたくしは小麦粉の団子の歯ごたえが好みですわ」
「どちらも好きだけど、片方を選ぶなら小麦粉のムチムチしたのが良いわ」
ヴィオレット様と王妃様は、グルテンの弾力がお好みのようだ。
っていうか夕飯もこちらに来てらっしゃるけど、料理長はディナーを作っていないのだろうか?
「やあらかいの、すき」
ヴェルデュール様はもち粉の団子が気に入ったらしい。
「ふむ。この汁物には唐辛子が合いそうだな」
陛下は、食感よりも唐辛子を求めているようだ。
まあ確かに、とん汁には七味や一味が合うよね。
「お父様、唐辛子を入れたいなら自分のお部屋でどうぞ」
しかし、アレルギーのリュンヌ様の部屋は、唐辛子厳禁だった。
唐辛子を求める陛下は、スープボウルを抱えてスゴスゴ退室していった。
~~※~新作でWebコンテスト参加中!~※~~
◆見習い行商人ティミッドの旅日記
https://www.alphapolis.co.jp/novel/91317188/791081749
本作に登場する少年ティミッドの物語です。
第19回ファンタジー小説大賞
開催期間(投票期間): 2026.9.1(火) 〜 2026.9.30(水)
お気に入り登録、いいね、投票、よろしくお願いします。




