六色の仮面 ~見分けゲームと本気の修羅場~
第三話 修学旅行編 茉白エピソード(詳細版)
高校3年の秋、修学旅行が始まった。
蓮太郎の班は七人班で、虹野六姉妹全員と自分だけ。
陽菜のくじ細工が疑わしいが、誰も口に出さない。
バスの中で陽菜が提案した「変装見分けゲーム」が本格スタート。
六人は黒髪ウィッグ、同じメイク、同じ制服、名前札外しで完全に同一人物に見える。
初日、寺の境内散策。
六人がバラバラに近づき、行動と言葉でアピールしてくる。
蓮太郎は体型無視で、声の震え、仕草のクセ、視線の温かさ、匂いの微差、これまでの記憶を頼りに集中する。
1人目が静かに隣に立つ。
袖をそっと握る仕草が穏やかで控えめ。
声は柔らかく、少し懐かしい響きで、息を潜めるように優しい。
視線は床に落ち、袖の握り方が無意識に緊張を隠している。
匂いはふんわりとしたカーディガンの残り香で、静かな優しさを連想させる。
「蓮太郎くん……この寺の石段、覚えてる?
昔、誰かが迷子になって泣きそうだったよね……
私なら、あの時みたいに、手を差し伸べたいな♡」
蓮太郎の心臓が跳ねる。
袖握りクセ、声の優しい揺らぎ、匂いの独特な温かさ。
他の姉妹より穏やかで、懐かしい温度の視線。
これは……間違いない。
「茉白だろ?
あの時の約束、俺も忘れてないよ」
茉白は頰を赤らめて、そっと手を握る。
指先がわずかに震え、照れ隠しの微笑みが浮かぶ。
「正解……ご褒美は、夜にキーボード弾いてあげるね。
でも、他の姉妹も本気だから……私だけ特別じゃないよ」
その言葉に、蓮太郎は胸が熱くなる。
茉白だけが、他の姉妹とは違う「何か」を持っている気がした。
修学旅行の初日、彼女の視線が一番深く刺さった。
二日目、自由行動で六人は金髪ウィッグ・派手メイクに変装。
競争が激化し、修羅場感が増す。
茉白(金髪変装)は静かに近づき、袖を握る。
「蓮太郎くん……この景色、一緒に見よう?」
蓮太郎内心:茉白だ。袖の握り方、視線の温かさ、声の揺らぎが懐かしい。
他の姉妹の積極さとは違う、静かな強さがある。
「茉白だろ。一緒に」
茉白は微笑み、手を握る。
「……正解。ありがとう」
夕暮れのベンチで変装を解除。
六人が集まり、今日の振り返り。
陽菜明るく。
「最終日も見抜いてくれたね! みんなの本気、感じてくれた?」
凛髪巻きながら。
「……心軽くなったわ。ありがとう」
澪ぼそり。
「……データ通りじゃなかった。でも……嬉しい」
葵リストバンド叩き。
「悔しいけど楽しかった!」
紬メガネ上げ。
「……見抜いてくれた。それが……嬉しい」
茉白静かに微笑み、袖を握る。
「……蓮太郎くん、私の視線……少し特別に感じた?」
蓮太郎はみんなを見て胸が熱くなる。
みんなの本気は平等に熱い。
でも茉白の視線だけ、心の奥で違う何かを感じる。
あの懐かしい響き、袖の握り方……なぜか特別だ。
蓮太郎静かに頷く。
「……みんな特別だ。でも、茉白の視線……少し違う気がする」
六人は一瞬静まり、陽菜が笑って肩を叩く。
「ふふ、修学旅行はこれで終わり。でも、この想いは文化祭で決着つけるよ。
みんなで、蓮太郎くんを狙い続けるからね♡」
バスが帰路につく頃、蓮太郎は窓から夕陽を見ながら思う。
(この想い……文化祭で、どう決着がつくんだろう)
修学旅行は終わった。
六色の絆は、文化祭で新たな色を加える。




