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共鳴する婚約者は色を持たない  作者: 綾瀬(石)
第四章 ★リリズ視点★
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第36話 夜会

市壁内の一角にある石造りの門は、歴史的な価値がありそうな重厚な造りだった。その中にあるモダンな造りの建物。吹き抜けの2階の黒を基調にした壁に持たれつつ、リリズはグラスを傾けていた。


アッシュフォルデ家の夜会。


あれから。実家であるデヴロー家を後にし、カナリアとともにアッシュフォルデ家の後援者をあたった。二人とも剣技選手として知名度は上がっていたこともあってか、夜会に同伴することを了承してくれる企業が見つかり、俺達は夜会に紛れ込んだ。


1階を見下ろせば、カナリアが後援者に連れられ挨拶周りをさせられている姿がよく見える。お辞儀をするたびにズボンが破れそうだとか、肩が痛いだとか、俺が連れてきた手前なのか文句ばかり言ってくるから、俺は酔ったフリをして早々に見物にまわることにした訳だが。


そしてもう一人、柔らかな灯りに照らされたホールにはオーウェンも居る。リリズは時折、視界にその姿を捉えていた。


複数人の人に囲まれ、いつもの愛嬌のある笑みをたたえている。


ーー似合っていない

オーウェンに建前と欲にまみれた社交界は似合わないと思う。


だが、黒のタキシードにサテン生地のシャツはリリズにも初めて見る格好で、思わずまじまじと見てしまう。オーウェンの見た目はそれなりの格好をすれば悪くはない。むしろ板についていて、なぜかリリズにはそれが面白くなかった。


ハルメレイの没落、父の失踪、母の再婚。

すべて裏で糸を引いていたのが義父であるラザロだとわかっていてなぜ、何事もないように夜会に出ることができるのか。


理解に苦しむ一方で、そんな矛盾を飲み込み毅然とそこに立つ姿は愛おしく遠い存在にも感じられていた。

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