3.もう何も興味がない。
「そろそろ寝ますか」
今日は入学式で疲れましたね。明日からも学校ですし早めに寝ましょう。
ガチャ
「ん?」
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お兄ちゃんと昔みたいになりたい。さっきは家事を手伝いながら話をしようと思ったけど断られちゃった。こうなったらお兄ちゃんが寝てるとこに入り込んで一緒に寝てやろう!
待っててねお兄ちゃん!
ん?あれはママ?
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さっきは全然会話もできなかったわ。親子だというのにダメね。こうなったら一緒に寝ましょう。そうよ親子だもの。一緒に寝たっておかしくないわ。そして昔甘えられなかった反動から南も私を求めてきて…グヘヘ
待ってて南!今行くわ!
「ママ?」
ビク
「あら西もう夜遅いんだから早く寝なさい。」
「ママ、お兄ちゃんの部屋の前で何してるの?」
「何もしてないわよ。ただ一緒に寝ようとしただけで」
「なんで一緒に寝ようとしてるの!?おかしいでしょう!?お兄ちゃんももう高校生よ!?」
「いいじゃない!親子なんだから!高校生とか関係ないわよ!ていうかあなたもなんでなんで起きてるのよ!?まさかあなたも南にちょっかいかけようとしてるのね!?」
「ちょっかいって何さ!ただ健全な兄妹として一緒に寝ようとしただけですー!」
「それのどこが健全なのよ!高校生と中学生が一緒に寝るなんて兄妹でもおかしいでしょう!?あなたは大人しく1人で寝てなさい!」
「ママこそ大人しく1人で寝ててよ!」
ワーワーワー
……
「わかったわよこうなったら一緒に南と寝ましょう」ハアハアハア
「しょうがないからそうしてあげるよママ」ハアハアハア
「じゃあ行くわよ」
「うん」
ガチャ
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ガチャ
「どうしました?東さん西さん」
「南起きてたの?久しぶりに一緒に寝ようかと思ってね」
「お兄ちゃん久しぶりに家族で寝ようよ」
なんでしょうかいきなり。不気味です。
「いえベットも狭いので結構ですってなんでもう入ってきてるんですか?」
「大丈夫大丈夫詰めればいけるわよ」
「そうだよお兄ちゃん早く詰めて詰めて」
何故か流れで2人に囲まれて寝ることになってしまった。まあいい寝るだけです。さっさと寝てしまいましょう。
「ねえ南」「ねえお兄ちゃん」
「はい?」
「今まで構ってあげなくてごめんね。これからはもっと南のこと見てあげるから」
「お兄ちゃん、お兄ちゃんのことを信じてあげられなくてごめんね。これからはずっとお兄ちゃんの味方だから」
急になんなんでしょうか。みんな揃って。
「別に気にしてません。お二人も私を気にしないでください。」
「なんでそんなこと言うの?私たち家族じゃん!気にするのが普通じゃん!」
「そうよ。今までのことはごめんなさい。これから家族として仲を深めましょう?」
「そんなこと言われましてもね。本当に気にしてないので。気にしてないというよりもう興味がないといった方が正しいですかね?」
「「えっ?」」
「別に私は家族だからといった考えもありませんし、お二方にあまり興味がないんですよ。お二方だけではなく、他の人もですが何が好きか、どんなことをしてるかなども興味がなくて、何を話そうかも全然思い浮かびません」
流石にお二人が事故にあったり危険な目に遭ったら心配しますが別に何が好きか何をしたいのか今日何をしたのかなどは別に興味が湧かないんですよね。
「そ、そんな」ポロポロポロ
「ごめんなさいごめんなさい」グスグス
なんでお二人は泣いているんでしょう。
「申し訳ありません。何か不快にさせるようなことを言ってしまったでしょうか?」
「グスいいのよ。これは私たちが悪いんだもの。今日はもう寝ましょう。おやすみなさい」
「グスごめんねお兄ちゃん。なんでもないんだ。おやすみ」
「そうですか。ではおやすみなさい。」
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南がこうなってしまったのは私のせいだ。母親である私が南をちゃんと見てなかったから南が私たちを見限ってしまった。こうなったら嫌われた方が楽だった。もう興味がないまで言われてしまった。そこまで南を追い込んだ私のせいだ。こうなったらもう一度母親として認めてもらうしかない。認めてもらって私という母親を恋しくなるくらいに興味を持たせてやるわ。何年、何十年掛かろうとも!それが私の母としての役目なのだから!
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お兄ちゃんにここまで見限られていたなんて。苦しい、悲しい、辛い、逃げ出したい。でもここで逃げたら今までと一緒だ。こうなってしまったのは私の責任。だから私がお兄ちゃんをまた私に興味を持ってもらえるように!そして今度こそなるんだ!本当の仲のいい兄妹に!どれだけ時間がかかろうとも!私はいつまで経ってもお兄ちゃんの妹なんだから!
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どうしたんでしょうか。お二人とも急に。泣かせてしまいました。申し訳ないです。興味はないからといってお二人にはいつまでも笑っていてほしいですね。お二人が笑っていないと私が家族としての役目を果たせません。この家族という枠組みからも追い出されてしまっては私はどうなってしまうのでしょうか。私がこの人たちと家族でいるには「役に立つ」というところを見せなくては。