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2話
現代を生きる、駆け出していった姉妹たちの時代よりもそれは遥か遠い昔──。
厳粛な舞が今、幕引きをしようとしている。大切な妹のために舞う。様々な感情を押し殺し舞う、花霊々の舞は命を削る思いだった。
「姉さま……かたじけのうございまする。清は、花仕舞師にてあらせられる姉さまの妹として、まこと、面目に存じておりました。ただ……叶いますれば、われも……姉さまの如く……花仕舞師となりたうございました……姉さまのように舞いたい……それだけが唯一の心残り……」
清の目元に一筋流れる、か弱き光。
最後まで笑みを浮かべていた清が最後の瞬間に溢した、生への未練と、姉のようになりたかったという儚い夢。
姉の宿静が聞いた妹、清の愛情こもる終の詞だった。