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2話 ラス・南・ベガス『食人街』

3と4話の後に2話ができるってどういうことだよ えーっ?

5〜7話は同時公開される予定です

「数ヶ月前から町で多発している連続殺人の容疑でお前を逮捕する」



いきなりD.Fは警官にお縄をかけられてしまった。



「ちょっと待てや、今日初めてこの町に来たのに殺人ができる訳あるかあ」D.Fは弁明するが、効果は無かった。



「お前が犯人である証拠はない、それは認める」


「だがお前は危険人物だ、犯人と思われない理由があるか?」


D.Fは蔓延る悪が許せない性分で、そのせいでマフィアやゴロツキとの死闘を繰り広げる人生になったので、世間からの評判はサイアクだった。おそらくこのまま牢屋に行けば二度と出る事は不可能だろう。



「分かった、少しばかり猶予をくれ」


「俺が真犯人を見つけて捕まえる」




「───と言ってもどこを探せば見つかるのやら…とりあえず飯でも食うか」


腹の減ったD.Fは自分の置かれている状況も忘れ、路地裏のスパゲティ料理店に行く。


「ビールとナポリタンを一つ」D.Fはカウンターに座り、店主に注文する。



「まいど!うちの料理はお肉がおいしい事で有名でね、この『電動ローラー』の回転数を調整して肉たたきからスジの切断まで何でもこなしてるんだ、機械の絶妙な正確さがうまみを生み出すんだ」



「ふーん…」


D.Fはフォークを掴み、店主の首に投擲する。それは間一髪で躱される。



「調理場にある肉、この構造は人間のだろ」


「俺はそういうのに詳しいんだ、原形を留めないぐらいグチャグチャにするべきだったな」



「…見ない顔だと思ったが他所から来たのかい」


「バレてしまったもんは仕方ないね」


店主が電動ローラーの出力を最大にする。


「残念だが消えてもらうよ」



D.Fは脚を大きく踏み込み、距離を詰めて連撃を放つが、普段から狭い厨房を駆け回り料理を作り続けてきた店主にとってD.Fの攻撃を躱すのは容易かった。電動ローラーを横に一振りし、間合いを保つ。



「始まりは1年前、この町に疫病が蔓延していた時だ」


「発症すれば全身の毛穴という毛穴から血が噴き出し泡を吐いて死ぬからそれはそれは恐ろしくって」


「この町は貧乏でね、薬を買う金もないってもんだからみんな治療薬の治験に喜んで行ったんだ」


「治験の効果はあり、町に活気が再び戻った。だが致命的な副作用があった…それが"食人衝動"だ」



D.Fは店主の料理人として鍛えられた素早い手さばきで襲い来る電動ローラーを避ける事しかできず、逆にじりじりと逆に距離を詰められてしまう。



「人間を見るたびに人を食べたいという衝動に駆られ、外に出ることすらままなくなり、最終的には自らの肉を嚙み千切り死んでしまう」


「このままでは全滅は避けられなかった…だからくじ引きで外れを引いた町民やよそ者を町ぐるみで殺し、私がその肉を調理して皆に提供していたんだ」


「そういうわけだ、お前さんも肉になるんだよ」


電動ローラーがD.Fの左胸に突き刺さる。店主は勝ちを確信した。瞬間、自身の両脚に激痛が走り、立っていられなくなった。



「悪いな、持久戦は俺に合わないんでこうさせてもらったよ」


D.Fは心臓を金属製の胸骨で電動ローラーの斬撃から防ぎ、店主の一瞬の油断が生んだ隙を突いてローキックを放ったのだ。


「境遇には同情するが…俺にも捕まえなきゃいけない理由があるんだ」




・・・D.Fの報告が済んだ後、町は警察によって制圧され、住民達は政府が所有するバスの中に連れて行かれる。


「…治験を行った製薬会社は汚職や人体実験エトセトラを平気でやるそうだ、そこの社長の娘は警視総監の妻だから、俺たち下が摘発しても上は揉み消すだろうな」警官がぼやく。



「そうか…町の人達はどうなるんだ?」



「生産性が皆無であると政府が判断した。そのためバイオ・エネルギーに変えられる予定だ」



「そうか…」


D.Fは町を後にする。その町にはもう誰もいない。容疑は晴れて自由の身となったが、心は不自由なままだった。

2024/12/3

一昨日映画のジャワーンを観て思いついた話です、あの殴打面が回転する謎の武器はなんだったんやろなあ…

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