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AI屋台 第18話「命のお金」

作者: エドゴン

【1.序章】


大屋「俺は大屋。普通のサラリーマンです。母親と2人で暮らしていますが、お金はなく毎月ぎりぎりの生活をしています。」


母親「痛たた。」


大屋「お母さん、どうした?痛むの?」


母親「お腹の辺りが最近痛いんだよね。」


大屋「それは大変だ。病院に行って検査をしてもらおう。」


母親「一緒に来てくれる?」


大屋「まあいいけど。暇だし。」


大屋は母親と病院に行き、母親はレントゲンを撮ってもらった。そして医師に呼ばれた。


医師「レントゲンの結果を見たところ、大きな病気が隠れていますね。詳しい精密検査をしなければわかりませんが、」


大屋「精密検査をお願いします。」


医師「わかりました。とりあえず痛み止めでも飲んでおきましょう。」


【2.精密検査の結果】


精密検査が1日掛かりで行われた。


大屋「きっと大丈夫だよ。」


母親「そうだといいんだけど。」


そして精密検査の結果が出た。


医師「胃癌ですね。かなり進行していて他臓器への転移も見られます。手術は難しいです。」


大屋「そ、そんな。」


医師「でも望みがないわけではありません。アメリカに敏腕の胃癌のプロフェッショナルがいます。彼に手術を依頼すればもしかすると助かるかもしれませんね。彼に手術をしてもらった患者さんの平均余命は10年以上という資料もあります。」


大屋「ぜひお願いしたいです。」


医師「お願いはできるのですが、お金が掛かってきます。1,000万円くらいになるでしょう。用意できますか?」


大屋「そ、そんな大金は持っていません。」


医師「そうですか。プロフェッショナルに依頼をするにはまずお金を準備しなくてはいけません。諦めるしかないでしょう。」


大屋「このまま何もしなければ母の余命はどれくらいなんですか?」


医師「持ってあと1ヶ月でしょう。」


大屋「そんなに短いんですか?」


【3.命のお金】


大屋は病院からの帰り道に屋台を発見した。吸い込まれるように屋台に入っていった。


エドゴン「いらっしゃいませ。」


大屋「何が売られているんですか?」


エドゴン「AIスキャンを受けてもらいます。今のあなたにふさわしいアイテムが出現します。」


大屋「スキャンか。やってみてください。」


エドゴン「かしこまりました。」


びろろろろーん!!


わずか3分ほどでAIスキャンは終わった。


エドゴン「おお、これは。命のお金でございます。」


大屋「命のお金?なんですかそれは。」


エドゴン「使ってみた方だけが効果がわかるのでございます。」


大屋「今はわらにもすがりたい気分だ。わかりました。買います。」


エドゴン「5,000円でございます。お買い上げありがとうございます。」


【4.その効果とは?】


大屋は購入した命のお金を自宅に持って帰りました。


大屋「一体どうやって使うのだろう?」


すると次の瞬間、命のお金が話し出しました。


命のお金「我は命のお金。そなたの命を差し出せば1年につき100万円を差し上げようぞ。」


大屋は半信半疑ではあったが、話している命のお金を見て、信じざるを得なかった。


大屋「今、母の手術代で1,000万円が必要なんです。どうにかなりませんか?」


命のお金「1,000万円であればそなたの命を10年分差し出せば差し上げよう。」


大屋「本当ですか?」


命のお金「お前はまだ若い。命を大事にした方が良いぞ。母親はもう病気でそう長くはない。そんな母親を助ける気か?」


大屋「はい。迷いはありません。」


命のお金「そうか、それならば。カーー!」


大屋の命が10年縮んだ。その代わり大屋は1,000万円を手に入れた。


【5.胃癌のプロフェッショナル】


大屋「お金を準備できました。アメリカのプロフェッショナルに手術を依頼します。」


医師「わかりました。依頼しましょう。」


大屋は胃癌のプロフェッショナルへ手術の依頼をし、母親の胃癌を取り除いた。


医師「今回の手術で胃癌が綺麗に取り除かれました。さすがの腕ですね。」


大屋「母親は助かったのでしょうか?」


医師「胃癌は無くなりました。転移などが今後起こらなければ余命は飛躍的に伸びるでしょう。」


大屋「ありがとうございました。」


【6.身体に異変が】


大屋は寿命を差し出したことで身体に異変が起き、起き上がれなくなっていた。


母親「私の代わりに倒れ込むなんて、きっと看病疲れだね。」


母親は大屋の体を心配した。


命のお金「大屋の母親か?」


母親「誰?」


命のお金「お金がしゃべったから驚いた様子だな。」


母親「お金がしゃべった!」


命のお金「あなたの息子さんは自分の命と引き換えに1,000万円を手に入れてあなたに手術を受けさせたのだ。」


母親「そんな、こんな私のために。」


命のお金「どうだ?1,000万円を返してくれれば息子の寿命を返しても良いぞ。お金を持っているんだろ?」


母親「私の旦那の生命保険金が1,000万円あります。それで息子の命を返してもらえるんですか?」


命のお金「良いだろう!」


母親「このことは息子には言わないでください。これがお金です。」


命のお金「確かにお金は受け取った。カーー。」


次の日、大屋の体調不良は嘘のように治っていた。


母親「大丈夫なの?」


大屋「もう大丈夫。昨日の体調不良が嘘のようだ。」


母親「良かった。」


命のお金がもしなければ母親は死に、遺産1,000万円を大屋は手に入れていた未来になっていたかもしれない。どちらが良かったのかは二人の今後の生活にかかっている。

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