天使再び
ふわふわとまるで身体が浮いてるかのようだ。
あ、この感覚は例のあの世にいった感覚と同じだ。
「久しぶりですね。順調そうで良かった」
入園式のその日の夜、いざ眠りにつこうとした時に天使はやってきた。
「お、俺なんかやらかしましたかね?またあの世に戻されちゃう感じですか?」
お子様なのを良いことに母親に連れられて女湯に入ったことか
いかん心当たりがありすぎる。
「いえいえ、ただ私の成績がかかってますので、様子を見に来ただけですよ」
「天使にも成績があるのか?」
「そりゃありますよ。ボーナス査定やら、昇進やら、あなたの頑張りにかかってるんですからね!」
ニコニコとした顔だが、物凄い圧を感じる。
「それにしても、この段階でここまで能力値やスキルを獲得できるとは思いませんでした。」
「何かゲームみたいで楽しくてさ。何も取り柄がなかった俺が成長してる実感を感じるよ」
ステータス画面のチュートリアルを熟読したところ
スキルや能力値の取得には限界がない。ゲームと違って、レベル制限やジョブ制限もないため、無限に成長ができるのも素晴らしい。
「あと、少し聞きたいことが」
「はい、何でしょうか?」
「この世界って、パラレルワールドというくくりなんですか?それとも俺が生きていた世界が丸ごとタイムリープしたとか?」
「前者が正解に近いですね。前の世界とは違うものです。後者ですと、あなたひとりのために全員の人生を消すことになってしまいますしね」
確かにそれもそうか。そしてそれなら全員がタイムトラベラーとなり、全員が無双するという謎の現象が起きてしまう。
「じゃあ幼馴染の性格が少し違うように感じたんですが、それはパラレルワールドだからということですかね?」
「いえ、前の世界と丸っ切り一緒の世界線のため、それは気のせいだと思います。ただあなたの行動によって、他の人の性格に影響することはあるとは思います。やらないとは思いますが、例えばあなたが弱いものいじめをしたとして、それを経験した方はトラウマで性格が変わってしまうとかね」
「なるほど…有難う御座います」
つまり弥生の性格は俺が忘れているだけで、かなり大人しかったのか、中学時代のいじめの記憶が強すぎて、過去の記憶を全て塗りつぶしているのかもしれない。話が終わると天使がふっ、と消えていった。
とりあえず雪ちゃんと会う中学までに、出来るだけ能力値やスキルを上げておかなければ、中学には雪ちゃんだけでなく、俺を地獄に突き落とした栗原たちがいる。勿論、雪ちゃんと付き合うことが第一目標だ。ただ俺はお前たちを許すつもりはないよ。