生まれ直し
目を覚ますとそこには
音も景色も何もない空間がただ広がっていた。
自分の身体を見ると、ナイフで刺された傷がなくなっている。
「ここが、あの世か…」
閻魔様が出て来て、天国か地獄かを決めたりとかそういうのを想像していたが、見たところ何もない空間が広がっているだけだった。
「ここはあの世ではありませんよ」
突然背後から、女性の声が聞こえる。
振り返ると白装束を着て、背中に真っ白の羽が生えた
いかにも天使という格好をした美女が立っていた。
「高原さん、あなたの人生は本当にしょうもない人生でしたね。学生時代も社会人時代も虐められて…」
「なんだお前喧嘩売ってるのか、急に現れて人の人生をディスりやがって」
なんて失礼なあの世の使いだ
学校でマナーなども教えないのかあの世は
「まあ落ち着いてください。あなたはラッキーな存在なんですよ。そして私はあなたを導く存在です」
「落ち着かせなくしたのはお前だろうが…好きな子を大嫌いなやつに取られて何がラッキーなんだよ…」
そう俺は、あの日世界で一番不幸な体験をしたのだ
とんでもなくアンラッキーだ。
「話は最後まで聞いてください」
俺の発言無視かよ
「あなたに人生をやり直しさせる権利を与えます。」
「まさかいわゆるチート能力を使って異世界転生とかか?まじか?」
「調子にのらないでください。そんな訳ないでしょうが」
即否定される。なんだこのドSな天使さんは
俺の中の天使のイメージは全てを包み込む
母性の塊のような存在なんだが
この天使には一切バブみを感じない。
「本来、こういったチャンスを与えられる人間はとてつもない善人か、世に多大な貢献をした偉人なんですが、あなたは例外でして、死ぬ前に助けた女性があの世のお偉いさんのお気に入りでして、あなたの活躍が認められて、もう一度人生をやり直しさせる権利を得たのです。」
「まああの人美人だったからな。ってそんな職権濫用が認められるのか‥。まあそのお陰で助かったんだけど、それでやり直すって言っても、生まれ変わるってことか」
「いえ文字通りやり直して貰います。まあタイムスリップというやつです。頼みますよ。あなたの人生によって私のボーナス査定に響くので」
「えらく現実的だな…。ただあんま期待しない方がいいぞ。こんなデブで暗い俺の人生に。ちなみにどこの年代から引き継がれるんだ?」
「文字通り最初からですよ」
そこで俺の意識が途絶えた。
何回やっても慣れないな。この身体の力が抜けて意識が消える感覚
目を覚ますとそこは白い天井
誰かに抱き抱えられてる
「元気な男の子ですよ」
俺を抱き抱えてる人、かなり美人やな。
というか
まさか最初からって…
赤ん坊からかよ…
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