小学校への入学
あれから数年たち俺は無事卒園することができた。
あの遠足の事件で親からかなりの叱責を受けたが、弥生やたけし、そしてえりかや椿ちゃんも俺のことを擁護してくれた。
これで友達が4人、前世の俺の友達数を幼稚園の間で越えてしまった。
そして幼稚園の間に大分俺はスキルアップ出来た。時間が何しろ有り余っている。
勉学は塾講師の父親の指導もあり、既に高校レベルは網羅することができた。
運動に関しては毎日のランニングや筋トレで能力値を上げている。
そして親におねだりして俺は何個か習い事を始めた。
格闘技などのスキルはどうしても実戦が必要で、遠足の時みたいに、そうそう喧嘩があるわけもない。それにやりすぎては親に色々制限を設けられることも有り得るし、俺自身の評判を落としては周りにも迷惑がかかることになる。
なので、色々なスキルを身につけられる総合格闘技を習うことにした。これで色んな技の熟練度を上げることが出来る。
前世では全くの努力をしなかった俺が、こんなに努力をしているのは自分でも不思議だ。栗原への復讐と雪ちゃんへの憧れが俺の大きな原動力となっている。
そんな全くフレッシュじゃない気持ちを胸に俺はランドセルを背負って小学校の入学式に向かっている。
親は俺を有名私立中学に入れたかったみたいだが、俺の頑なな態度と、勉強はどこでも出来ますという発言に心を打たれたようで、家から近い小学校への入学を許してくれた。
「涼介くんおはよう。」
弥生がモジモジしながら母親に手を引かれて、挨拶をしてくる。
「おはよう弥生。なんかそわそわしてるね」
「そうなのよ涼介くん。この子涼介くんと同じクラスになれなかったらどうしようとかいって、昨日から凄い心配してるの」
「も、もうお母さん余計なこといわないで!」
弥生は顔を真っ赤にして、お母さんのことをぽかぽか叩いている。
確かに弥生はかなり人見知りな性格だし、俺がいないと不安だなそれは。
「大丈夫。一緒のクラスになれるって、仮に違うクラスでも遊ぶ時間は休み時間でも放課後でもあるしな」
「う、うん。でも一緒がいいな…」
かなり不安そうだな。まあ田舎の小学校だ。三クラスしかないし、確率は3分1。大分確率は高いほうだ。どこかの毒舌の天使さまにでも祈っておこう。