遠足③
「椿ちゃん。先生は?見ててくれたんじゃないの?」
「他の班で怪我した子がいて、それを手伝いにいっちゃった…こっちの班は涼介くんがいるから大丈夫だろうって…」
生まれ直した俺は真面目で精神年齢も大人だから教師からの信頼もあつい。
それが今回仇となってしまった。えりかに何かあれば先生たちも責任を取らされてしまう。
俺が何とかしないと
えりかが喧嘩していた場所につくと、弥生とえりかの回りをやんちゃそうな小学生が囲んでいた。
数は三人。まずは勝つことよりあの二人を逃がすことを優先しよう。
「椿ちゃんは先生を探して呼んできて、とりあえず何とかしてみる」
「わ、わかった。気を付けてね」
椿ちゃんが走っていくのを見送った後、俺はたけしの方を向く。
「とりあえず俺が二人を相手する。あとの一人はおまえが引き付けてくれ。勝とうと思わなくて良い。弥生とえりかさえ助けられればいい」
「わ、わかった」
たけしは震えている。まあ無理もないか。幼稚園児と小学生の喧嘩など、ヘビー級ボクサーに軽量級が挑むようなものだ。体格も体重も全てが不利に働く。
「早く謝れよ!土下座しろ土下座」
小学生のやつらが私と弥生ちゃんを取り囲んでいる。
こんなやつらには絶対謝りたくないけど、弥生ちゃんがこのままだと危ないし
「なんだその反抗的な目は!」
小学生が腕を振り上げて私を叩こうとする。
誰か、誰か助けて…そう祈りながら思わず目をつむる。
ただいつまでたっても叩かれた衝撃はこない。
恐る恐る目を開けると、そこには代わりにビンタを受けて涙目の私の大嫌いな男の子たけしがいた…。




