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童話集

夜を伝う女神さまの雫


 私たちの星、このまあるくて青い地球。


 その地球とは比べられないほどに、広大で果ての知らない宇宙。


 その宇宙を統べる者──見守る者がひとり。


 この世界の言の葉で言う『女神さま』




 おおきくてまあるい宇宙のさらに外側の世界から、白くて細い綺麗な手で宇宙をやさしく包みこむようにして、女神さまは宇宙が壊れないようにやさしく見守っています。




 でも、女神さまはおおきな宇宙をひとりで守っているので、ひとつひとつの惑星の形を維持するだけで精一杯です。


 ほんとうは、生物のひとつひとつに愛情を注ぎたいけど、女神さまのおおきな力を以ってしても、それは叶わないのです。




 だから、女神さまはあたたかな手のひらで宇宙を守りながら、時折宇宙の外側でひとり涙を溢しているのです。


 無力でごめんなさいと嘆きながら。


 ぽろり、ぽろりと。


 女神さまの頬を伝う、あたたかい雫。


 その雫が手のひらのなかの宇宙に、ぽたり、ぽたり。



 

 その女神さまの雫が、夜を流れる星に、流れ星になるのです。


 


 ───どうか、私の手のなかの星や生きるものたちが、すこしでも長く、幸福の中にいますように。


 本当は永久とわの幸福を祈りたいけど…力弱き私を許して………




 つうっ…と、女神さまの雫が頬を伝い、ぽたりぽたり…と、宇宙に零れる───────






 ────────キラッ




「あ、流れ星だ!」

「キレイねー」




 


 今日も女神さまは宇宙の外側で皆をやさしく見守りながら、ひとり人知れず流星なみだを溢す──────────




 

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― 新着の感想 ―
[良い点] 優しい女神様ですね。母性愛に溢れていて素敵です。
[一言] 優しい世界観ですね〜。 癒されました!
2022/01/17 22:24 退会済み
管理
[良い点] 「冬童話2022」から拝読させていただきました。 女神さまの優しく、哀しいお話を、何も知らない人たちは「綺麗」と言うのですね。
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