タイムカプセルのオーパーツ
なろうラジオ大賞にむけてかいた短編です。もしかしたら後々1000文字以上でリメイクするかもしれません。
なろうラジオ大賞にむけて書いている他の先生方、ともに頑張りましょう!
「なあ、義文。これなに?」
「それ?へへっ、聞いて驚け、おーぱーつだよ」
「ちょっと変なの入れないでよ」
小学校の同窓会。それも終わり二次会に行くメンバーが集められている中、俺と義文は他のみんなに別れを言って二人で歩いていく。
俺たちは同窓会で会った面々を思い出しては談笑して歩く。
「宮野、太ったよな~」
「あいつ小学生の頃は学年一モテてたのにな」
義文が思い出した!と目を細めていじわるそうに笑う。こうやって笑うときこいつはろくなことを言わないんだ。
「ほら小学校四年のとき、お前の好きな吉田さん、宮野一筋でさ、振られてめちゃくちゃ泣いてたよな」
やっぱりろくなことを言わない。義文は悪びれる様子もなく続ける。
「そういえば吉田さんって同窓会来てた?」
「来てたよ、結婚したらしいぞ」
「へぇ、結婚かぁ。俺たちもしないとだよなあ」
義文は空を見てあきらめたように言う。俺はそんな義文を見て歩みを止める。そんな俺に気が付いた義文がどうした?と聞いてくる。
「みんなすごいよな」
義文は黙って俺を見ている。
「宮野、今は社長やってるし、吉田さんだって結婚して……」
「俺は結婚してねーよ」
義文は笑うがそれに対して俺は声を荒げてしまう。
「お前は医者になって実家の病院継ぐんだろ!美菜だって今や海外では有名なデザイナーになって……。俺は売れない物書きだ」
なんでこいつに愚痴ってんだろ。こうやって声を荒げる自分が恥ずかしい。しかし義文から返事はない。顔を上げると義文はアパートの裏に入っていくところだった。俺は急いで止める。
「なにやってんだよ、怒られるぞ」
「覚えてないか?ここでお前と俺と美菜でタイムカプセル埋めたの」
そういってアパートの裏にある木の近くを掘り始める。俺は止めに入るがいうことを聞かずついには古い箱を掘り当ててしまう。俺もつい手を止めて二人で中を見る。へんなおもちゃや写真、ノートが入っていた。
「これ、なんだ?」
「それお前がオーパーツとか言って入れたなんかの部品だろ」
義文はへへっと笑う。俺はノートを手に取ってめくる。
「ごめん、俺帰るわ」
俺は急いで走り出す。今すぐペンを握りたい。家についてすぐに引き出しから紙とペンを出し、書きなぐった。
携帯が鳴り、見ると義文が三人のグループに昔の写真を載せていた。美菜も懐かしい!とそれに反応する。俺は書いた小説を見て笑う。
「子供の発想力は恐ろしいな。今じゃ手に入らない、オーパーツだ」
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