Duel.8
アリスと僕は話をしながら森を進んでいく。
「ハヤト。貴様の世界ではどのようにレリーフを手に入れるのだ?」
「店で売ってるんです。」
「なに?レリーフが金で買えるのか?!」
食い気味で聞かれたので、半歩下がりながら
「は、はい。僕の世界では遊び道具なので」
「ふむ、聞けば聞くほどわからん世界だな。ハヤト、ということは貴様の世界ではレリーフは玩具なのだな?」
「まあ、そうなりますね」
「そうか」
アリスは少し考え込んだ。
そして、
「ハヤト。その話誰にもするな。」
「え?」
少し高圧的な印象だった。
「いいか、この世界ではレリーフは"世界の記憶"だと言われている。」
「世界の記憶?」
「ああ。存在した者たち、実在した何か、それらがレリーフとなって、今生きる人を手助けしてくれる。だからどんな人間でもレリーフに敬意を示す。」
「そうなんですか。えと、それと話してはいけないというのは?」
「わからんか?敬意の対象を玩具と同列に言われるのだぞ。」
「あ」
流石に理解した。確かに信仰をバカにするようなものだ。やっちゃいけない。
「わかりました。アドバイスありがとうございます。」
カサカサ‥
正面の草むらから子犬サイズのアリが出てきた。
「うぉあ!」
思わず声を出してしまった。
「丁度いい。」
アリスはそう言うと剣を抜きこちらに渡してきた。
「この剣であいつを倒せ。」
「ええ?!!」
「あいつはキラーアントの一種。恐らくキングアントだろう。」
キングアントと言う名前には聞き覚えがあった。そうカードだ。
「もしかしてこれを倒せば‥?」
「それは倒してみないとわからん。とにかく、やれ。」
剣を受け取るが、重い。振り回すなんて無理無理。
キラーアントはこちらに気づき顎のハサミで威嚇している。
あんなのに噛まれたら手首ぐらい簡単になくなりそう‥
重くて使えない武器を両手に、とりあえず突き刺した。
ザグッ!
うまく刺さった。
キゥィィィ!
耳が痛くなりそうな声を上げてアリは動かなくなった。
その瞬間、左手の紋章が白く光った。
時間にして2秒ほどだろうか、眩しいほどではないが輝き、そして収まった。
「まさか一度でうまくいくとはな。キラーアントは太古から存在するといわれおり、中でもキングアントは最も長命だ。
ハヤト、レリーフを手に入れるには大きく2つの方法がある。一つはこうやってレリーフを屈服させること。もう一つはレリーフに認められることだ。
生き物自体がそれであることもあるが、石碑のようにひっそりとあるものもある。目に見えないものもある。」
「なるほど。さっきのは屈服させたということですか?」
「ああ、しかし必ずと言うことではない。」
「どういうことですか?」
「詳細はわからないが、レリーフとして残るかはランダムらしい。世界の意志と言われている。」
なるほど。歴史があるものが必ずレリーフになるわけじゃないのか。
それもそうか、もし全部だったらそこら中レリーフにあふれることになる。
僕らはまたあるき出した。