Duel.5
「我が名はアリス・ジークフリード。
ここは我がジークフリード家の私有地である。
貴様は何者だなぜここにいる。」
アリスと名乗った女性はそう問いかける。
今度は武器はなしだ。
そのおかげで少し落ち着いた。
「ぼ、僕は伊集院隼人です。
‥なぜここにいるかは‥わかりません‥」
「イジュウインハヤト。聞いたこともない名だ。どの領地から来た。」
「えっと、僕は日本人で東京に住んでます。」
「ニホンジン?トウキョウ?聞いたこともない。貴様、私をからかっているのか?」
そう言いながら、彼女は腰に吊るした短剣に手をかける。
「いえ!からかってません!本当です!むしろここはどこの国のなんですか!」
彼女は険しい表情を見せながらも応える。
「ここはイヴリス王国の外れに位置するジークフリード領。その最西端だ。」
言われても全くわからず、ぽかんとした。
ここでようやく気付いた。
これは異世界召喚とか転生とかそういう系?
さっき鎧が消えたのもそういう系だよね?
恐る恐る聞いてみた。
「あ、あの‥さっきの鎧‥なん、ですか?」
「パートナーだ。」
「パートナー‥?」
「はぁ、貴様なにもしらんのか?
パートナーは契約したレリーフだ。一時的に力を借りれる。」
レリーフと言われ、DuelReliefを連想した。
「そうなんですか‥。レリーフってパートナー以外にもあるんですか?」
「ああ、設置するタイプや消耗タイプもある。」
ほぼ確だ。ここはDuelReliefの世界。現実になっている分、カードゲームとは違うだろうけど、大まかな世界観はそうなんだろう。
そう考えるとさっきのパートナーにしたユニットは想像がつく。
「さあ、貴様はなぜここにいる。いい加減話せ。」
「あの、僕自身まだわかってはないのですけど‥」
とりあえずここに来るまでの状況をざっくり伝えた。しかし、
「はぁ、そんな話信じられると思うか?」
ですよね。自分自身信じられない。
疑問に思っていたので聞いてみた。
「もしかして、さっきのはワルキューレですか?」
「!!
‥貴様、なぜそれを知っている。これは我が一族に密かに受け継がれるものだ。まさか、貴様盗賊か!?」
短剣を手に取り、威嚇してきた。
「違います!違います!違います!」
改めてDuelReliefのこと自分のことを伝えると、全部じゃないにしても信じてもらえた。