Duel.1
世界大会会場に来ている。
大会前の会場はフリーのプレイスペースとかしていて、参加者見学者問わずDuelReliefを楽しんでいる。
見渡してみると世界大会の常連もちらほらみかけた。
顔見知り程度がだ何度も大会で会うので、みかけたから話すくらいにはなっていた。
「おーい、ファント厶ファルコン!」
背後から急に呼ばれた。なかなかの大声で。
‥恥ずかしい。
「何度もいうけど、そのあだ名で呼ぶのやめてくれよ。」
声の主は前回2位のランカーだ。
大会ではリングネームで進行される。
俺のリングネームはファルコンだ。
始めたてのときにちょっとした中二心でつけたら、変えられなくなってしまった。
「おー、わりーわりー!今回は出てるのか?」
「あ、うん。今回は特に予定被らなかったから。」
そう。なぜか法事やらが被るのだ。
「そうか。俺は予選で負けちまったよー。今回中々エグいコンボ生まれてるぜ。気をつけろよな。」
「そうみたいだな。予選でちらほら見た。でも、まだ完成しきってはないみたいだな。」
「ああ。でもカードが揃ったらやべぇ。」
「なるほど。少し備えておくか。」
そんな会話をしつつ大会は始まった。
会場では黙々と、しかし熱々な勝負が繰り広げられている。
僕はシード枠のためライバル達の勝負を見ていた。
ガタッ
おっと、後ろの席の勝負が付いたようだ。
勝ったのはこの女性か。
振り向くと黒い長髪女性が席をあとにするところだった。
相手は片付けもせず呆然としている。
その盤面をみて違和感を覚えた。
しかし、それがなんなのかわからなかった。
女性が僕の横を通り過ぎる。
狭い通路なので肩がぶつかってしまった。
「あ、すみません。」
僕はすぐ謝ったのだが、女性は軽く会釈をするだけだった。