Duel.0
僕の名前は伊集院隼人、32歳。
しがないサラリーマン。
会社では雑用しかできない窓際社員だ。
彼女もいないし社交的でもない。
でもこんな僕にも趣味がある。
それはカードゲーム
『DuelRelief』
世界人口の半分はプレイしていると言われている、
世界的カードゲームだ。
僕はその世界ランキング1位。
10年位前から気まぐれで出場する度に優勝するので、
ファントムファルコンとか呼ばれてるらしい。
世界大会は1年に1度あって、その日がついに明日やってくる。
「今年は新パックが多かったから、デッキの系統が読みきれないなー。」
今年はコラボなどがあった都合、例年より新規カードが多かった。
カードゲームではよくあることなのだが、新規カードは運営が予期しないコンボを生みだす。
それは悪質なほどに。
バランスを崩すコンボなどが生まれた場合運営が禁止措置などをするのだが、それはあくまで大会後。
つまり、明日の大会はある意味無法地帯なのだ。
「地方大会の動画とかをみて主流になりそうなデッキの想定はできてるけど、それはみんな同じだからな。」
キャリーケースに組み上げたデッキや予備カードを詰め込む。
僕は給料の殆どをカードに費やしている。
新規カードももちろんコンプリートしている。
現場での調整も多いので、大会の際はほとんどのカードを持参する必要があるのだ。
「よし、これでいいかな。」
ひと通り準備を終えた僕は眠りについた。