キャラメイクが細かいゲームは良ゲーか神ゲーの証
短め…かも…?
「ダイブスタート!」
その言葉を唱えると俺の目の前は暗くなり、気づくと目の前に一人の女性が立っていた。
『アナザーライフ・オンラインへようこそ!これからあなた様には新たな大陸、ジャール大陸を探検する開拓者へなるために必要な情報を入力していただきます。申し遅れましたが私はイアといいます。これからジャール大陸までのご案内をさせていただきます。』
頭の中に響くような声で話しかけられる。要するにここで自キャラを作って新大陸へと行くのだろう。
ちなみに前作とは新大陸の場所も地名も変わっているようだ。前作では新大陸はガルガ大陸となっていた。
そんなことを考えていると俺の目の前に半透明の板が現れる。この板を使ってキャラクターを作るようだ。板には名前、性別、種族、容姿、武器、ステータス、技能の七つの項目がある。
一つずつ見ていこう。まずは名前。これは『レイン』と入力する。どのゲームでも俺はレインという名前を使っている。わざわざ変える必要もない。性別も同様だ。変えたら『黄金平原』の奴らにいじられるのが目に見える。
次に種族。前作では人族、獣人族、森人族、岩人族の四種類から選べたが今作でも変わらないようだ。
それぞれの種族に特徴があり、獣人族は筋力値が高く近接攻撃力が高い。その代わり魔法を使用するのに他種族より時間がかかる。
森人族はMPが多く魔法攻撃力が高い。代わりに筋力値が低めで他種族に比べて持てる武器が限られる。MPは魔法を使うのに必要なポイントだ。
岩人族は防御力が高めで鉱石などの採取にかかる時間が短いが、魔法が全く使えない。あと設定可能な身長が低く慣れるまで時間がかかる。
人族はこれといって目立つところはなく平均的で扱いやすい。後々、種族を変更することもできるので「とりあえず人族を選んどけば失敗しない」なんて言葉もあるほどだ。
俺は特にこだわりもないので人族を選択する。ちなみにプレイヤーの種族の割合は人族が5割、獣人族が2割、森人族が2割、岩人族が1割になっている。
次の項目は容姿、キャラクターの見た目だ。身長、体重、髪型とその色、顔のパーツ、アクセサリー、その他もろもろとかなり細かいところまで設定できるようだ。
身長、体重は平均ぐらいにして…。髪は青色にして少し長めにするか。顔は…目も青色にして…。
30分ほどかけてちょいイケメンぐらいのキャラを作り出す。それを見て頷く。
「よし、これでいいだろう。」
思ったよりも時間をかけてしまったが次へと進む。次の項目は武器だ。ここで選ぶ武器は最初に持っているものを選ぶのだ。自分が目指そうとしている構成とかみ合う武器を考える。
それにしても色々あるな。表示された武器種を見ながら改めて思う。一般的なゲームでよく見かけるものから見たことがないようなものまで揃えられている。試し切りなんてこともできるようだ。
「うーん…。珍しい武器を選ぶ必要はないし短刀でいいかな。」
一応試し切りしてみるが問題はなさそうだ。どちらかといえばやろうとしていることが成功するかどうかが問題だな。武器は決まったので次の項目に行こう。
六つ目の項目、ステータスだ。HP、MP、スタミナ、筋力、物理防御、魔法防御、素早さの7要素ある。HP、MP、物理防御、魔法防御、素早さは見たとおりの意味である。
筋力は近接攻撃力に直結する要素で、装備する武器によっては筋力値が要求される場合もある。
スタミナは『アナオン』における重要な要素で、このゲームでは攻撃するにも、スキルを使うにも、防御するにも大抵の行動でスタミナを消費する。何もしなければ回復するが、戦闘中はスタミナの残量に注意する必要がある。スタミナが完全になくなると普通の回復速度よりも早い急速回復となるが、この状態のときはスタミナが回復しきるまで何もすることができない。スタミナ管理を怠る=負けと思っておいていいだろう。
種族によって初期値が決まっており、そこから追加で30ポイント振り分けられるようだ。俺はMP、スタミナ、筋力、素早さの4要素に30ポイントを振り分けると最後の項目へと進む。
最後の項目は技能だ。選べるのは簡単に習得できるものだけで3つまで選択できるようだ。目指すキャラ構成に合うスキルを選ばないとな…
まず、このキャラのメインとなるスキル『パリイ』を選択する。このスキルはVR版になって追加されたものだ。残り二つの枠には『急所看破』と『索敵Ⅰ』を選択する。『急所看破』もVR版になって追加されたスキルだ。
『パリイ』
自身の持つ武器にパリイ効果を付与する(永続)。
【パリイ効果】
相手の攻撃に合わせて武器を攻撃するとパリイ成否判定が入る。成功するとスタミナ消費なしのガード+相手のスタミナを削る効果が発動。失敗すると通常ガード時の二倍のスタミナを消費してガードする。
『急所看破』
相手の急所の場所が赤い点で表示される。
『索敵Ⅰ』
自身の半径100mのプレイヤー、NPC、モンスターをマップに表示する。ただし、トラップや魔法による隠蔽された生物は表示されない。
俺が考えた戦法はパリイによって相手のスタミナを削り、隙ができたときに急所へ攻撃を叩き込むというものだ。とはいえこの戦法には問題がある。俺と同じ事を思いつき挑戦した人がいたらしいのだが、パリイの成否判定が厳しくまともに運用できてる人は今のところ0なのだ。
なんでわざわざそんな難易度が高いことをするのかって?そりゃもちろん、そっちのほうが面白いからに決まってんだろ。
そんなこんなでキャラクターの作成はこれで終わりだ。間違いないことを確認して終了すると目の前の板が消えイアが話し出す。
『開拓者情報の登録が終了いたしました。それではレイン様にはジャール大陸へと向かっていただきます。準備はよろしいですか?』
「はい、問題ないです。」
『では、いってらっしゃいませ、レイン様。あなたに開拓者の光が輝かんことを…』
その言葉を聞くと目の前に光があふれ思わず目をつぶる。次に目を開いた時にはイアはおらず、俺は港に立っていた。後ろを振り返ると大きな船が見える。あれに乗ってきた的な設定なのだろうか。
ともあれいよいよ『アナザーライフ・オンライン』のスタートだ。
「俺は帰ってきたぞーーー!」
厳密にいえばここは前作とは違う場所であるのだが、なにせ前作がサービス終了してから一年以上待ったのだ。たとえ周りに変な目で見られることになっても叫ばずにはいられなかった。
やっと始まった…。次回初戦闘の予定です。
あっ、少しでも面白いと思っていただけたら感想とかもらえると蚊取り閃光が逆立ちします。