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第三十四話 本当に不幸?
バングラデシュの人力車引きの苦力みてもそう思いますか? あなたは彼らより不幸ですか? 彼らの御馳走がなんだか知っていますか? 結婚式場から出る残飯です。食いかけの肉や野菜の入った炒飯を、彼らはうまいうまいと喰っているのです。
彼らには家がありません。一日の重労働が終わりレンタル料を払って人力車を親方に返却すると、そのまま街角の店の軒下で着の身着のままで寝るのです。
しかしそんな奴隷以下の境遇にも、彼らは悩まないのです。
彼らの日常を描いた「もの食う人々」のコミックス版で忘れられないシーンがあります。日本から来たノンフィクションライターが、残飯を食う苦力の日々の取材をした後でギャラを渡すと、彼はお礼にいいところへ連れて行ってやるとライターを載せて人力車を走らせました。
それは郊外の公園にある、人力で動かす観覧車でした。
二人はそれに乗り、夕焼けに映えるダウンタウンを見ながら苦力は感極まって泣くのです。
「どうだい。この国にもこんなにいいところがあるんだぜ」
少なくとも彼はこの時、幸福だったのです。




