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1-5話 学園へ2


 ノスガルド最大規模の冒険者養成所。

 それがこの『アルスマグナ冒険者学園』だ。

 国王の名前であるアルスという文字が含まれているが、一切関係がなくただの偶然である。


 偉大なる冒険者の学び舎に入る為……その一歩を、プランは踏み出していた。

 と言っても、馬車に乗っている間知らず知らずの内に敷地内に入ってしまった為少しばかり感動するタイミングを逃してしまっているが……。

 学園に足を入れる時、一歩目に気合を入れて入ろうと思っていた為プランは少しだけ、ほんの少しだけがっかりした。




 プランはジュール店長に言われたように、周囲の建造物の中で少しだけ大きくて屋根の先に円錐の柱が立ち、更に金属が上から突き出ているというやけに刺々しい建物の中に足を運び、恐る恐る中に入った。

「アルスマグナ冒険者学園へようこそ。本日はどのようなご予定でしょうか?」

 プランが入ったのに気づいた受付の女性がそう声をかけ、プランはびくっと露骨に驚いて見せた。

「ふ、ふぇ!? お、お邪魔します!」

「はい。お邪魔してください」

 女性は動揺も驚きもせずにっこりと微笑み、プランが落ち着くのをニコニコしたまま待っていた。


「すいません。変な事言って――うわ、服装可愛い!」

 若干落ち着いたプランは受付の女性を見た瞬間そう声を荒げ、女性は少しだけ驚いた後にんまりと嬉しそうに微笑んだ。

「ありがとうございます。私服ではないですけどね」

「それ制服なんですか? だったら私も着られたり……」

「すいません。これ、錬金術用の服ですので入学したから着られるものではないんですよ。学んでいけば着られる可能性はあるのですが……何分才能の世界ですので……」

「……そかぁ。残念。でも良いなぁ。可愛いなぁ」

 プランは女性の制服をしげしげと見ながら、残念そうに呟いた。


 その服装は貴族学院用の制服にも似ているが、それだけでなくどこか不思議な印象を醸し出してた。

 特に上着と羽飾りのついた帽子が個性的で、どちらも非常に綺麗な青色をしている。

 上着は前を閉じないコートのような形状なのだが、腕の部分は腕がすっぽりと隠れるくらい大きく、袖口がギザギザしていた。

 軽く羽織る為の服ではあるがシンプルなデザインというわけでもなく、胸元や肩付近は細工が施されお洒落で、帽子は博士帽をマイルドにしたようなデザインに綺麗な白い羽飾りがついている。


 服装全体を見るとどことなく学者風の衣装で、錬金術師と言われると確かに納得できるようなデザインになっていた。


「えと……それでどのようなご用件でしょうか?」

 女性は少し困りながらプランにそう尋ね、衣装に夢中になっていたプランは我に返り深く頭を下げた。

「ご、ごめんなさい! 冒険者になりに来ました」

「……まだ若いのにですか?」

「え? 若いと駄目です? 若い方が得だと思いますが?」

 プランが首を傾げると女性は首を横に振った。

「……ああ。そっちじゃないんですか。いえ、何でもありません」

 女性はそう言いながら微笑みが、プランはわけがわからず更に深く首を傾げた。

「では入学金の二小銀貨シルヴ頂けますか?」

「あ、はい」

 プランは小さな銀貨を女性に手渡す。

 女性はそれだけで、にっこりと微笑んだ。

「入学おめでとうございます。今この時より貴方は我が学園の生徒となりました」

「――え? もう?」

「はい。もうです。では、これからの説明をさせていただきたいのですが宜しいでしょうか?」

「あ、はい。お願いします」

「はい。その前に、失礼ですが貴女は文字が読めますか?」

「えっと……貴族言語は……かなり怪しいです」

「いえ、ただの共用語です」

「それなら」

「ああ良かった。読めない場合大変な事になるとこでした」

「……えと……どうなるのでしょうか?」

「学園生活最初の授業が共用語学習の時間になります。一月も」

「……なるほど。教えてはくれるんですね」

「ええ。冒険者になる為に必要な事を教える場所ですから」

 女性はにっこりと微笑んだ。


「では、これをどうぞ」

 そう言いながら女性はプランに非常に上質な、真っ白い紙に何かが書かれた物を数十枚手渡した。

「何ですこれ? 入学願書?」

「いえ、それはまた後で渡されます。そちらは冒険者学園のちょっとした要綱です。このすぐ後に資質調査を行ってもらうのですが……その準備に時間がかかるので待ち時間が少々長くなると予想されます。ですのでその間にちらっとでも目を通して頂けたらと。もちろんその紙は差し上げますので寮内の部屋でゆっくり読んで下さっても構いません」

「……この紙だけで二シルヴ超えない?」

 プランの言葉に女性はにっこりと微笑んだ。

「入学金は、ぶっちゃけ金銭の受け渡しが正常に出来るかの確認でしかありませんので」

「……本当に誰でも入学できるんだ」

「はい。ただし……誰でも卒業出来るわけではありませんけどね」

 まるで釘を刺すような女性の言葉にプランはびくっとし、その後真剣な表情で頷いた。

 何となくだが、受付女性が自分を心配してくれたように思えたからだ。


「ありがとう。気をつけて、卒業出来るようにするわ」

「……なるほど。頑張って下さいね? では、この先をまっすぐ行って奥の待合室でお待ちください。もしかしたら誰か人が来るかもしれません。その時は……少しでも仲良くなる事をオススメします。ええ、あくまで学園としてではなく、私個人の感想なのですが」

 プランはきっと大切な事を教えてくれたのだと思い、しっかりと頷いた。

「はい! ありがとうございます。じゃ、行ってきます! ……あ、資質調査ってあれです? 内なる戦闘力とか、魔法の力が使えるとか、そういう才能調べる的な?」

 プランがわくわくしながら尋ねると、女性は苦笑いを浮かべ首を横に振った。

「すいません。実はただの性格調査です。冒険者は人付き合いが出来ないといけない職業ですので」

「おおう。なるほど。なんだろう。予想と想像をさっきから下回りすぎて不安になってきた」

「その下回るような人達が多いという事です。ですので、本当の意味で冒険者を目指すなら、そのような人達に影響されないよう、常に上を見続けて下さい」

「……うん。やりたい事があるからね。頑張るよ。ありがとうお姉さん」

 そう言ってプランは言われるがままに建物の奥に足を運んでいった。


「……せめて、名前だけでも聞いとけば良かったかな。ま、良い子そうだったしまたすぐ会えるか」

 受付の女性はそう言って微笑んだ後、気持ちを切り替え己が職務に集中した。




 我が学園は初代学園長が『大いなる力を持つ者を生み出す』という理念の元に生まれ、今もその理念を受け継ぎ続けている。

 その為、ただ冒険者になる者は卒業する必要はない。

 三か月全力で学ぶと良い。

 よほどの愚か者以外はそれだけで生活出来る能力が得られるだろう。


 渡された要綱の最初の文章にはこう書かれていた。

 その後流し読みをして、プランは序文の言いたい事を何となくではあるが理解した。

 要するに、冒険者になる為に力はそんな重要じゃないという事を伝えたいのだろう。


 ただ生活する為の仕事として冒険者を選ぶ場合は力よりもコミュ能力を稼げ。

 それとこの学園生活でコネを作れ。

 それだけで生きていくには十分だ。

 要約するとそんな内容だった。


 冒険者という名前ではあるが冒険をする必要はない。

 むしろ『良い冒険者は冒険をしない』という格言すら残されている。

 ダンジョンへの冒険や強い野生動物や魔物、場合によっては盗賊退治。

 それらの危険な仕事よりも、市民達のお手伝いをして回る方がよほど安全に金銭を稼げるからだ。


 あくまで遠まわしだが『強くなる気がないなら稼ぎ方教えてやるからとっとと出て行け』と、その序文が言っているようにプランは思えた。


 そして二枚目を読み、プランは目を丸くさせ驚いた。

 それはこの学園が施す支援の要綱である。


 まず寮生活。

 最初は一人部屋だが二週間以内に二人、または四人部屋になるらしい。

 寮は掃除や洗濯など全てサービスでやってくれ、食事も朝と夜きっちり出る。

 昼は学園内の別の場所で食べる事が出来るそうだ。

 そして、食事は全て無償で提供されると書かれていた。


 続いて、学ぶのに必要な道具類。

 何と、これも全て支給されるらしい。

 ペンや紙などの消耗品だけでなくカバンなどもそうであり、他にも学ぶべき教科によっては高価な薬草や調合道具なども支給される。

 更に、練習用も兼ねた武具すら支給品の項目に入っていた。


 他にも、訓練室や図書室も全て解放されており、資格さえ得られたら魔法を学ぶ事さえ可能である。

 しかもこの学園の理念のおかげか、魔法は当然、この学園内ではあらゆる分野の事を学ぶ事が可能だった。

 変わり種で言えば、料理も講師がいるそうだ。

 ちなみに、ブラウン子爵領から派遣される武官らしい。


 そんな、全てが無料で至れり尽くせりというあまりに美味しすぎる状況は詐欺にしか見えない。

 だからこそ、プランはどうしてこんな事が出来ているのかさっぱり理解出来なかった。

 そんな思いでプランは二枚目を終え、三枚目に目を通した。


『尚、食事代含む寮費、学費が無料なのは三か月のみである』

 平然と書かれたその文字を見て、何となく仕組みを理解した。


 三か月で冒険者になれる教育をする。

 だから、三か月経ったら出来ようが出来まいが出て行け。

 残った奴を教育するから邪魔者はいらん。


 プランはたった一行から、学園がそう言っているように思えた。




「……そっか。これが三か月の壁、ジュール店長が言っていた奴かぁ」

 三枚目をちらっと見てみたが、具体的な金額は書かれていない。

 だが、相当な金額である事は想像に容易い。

 つまり、この学園で学び続けたいなら最初の三か月の間に学費、寮費を稼ぐ必要があるという事だ。

 逆に言えば、それくらい出来なければ学園に残る価値すらないという事なのだろう。


 少しばかり、あまりに楽過ぎて気が抜けていたプランだが、冷や水を浴びせられたような気分になり冷静になる事が出来た。

 ここを追い出されたらプランが力を得る方法がなくなる。

 だからこそ、プランは追い出されるわけにはいかなかった。


 プランは大きく深呼吸をし、再度要綱に目を通そうとした瞬間――視線を感じた。

 ふとプランは顔を上げると、いつの間にか正面の椅子に見知らぬ女性が座っていた。


「う、うぃっす」

 女性は慌てた様子で半笑いで会釈し、プランも驚きながらペコリと会釈を返す。

 そしてそのまま再度重要な要綱に目を通そうとして――。

『もしかしたら誰か人が来るかもしれません。その時は……少しだけでも仲良くなる事をオススメします』

 プランは受付の女性が言っていた言葉を思い出した。


 ――うん。そうだよね。今慌てて読まなくても後で読めるし。

 プランは要綱を膝の上に置き、再度正面の女性に笑みを向けた。


 その女性のボサボサのショートカットは、燃えているみたいな綺麗な赤い色をしていた。

 服装はショートパンツにシャツと非常にラフで露出が多い恰好だが、いやらしさは感じず非常に健康的である。

 ただし、残念な事に綺麗な足や腕には、多くの擦り傷の跡が見えていた。

 総合するととても活発な……というよりもおてんばな様子が垣間見えている。


「初めまして。私はプラン。ただのプランです。良ければあなたの名前を教えてもらえますか?」

 その言葉に女性は少し驚いた後、輝かんばかりの笑顔を見せた。

「俺の名前はサイサリス・ハ……ああいや。サイサリスだ。ただ、あんま可愛くない名前だから……サリスって呼んでくれたら嬉しい」

 サリスが恥ずかしそうにそう言葉にしプランは頷いた。


「ええ。よろしく。サリスさん」

「サリスで良いよ。俺もプランって呼ぶから。更に言うなら、悪いけど敬語とか嫌いなんだ。良かったらタメ口で話さないか」

「ん。もちろんオッケーよ。私も敬語とか苦手だから」

「だよな。かたっ苦しいったらありゃしない。というわけでよろしくなプラン。んでさ、俺は見ての通りの粗雑で男口調、その上男勝りな生活しか出来ないと来たわけで、もう冒険者になるしかないと思って来たんだが。……お前も同じ入学者か?」

「うん。とにかく強くなりたくてここに来ました。何も知らない上に戦ったこともない田舎出身のプランです」

「……クールじゃねーか。本気なら応援するぜ」

「と言っても私戦うのすら怖い臆病者なのよねぇ……。いや克服したいとは思ってるけど……うん。やっぱ怖いや」

「ほーん。でも、強くなりたいって言葉は本気だっただろ? 何というか、熱みたいな物を感じたからな」

「うん。それだけは本当。へっぽこだけど、それでも強くなりたいんだ。絶対に……」

「……そか。ま、俺も今日入ったばっかでどっこいどっこいだから大した事は言えねーけどよ。一緒にがんばろうぜ?」

 そう言いながらサリスはぽんとプランの肩を叩き、プランはそれにこくんと頷いた。


「手伝ってやりたいけど、まだ一緒に冒険出来るかもわからねーしな。これだけ広い学園だし下手すりゃ一生会えな――」

 サリスが言葉を言い終わろうかと言う位のタイミングで、もう一人部屋に入って来た。

 かっかっかっかっと靴底の高そうな足音を響かせながら入って来たのは、青みがかったドレスを身に纏った、緑がかった青色のロングヘア―の女性。

 それは誰がどう見ても、その女性が貴族であるのだと一目でわかるような恰好だった。


 その女性はプランとサリスの姿を見て、露骨なまでに怪訝な表情を浮かべる。

「ハワードさん。もう少し貴族らしい恰好が出来ないのでしょうか? いくら貴女が山猿のようだからといって、そこまで……は、破廉恥な恰好は宜しくないと思うのですが」

 その女性を見た瞬間サリスは、げっと心底嫌そうな表情になり顔を歪ませた。

「えっと……サリス。知り合い」

「え、あ、うん。……うん。知り合い」

 とても嫌そうに語るサリスの様子から、プランは何となくその関係性を理解した。


「ああ。やっぱりサリスも貴族だったんだ」

「おう。すまん。貴族だって言うとどうしても壁が出来るからさ……つい。騙す気はなかったんだ」

「気にしなくても良いよ。んで、敬語使った方が良い?」

「本当に止めてくれ。嫌いなのはガチだ」

「オッケ。庶民だけど無礼だとか言わないてね?」

「言うわけねーだろ。……敬語使ったら無礼って言おうかな」

「止めい」

 プランの突っ込みにサリスはゲラゲラと笑う。

 その様子を女性は非常にイライラした様子で見ていた。

「ハワードさん。笑い方はもう少しお淑やかに! 貴女領主でしょうが。貴方の行動で領民全員が下に見られるんですよ?」

 女性の言葉にプランは驚きサリスを見た。

「え!? 領主なの!?」

「あー……うん。その……ちょっと家の恥になるからあんまり言いたくないけど……」

「恥?」

「糞親父、王都に来た時酔った勢いで王様の悪口民衆に言いふらした。しかもそれを否定した民衆と喧嘩した。……ぶっちゃけ処刑で爵位剥奪でもおかしくない事態だった」

「おおう。何も言えない」

「つーわけでハワード領を残す為名前だけは領主なんだけど……ぶっちゃけ俺に向いてないのわかってる。だから止めた後の事を考えて冒険者学園に来たんだ。もっと言えば、俺は体を使う事が好きでな、特に戦う事が好きだから向いてるかなと……」

「なるほどねぇ。で、そちらの高貴そうなお方はどなたでしょう。私はプラン。平民のプランです。よろしければ名前を教えていただけないでしょうか?」

 突然礼儀正しく対応するプランの言葉に女性は驚きながらも頷き、仰々しく頭を下げた。

「ええ。わかりました。(ワタクシ)の名前はエージュ。エージュ・バーナードブルーと申します。栄えある名門バーナードブルー伯爵家の長女です。プランさんどうぞよしなに」

 それに合わせて、プランはニコニコしながら深く頭を下げた。

 その姿に貴族らしさは全くなく、完全に平民のそれであった。


「にしても、ハワードさん。その恰好だけは何とかしてください。ああいやらしいいやらしい」

 非常に上から、そして嫌味ったらしくエージュがそう言うと、サリスははっと鼻で笑った。

「俺に色気を感じる奴がいたら見て見たいね」

 その言葉にプランはすっと手を挙げ、二人が目を丸くさせて驚いた。


「……まじか。……え? お前そういう趣味?」

 そう言いながら身構えるサリスにプランは苦笑いをする。

「違うよ。でも、サリスは髪も肌も綺麗だからさ、見る人によっては色気を感じると思うからあんまり肌出すのはやめた方が良いんじゃないかなって思うよ。確かに似合う恰好だけどね。ついでに言えば、冒険者の恰好としてもあんまりよくないと思うし」

「まじか。予想外の真面目な返答に少し驚いてるわ。ところで、どの当たりが冒険者らしくないか? 俺的にはいかにも冒険者ぽいなーって思ってるけど」

「え? だってちょっと不良ぽいし。冒険者って人怖がらせたらいけないじゃん」

 その言葉に、サリスは目を丸くさせて驚いた。

「目から鱗が落ちたぜ。いや、俺のイメージでは冒険者って荒くれ者だったけど、そうか……そんなわけないか」

 そう呟くサリスを見て、エージュはまたイライラした様子を見せた。


「だから(ワタクシ)が何度も止めなさいって言ってるじゃない! 本当人の話を聞かない鳥頭なんですから」

「うるせぇ! お前はキーキーうるさくて何言ってるかわからないんだよ!」

「何ですって! 人がせっかく心配して忠告してさしあげたのに何ですかその言い草は!?」

 そのまま、掴みかかりそうなほど顔を向け合う二人を見てプランは少し悩んだ。


 ――これ、仲良く喧嘩って奴だよねぇ。放置しても良いかな。

 そう、激しく言い合っているが、どうも言い合い慣れているのか一瞬即発な空気も、部屋が凍えるような空気も一切感じない。

 仲が良いかと言われたら少しばかり難しい話だが、それでも二人は見事なまでに仲良く喧嘩していた。

 そんなわけで放置しても問題なさそうな為少しだけ悩んだ後、プランは結局止める事にした。

 単純に、二人にではなく他の人に迷惑だと考えたからだ。


「えーお二人さん。ここで騒ぐと怒られるんじゃないかな?」

「確かに」

「そうですわね」

 二人はプランの主張を理解してしっかり頷いた後、プランの座っているソファの両隣に座った。


「えっと、プランさんですわね?」

 エージュに話しかけられ、プランはきょとんとした顔でエージュの方を見た。

「あ、はい。何でしょうか?」

「私はそこの野蛮な人と違い、正しい意味でノブレスオブリージュを理解する貴族です。つまり……貴族には民を導き助ける義務があるのです。ですので……何か困った時はそこの猿ではなく私に言ってください。助けるべき事は必ず助けましょう。ですので、そこの山猿に頼るような馬鹿な真似は止めなさい」

 エージュの言葉にサリスは苦笑いを浮かべていた。

 そんな二人を見て、プランはにっこりと楽しそうに微笑んだ。


「二人が仲良さそうで……少しだけ羨ましいです」

 プランがそう言葉にすると、エージュは顔を真っ赤にして怒りを見せ、サリスは顔を歪めるほど嫌そうな顔を見せた。


ありがとうございました。


嬉しい事があったので少し早く更新出来ました(`・ω・´)


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