2-9話 例え記憶は失っていても(後編)
三人で手分けして主聖堂の清掃を終えた後、シスターはニコニコ顔で三人に紅茶と茶菓子を提供した。
お世辞でも何でもなく、本当に聖堂の掃除に切りが付くと思っていなかったシスターはご機嫌な様子となっていた。
『次に掃除して欲しい場所調べるから休んで英気を養っててね。あ、当然だけど報酬は奮発するわよ』
そう言ってシスターはどこかに立ち去り、三人は来客用らしき小部屋で体力回復も兼ねてお菓子を堪能していた。
「んー。おいし。これかなり良い奴じゃないかな?」
そう言いながらプランは中にクリームの入った小さなパイ菓子を皿から一つ摘み見つめる。
「そうですね。茶葉も良いものですしたぶんそのままお客様用のを出して頂いたのだと思います」
エージュがそれに同意するように優雅に紅茶を口に運び、納得したかのように頷いた。
サリスは二人を気にもせずひょいぱくひょいぱくとパイ菓子の山を切り崩していっていた。
それはそれでいつもの事なので、エージュとプランはくすっと笑った後食べきられないうちに自分達の分を確保した。
「にしても、お前本当に何でも出来るんだな。つか掃除技術マジでプロ級らしいじゃん」
しきりに感心するサリスにプランは少々照れくさそうに頬を掻いた。
「んー。私としてはぶっちゃけ大した事してるつもりないんだけど……」
「過度な謙遜は嫌味にしかなりませんよ。プランさん」
エージュから少々きつめにそう言われ、プランは困った顔で頷いた。
「そか。ん。ごめんね。ただ、比べる対象がね……私の知っている司祭さんもっと凄いから」
「司祭様なのに自分で掃除なさってたのですか?」
「うん。ここよりも大きな教会を、私が手伝わない時は一人でする事もあったね」
「……それはまた……随分と掃除熱心な方なのですね」
実際は教会運営も全て一人でこなしているくらい手が足りないからという悲しい理由だが、これ以上は言葉に出来ずプランは曖昧に微笑んだ。
教会という場は神に祈りをささげる場以外にも神の奇跡により病や傷を治癒する儀式を行う場という意味もある。
そしてその儀式のグレードは教会の規模に影響を大きく受ける。
極端な事を言えばハリボテの一軒家にそれっぽいものを置くだけでも、後は神に仕える者が一人でもいれば教会という施設と呼んで良い。
ただし、そこでは精々擦り傷を、それも一日で一人か二人くらいしか治す事が出来ない。
手足の欠損した人を治癒しなければならない状況となったリフレスト領は、そんな理由で高価でかつ巨大な教会を強引に建設した。
その維持の負担はリフレストに派遣された司祭メーリア・ダルジーナとリフレスト領メイドにのしかかり、それに罪悪感を感じたプランはよくよく手伝いとして教会の掃除に参加していた。
ちなみにもう一つ、プランが自分の能力に気づかなかった理由がある。
それはリフレストに滞在するメイドは基本ハイスペックだからだ。
田舎で物も金もないからメイド達は最少人数で仕事をこなさなければならない。
そんなリフレストという環境でやっていこうと思えば、メイド達は最低でもプロ二人分の仕事くらいはこなす事を求められていた。
「言いたくない場合や言えない場合は言わんでも良いが、お前他にどんな事出来るんだ? いや色々とびっくり箱みたいで面白いからただの興味本位だけど」
サリスの言葉にプランは少し考え込んだ。
「うーん。自分の長所上げるのって本当難しいね。……ああ。趣味と実益という意味ならパン作りとか? これはそれなり以上に自信あるから特技って言っても良いかも」
「ああ。やっぱり料理系になるんだな」
「うん。メイドの偉い人からも太鼓判押された事あるくらい。ああ、その関係でメイドさんに色々教わったからメイド技能一通りできるよ」
「プランさんが学んだメイドはどのような職種の方でしょうか?」
「え? オールワークメイド」
その言葉にエージュが何とも言えない難しい表情を浮かべた。
「あん? オールワークメイドって事は何でも出来るメイドさんって事だろ。って事は凄いって事だろ? どうしたんだ怪訝な顔して」
「確かに万能で凄いのですけど、オールワークメイドという立場は非常に難しいんですよ。本来の貴族なら雇いませんし」
「どうしてだ? 便利じゃないか」
「いえ……そうですね。パーティー組む時剣と弓と魔法が使える人三人と組むより、剣だけ使える人、弓だけ使える人、魔法だけ使える人と組んだ方が総合力あがるじゃないですか。そういう事です」
サリスに対して貴族の見得文化を説明するのは非常に難しいエージュはそう例えた。
「あー。なるなる。そういう事なら良くわかったわ」
納得するサリスの横で、プランも何となく納得したように何度も頷いていた。
「とはいえ、オールワークメイドの経験ありというのは何となく理解出来ました。料理と清掃も仕事の一つですからね」
「うん。あ、ベッドメイクとかもそこそこなら出来るよ」
「本当に……。何のしがらみもないのでしたら、プランさんをメイドとして雇いたいものです」
エージュはしみじみとそう言葉にした。
「メイド技能以外で他に出来る事ってあるか? いやこの段階でマジで凄いが他にありそうな気がする」
「あー。後畑仕事……ってのはちょっと違うかな。なら誇れるって言えば逃げ足くらいだけど……サリスに軽々と並走されたから自信あるって言えきれにゃい」
「ああ。そう言えばそうだったな」
「ハワードさん。何かあったんです?」
「ん? ああ、こいつと坂で追いかけっこしたんだよ。いや流石に俺が圧勝したけどこいつかなり早かったぞ。まるで訓練されたような足の使い方だった」
「軽々と負けたけどねー」
プランは若干拗ねた口調でサリスにそう言い、肘でサリスを小突いた。
「あはは。……ん? 何か騒がしくないか?」
サリスがそう言葉にすると、プランもそっと遠くの方で、さきほどのシスターが悲鳴というほどではないが何やら切羽詰まった声を出している事に気が付いた。
「……行ってみよ」
プランは即座に椅子から立ち上がり声の方に走って行き、その後ろをサリスが付いて移動を始めた。
「……多くのメイドとかかわりがあって、逃げる為の訓練を受けたことがある。それって……いえ、そんなわけないですね」
エージュはぽつりとそう呟き、少し遅れながら二人の後を追いかけた。
「ですから! そんな恐れ多い事――」
「いえいえ。学園の方の邪魔にはなりませんし」
「邪魔とかではなく貴女様がそんな事を……」
「あら? 私達が使う場所を私達が掃除するのは普通では」
「せめて部下の人を」
「私は私が感謝をささげたいんです。ほら、黙ってたらバレないかもしれませんし」
「せっかくの美しい御髪が汚れてしまいますし」
「後ろで縛れば良いですし、汚れたらお風呂に入れば良いじゃないですか」
そんなさきほどのシスターと若い女性の言い合いを聞く三人。
何となく、プランはその声に聞き覚えがあるような気がした。
そして声からそれを思い出す前に、プランはその人物の顔を見た――見てしまった。
長い金髪の同い年位の女の子。
その子の事をプランは、良く知っていた。
「フィ……フィーネ」
プランがぽつりとそう呟くとそう呼ばれた子、フィーネはプランの方に目を向け、そして丁寧な愛想笑いを浮かべた。
「貴方達が依頼を受けてくださった方々ですね。初めまして。教会の方から来ました。ところで、そちらの栗色の髪をした可愛らしい方は、私の事をご存知でした? あいにく私には覚えが……」
その言葉でプランは失敗した事に気づき、必死に考え込んだ末に――その場で跪いた。
「呼び捨てにして申し訳ありませんでした。以前遠目に見た事がありましたのでつい驚きのあまり……枢機卿猊下」
その言葉にサリスとエージュは目を丸くし、エージュはサリスの頭を掴んで即座にプランと同じように跪かせ自分も同じ姿勢となった。
「ほらフィーネ様。知ってる人は知ってるんですからそんな無茶を言ったら駄目ですよ」
「むぅ。共に清掃に励みたかったのですが残念です。ですので今日のとこは客間の掃除を一人でする事にしましょう」
「ああ。やっぱり掃除はするんですね」
そう愚痴った後、シスターは盛大に溜息を吐いた。
「はい。私はその為にこの学園に来たのですから」
フィーネは当然のように、微笑みながらそう言葉にした。
「三人共ちょっと待っててね」
そう言葉にするシスターの顔には、緊張と疲れが出ていた。
そしてフィーネとシスターが見えない所まで移動した瞬間、三人はそのまま地べたに座り込んだ。
「んでプラン。枢機卿様って何だ? つーか誰?」
「ハワードさん。枢機卿も知らないのですか……」
エージュはプランに責めるような目を向けた。
「あ、あはあ。枢機卿ってのは……二番目くらいに偉い人? だっけ?」
プランの言葉にエージュは微妙に困ったような表情を浮かべた。
「身分という意味で言えば教皇より少し下ですが、その人や状況次第では教皇に並ぶ場合もございます。天上の人である事は間違いないという事ですね」
「ほーん。んで、さっきの子俺らと大して歳変わらないのにそんな偉いんだな」
「うん。クリアフィールのミドルネーム持ちだからね」
「ミドルネーム持ちって事は何かの業績達成したのか?」
その言葉にエージュは盛大に溜息を吐いた。
「クリアフィールというのは、クリア神の御使い様という事です。つまり、クリア神に愛され直接連絡を取る事すら可能な一族という事ですわ」
「ははー。住む世界が違う人ってのはいるんだなぁ」
そんなサリスの言葉に、エージュとプランは頷いた。
そう、フィーネという存在とプランは、住む世界が違う、赤の他人である。
例え昔友達であったとしても……それを覚えている人はもう、誰もいなかった。
「お待たせ、ごめんなさいね三人共。依頼の続き頼んで良いかしら?」
戻ってきたシスターの言葉に三人は頷いた。
特にプランは、今は難しい事を考えず体を動かしたい気分だったから丁度良かった――。
小さな予備聖堂と子供向けの聖堂、その他小部屋。
天井など手が届かない位置以外全ての清掃を終え休憩していると、シスターがプランに話しかけてきた。
「今日はありがとね。特に貴女。余分にイロ付けとくから」
「ありがとうございます。でも、私だけ良くしてもらうのはちょっと悪い気が……」
「良いから受け取っとけ。むしろプランと一緒だけもらったら俺らが気まずい」
手を横に振りながらそうサリスは言葉にし、横でエージュも頷いた。
「そ、そう? じゃ、そういう事なら……」
「うん。そうして頂戴。それと……すごーく申し訳ないんだけど……フィーネ様も貴女に感謝の言葉を送りたいって……その……言ってるから……」
その言葉にプランは表情を硬め、困惑したような表情となった。
「枢機卿猊下直々にお礼の言葉もらうほどの事はしてないと思うんですが……」
プランが困った顔でそう言葉にしている中、シスターはもっと困った顔をしていた。
「まあ、貴女が十人分、いえそれ以上の成果を出したのは事実だから……お願い出来ないかしら?」
そのシスターの顔に本当に困惑が見える為プランは断り切れず、不承不承ながら頷いた。
「プラン。本当にきついならせめて俺達が付いて行こうか?」
サリスの言葉にプランは首を横に振った。
「んーん。さっさと行って終わらせてくるわ。悪い人じゃないのは知ってるし」
そう言いながらプランはその場を後にしシスターに先導されながらフィーネの元に移動した。
「この先にいるわ。じゃ、後はお願いね? うん、本当ごめんなさい。緊張するわよね」
おろおろとするシスターにプランは微笑み首を横に振った。
「大丈夫。田舎者だからぶっちゃけ枢機卿ってのも良くわかってないし」
「ええ。あの方は無礼があったくらいで怒る方じゃないからその辺は心配しなくて良いわ」
――うん。良く知ってる。
プランは何も言わず微笑み、ドアを叩いた。
コン、コン、コン。
そして、震える手でもう一回、弱弱しくドアを叩いた。
「はい、どうぞ」
そんなフィーネの声を聴き、プランはドアを開け部屋に入った。
「失礼します枢機卿猊下」
プランは未だかつてここまで気を遣った事がないと思えるほど最大限の礼儀を示そうと丁寧な態度を取った。
「あ、あはは。無理しなくて良いですよ? 普段通りにしてください」
そんな変にカチコチになるプランにフィーネは苦笑いを浮かべ、そう言葉にした。
「とりあえず、私の名前はフィーネです。フィーネとお呼び下さい」
その言葉に悲しみを覚えつつ、プランはこくんと頷いた。
「わかりましたフィーネ様」
「呼び捨てでも良いですよ?」
「いえ、やはりお立場がございますので」
その言葉に、フィーネが少し悲しそうな表情を浮かべた。
「……さて、お話をしてよろしいでしょうか?」
フィーネの言葉にプランは立ったまま頷いた。
「ええ。とりあえず、さきほどシスターから貴女達三人の、特に貴女、プランさんが良く働いてくれたと聞きました。教会に連なる者として深い感謝を示します」
そう言いながら、フィーネは深々と丁寧に頭を下げた。
「いえいえ。お仕事ですのでお気になさらずに」
「例え仕事であっても、綺麗にしてくださった事に対し感謝を述べる事に変わりはありません。ありがとうございます」
例え友達でなくなっても、フィーネはフィーネだった。
それがプランには少しだけ嬉しくて、そしてとても悲しかった。
「さて、話が変わると言いますが、本題と言いますか……。プランさん。貴女最初会った時少しばかり驚いてましたよね?」
「え、ええ。こんな場所に偉い人が来るとは思ってなくて」
その言葉にフィーネは少しだけ眉をひそめた。
「……単刀直入に尋ねましょう。貴方は私とお話した事がありますか?」
「――いいえ。今回が初対面です」
プランは事前に用意していた嘘を答えた。
もしかしたら尋ねられるかもしれないと考えていたからだ。
そしてその嘘を……。
「嘘ですね」
その事前に考えた嘘をフィーネは見破った。
初対面のはずなのに、何故かフィーネはプランが嘘を付いていると理解した。
「貴女が私を呼び捨てにした時と、今貴女とこうしてお話している時。共に私は何故か暖かい気持ちにさせられます。そして私がこうして感じるように、貴女も私に何かそのようなものを感じていると思います」
その言葉にプランは何も言えなかった。
「教えてください貴女は何なのでしょうか? そして、どうして私は貴女を特別に思っているのでしょうか?」
たった一言、明確な答えを返せば良いのに、その言葉が返せない。
友達だった。
たったそれだけで、そして素敵な関係だった。
だが、それを台無しにして捨てたのは他の誰でもなく自分で、そしてそれを言う権利は自分にはない。
だけど、目の前で悲しそうに微笑むあの子に、何も伝えないなんて言う事はプランには出来なかった。
「わた……私は……。貴女と……。フィーネと……」
その言葉と同時に、プランの腕に痛みが走る。
世界の拒絶反応による組織崩壊。
そんな痛みよりも心の方が痛くて、それでも何もいう事が出来なくて……。
プランはそっと涙を流した。
そんなプランを見てフィーネはそっと立ち上がり、そんなプランの口に人差し指を当てて静かにさせ、痛みの走った手を優しく撫でた。
「枢機卿という立場にいますと、色々な方と出会う事になります。その中には神から直接役目を授かった人や、逆に神直々に呪いをかけられたような方もいらっしゃいました。また、私は経験ありませんが過去を変えたとおっしゃる方も私達教団の中にはいらっしゃったそうです」
「それって……」
「ええ。ですから今貴女の状態も、そしてどういう事かもさっきので何となくわかりました。今は違いますが、貴女と私は友人関係だったんですよね?」
その言葉にプランは必死に頷こうとするが、何か不思議な力で首を動かす事が出来なかった。
それでも、フィーネにはプランが同意を示したのだと理解出来た。
「きっと、きっと貴女と私は本当に対等な、立場の関係ない友達だったでしょうね。ええ、今の貴女を見るとそう思います」
プランは何も言えず、何も言葉に出来ず、失ったものと自分のしてしまった罪を感じ、悲しそうにフィーネを見つめるだけだった。
「ええ……こほん。恥ずかしい事ですが……私は友達があまり多くありません。ただでさえ少ないのに身分を気にせず遊べる友人と限定すれば零となってしまいます。これは枢機卿という立場の所為であるのもそうなのですが……一番の理由は私が友達を作る事が苦手だからです」
本当に恥ずかしそうに、そう言葉にするフィーネにプランは少しだけ微笑んだ。
「ええ、ええ。誠に不本意ですがどんな状況であっても自分から友達を作りに行く私という存在は考えられません。ですので……きっと貴女が友達になろうって言って下さったのですよね?」
事実その通りだった。
パーティー会場で一人ちやほやされる幼きフィーネの所にプランは一人で特攻し、手を差し伸べた。
他の大人のようにちやほやとするのではなく、横に並び対等に――。
そんな人はプラン以外に一人もおらず、そしてその思い出はこの世界には残されていないから一人もいない事となってしまっていた。
だが、例えこの世界にそのような記憶がなくとも、フィーネはそうであったと確信していた。
「だから……だから今度は私から言わせてください。私のお友達になっていただけますか?」
プランは今まで我慢していた何かを決壊させ、フィーネの胸に飛び込み叫ぶようにむせび泣いた。
それは今だけの事ではなく、ずっと我慢していた事だった。
新しい友達は出来たけど、古い友達は皆自分の事を覚えていないのに変わりはない。
その悲しさをずっと我慢していたプランには、フィーネの言葉に耐えるなど出来るわけがなかった。
まるで赤子のように泣くプランを、フィーネは長年の友を見るような目で優しく見つめた。
「お恥ずかしいところをお見せしました」
恥ずかしがりつつプランはそう言葉にする。
「いえいえ。友達を慰められたので私としてもちょっと嬉しい気持ちです」
胸元をぐしゃぐしゃにしつつもフィーネはむふーとどこか満足げな笑みを浮かべていた。
「うん。まあそんなわけで何もいう事が出来ないけど、またよろしくフィーネ」
その言葉にフィーネは目を輝かせた。
「はい! 前は知らないけど、それでもまたよろしくお願いします。プランさん」
その言葉にプランは微笑みながら頷いた。
忘れられていたけど、なかった事になるわけではない。
それに、また友達になれる。
それがわかったプランは本当に、救われたような気がした。
「それでですけど、私に何かして欲しい事あります? あくまで友人の範囲でですけど」
そう言いながら首を傾げるフィーネに、プランは困った笑いを浮かべた。
「あるっちゃあるけど……言葉に出来ない事の最頂点にある事柄なんだよねぇ」
前の時にあって今ないもの。
それはフィーネからのリフレスト領への支援である。
ただ……これを今のプランが要請する事は出来ない。
今のプランはプラン・リフレストではなくただのプランだからだ。
「うん。まあ、フィーネのやさしさを信じるって事で」
「また難しい事を……」
「あはは。まあ、そのままでいてくれたら良いよ。友達として」
「ええ。それは約束しましょう。友達として」
そう言った後二人は微笑み合った。
旧友のようであり、新しい友のようでもある二人は少々と言えないほど語りあった後。
プランが客間の部屋から出て来ると、跳びかかるようにサリスとエージュが現れた。
「おい、大丈夫だったか? やけに長かったが、何か無茶な事言われたりしなかったか?」
エージュも同意見らしくプランの方を心配そうに見つめていた。
そんな二人に、プランはにっこりとくったくのない笑顔を見せる。
「えへへ。友達が増えました」
そんなプランを見て、二人はまるでそろえたかのようなタイミングで溜息を吐いた。
「らしいっちゃ、らしいなぁ」
「ですねぇ。本当、プランさんらしい」
二人はプランという存在に慣れてきたのか、もう驚く事すらしなくなっていた。
ありがとうございました。




