2-4話 冒険者として大切なのは二面性と強欲さ
翌日、最初に受ける授業として三人が選んだのは『冒険者の心得』という名の授業だった。
内容はその名の通り冒険者とは何なのか、どう心構えを持てば良いのかなど初歩的な事を説明する授業である。
ちなみにこの授業、新入生向けのような名前の割に、受講しようとすれば受付の人が一旦確認を取って忠告を入れるくらいに人気がない。
理由は単純で、特に役に立たないからだ。
そんな事別に知らなくても冒険者になれるし、例え役立つとしてもそれなら薬草の見分け方一つでも覚えた方が即席で役に立つからまだ効率が良い。
それでもこの授業を選択したのは、土台から慎重に積み上げていく性格のエージュの性格故である。
そして、サリスとプランもそれに反論を上げず同意してこの授業となった。
だけど、プランは知っていた。
エージュとサリスの二人が、プランと揉めた男と出来るだけ接触しないようにあの手の人達が受けない授業をわざわざ探して選んでくれた事を。
知っていても、プランはそれを口にする事はない。
そんな二人の優しい気持ちに水を差すくらいなら、知らない振りをした方がよほど良いと思ったからだ。
ただ、素敵な友達が出来た事だけは確かなのでプランは授業に向かう間、甘えるように二人の腕をずっと掴んで歩いた。
「おおう。本当に人気ないね」
広い教室に五、六人くらいしかいない状況を見てプランは思わずそう呟いた。
「……まじかよ。プラン、エージュ。アレ」
サリスはそう言いながら部屋の奥を指差した。
そのすみっこの方には、盗賊にも似た荒々しい恰好をした大男が鎮座していた。
他の人達はその人物の迫力の所為か彼から距離を開けている。
「あー。あれうちのクラスの奴だよな? 何て名前だっけ?」
「ダルクだよサリス」
「……どうするプラン。一応クラスメイトだし話しかけるか?」
その言葉にプランは首を横に振った。
「ううん。用事がある時に話しかけろと言ってたし止めとくよ」
「オーケー。んで、どこ座る?」
その言葉にプランは最前列教壇の傍を指差した。
「プランさんのその真面目な所、私は非常に素晴らしいと思いますわ」
エージュは嬉しそうに微笑みながら、そう呟いた。
「せっかく受けるなら聞きやすくて質問しやすい方が良いじゃん」
その言葉にエージュは満面の笑みのまま頷く。
「……俺としては避けたいが、まあせっかく三人で来たんだし……しゃあない。付き合うか」
しょうがなさそうにそう告げるサリスをエージュとプランは微笑ましく見守り、三人は傍に誰もいない最前列に腰かけた。
授業開始五分前に、先生らしき中年男性が姿を見せた。
それは、以前食堂で会ったジョルトと名乗る人物だった。
「あら。ジョルト先生」
プランがそう呟くと、ジョルトはジロリとプランの方を見据えた。
「……君か」
「はい私です。その節はどうも」
プランがペコリと頭を下げると、ジョルトも僅かに頷いた。
「……誰かに聞いて来たのか?」
「? いえ。初心者らしく地に足付けてと思って来ただけですが……何かあるんです?」
「……私の口からは何も。ただ、途中退席せず最後まで聞いてもらえたらと思う。……寝てても私は注意しない」
そう言った後、ジョルトは教壇の椅子に座り授業の準備を始めた。
「ハワードさん。アレたぶん貴女に言ったんですよ」
「だろうな。寝て良いなんてありがたい話だ」
「でも……目の前で寝られたら悲しいと思うよ?」
「……やめろよプラン。いきなり寝づらくなったじゃねーか」
呟きながらげっそりするサリスを見てエージュは小さく微笑んだ。
「山猿の非常識な部分もプランさんの優しさには勝てませんのね。やはり餌付けの力かしら」
「止めろよ……否定出来ないから」
その言葉の後、三人は顔を見合わせて無言になり、こらえきれなくなり誰からともなく笑い出した。
そしてきっちり五分後、授業開始となった時ジョルトは教壇に立ち、生徒達も静かにジョルトの様子を見守った。
「では、これより冒険者の心得の授業を開始する。最初この授業を受ける際に言われた通り、この授業はほとんど意味のないものだ。それでもこの授業を受けたという事は、きっと君達の方に受けたい理由が何かあるのだろう。冒険者となる不安からであるならその解消の為に、歴史を学ぶ為ならその足掛かりに、ただの知識欲であれば満足できるよう話させていただく。だがそれでも、やはり無意味であると思ったのならば……静かに、他の生徒の邪魔にならぬよう退席すると良い。無駄を省くのも冒険者の資質である」
そう言葉を発した後ジョルトはぐるりと教室を見回して生徒の様子を一瞥し、誰も立ちあがらないのを確認して授業を始めた。
「まず、冒険者とは何なのかだが……せっかくだ。全員自分の思う冒険者像を語りたまえ」
そして先生は、この場にいる九人に言葉を求めた。
冒険する者。
戦う者。
浪漫の為に生きる者。
生徒達の声はそのような声が多かった。
ちなみにダルクは『夢追い人』と答え、エージュは『守る人』と答え、サリスは『はみ出し者の集まり』と答えた。
ちなみにプランはカッコいい人達と答え、ジョルトから何ともいえない難しい表情をするという評価を受けた。
「色々な意見が出たが、皆間違っておらず全員正解である。ただ……間違っていないのだが、今の冒険者という立場を一言で表すのならそれは『何でも屋』が適切となるだろう」
冒険者と言っているが、極論を言えば特定の職種に付いていない何でも屋というのが今の冒険者の立場である。
昔の冒険者はその名の通り冒険をして暮らす者の事を言っていたのだが、今は事情が大きく変わった。
それには様々な理由があるが、一番は軍の強大化や魔物の激減による治安の安定化が大きい。
故に、現在の冒険者はアドベンチャラーではなく街に住み住民の依頼を聞くのが主なクエスターが主流となっている。
昔のように危険な動物の対処やダンジョン、迷宮攻略もあるにはあるが、それだけでなくちょっとした手伝いや迷子探しなども、現在は冒険者の仕事となっていた。
「そもそも、危険度の高い――俗に言う割の良いダンジョンや危険な生物との戦いに比重を置いた生活を続けてずっと無事なわけがない。基本ギャンブルだからだ。だからこそ、地に足を付けた生活が冒険者には求められる」
全く夢のない話だが、これはこれで非常にありがたい話だからか、それともジョルトの話し方からか生徒は皆真剣にその話に耳を傾けていた。
「冒険者のメリットはその身軽さにある。組織特有の遅さが一切なく依頼されたら即座に行動出来る。だからこそ、冒険者はその身軽さを武器に依頼人相手に媚を売り、次の仕事に繋がる仕事をしなければならない。上手く相手の望む人材となって依頼を繰り返し受注していると、その業種が得意になると言ったケース、もっと言えばその特定の人物に気に入られて好条件でスカウトされるという事もある。その場合はそっちを本業として冒険者を副業にするか冒険者を廃業すると良い。そういう場合も大いにありえる。……さて、質問はあるかね?」
その言葉に生徒達は自主的に手を上げ、幾つか疑問をジョルトにぶつけジョルトもまた真摯にその質問を返していっていた。
「……そろそろ質問を切らせてもらう。次の説明があるからな」
ジョルトは時計を見て、三十分過ぎて残り時間が半分になったのを確認してそう言葉にした。
「次は冒険者の資格についてだ」
そう言った後、ジョルトは授業を再開した。
冒険者には資格はなく、名乗り上げたらその時から冒険者という職業に就いたと言って問題ない。
依頼を受ける為には仕事の受注を行う大本、ギルド等に参加しなければならないが、それは冒険者の資格などではないし、またギルドに参加するのは誰でも可能である。
ただし、資格ではないがそれに準じた認定書が存在していた。
ノスガルド直々に発行される冒険者認定書。
これは冒険者となるのに必須の証明書ではなく、これを持っていれば国からお墨付きの冒険者だという証明である。
一級から三級まで存在しているが取得は非常に厳しく、三級でも取ればこの学園では生徒側でなく教師側の領域で、二級に至っては武官試験と同レベルで取得者は非常に少ない。
その難易度の為学園生、特に新入生とは特に関係のない話なのだが……この認定書の所為で認定を受けていない冒険者を四級冒険者と呼ばれる事もある。
更に言えば、役に立たない冒険者を五級、裏切りなど同冒険者に迷惑を加え悪名を抱えた者を六級冒険者と揶揄されている。
「以上、ここまでで質問はあるかね?」
ジョルトの言葉に今度は誰も何も言わず、ジョルトは頷いた。
「うむ。では総括として、冒険者とは誰かの依頼で生きている者を指す。だからこそ幅広く何でも出来る対応力と仕事を受けるコミュニケーション能力が必要だ。ここにそれらを効率よく学べる授業と最低限の自衛に適した授業を記しておいた。参考にすると言い」
そう言いながらジョルトは全員に二枚の紙を配って歩いた。
「……ジョルト先生。これ何ですか?」
プランは渡されたもう一枚、地図らしき紙を見せながらそう尋ねた。
それに対してジョルトは、そっと人差し指を自分の口元に当て内緒話のようなそぶりをして答える。
「授業には通常の方法では受けられない、時間も場所も秘密の特別な授業が存在している。これより三十分後『裏冒険者の心得』という授業のようにな。参加資格は冒険者の心得の第一回に参加した者だ。もし、君達が気になったのなら行ってみると良い」
そう答えるジョルトの顔は、普段の殺し屋のような仏頂面とは違いニヤリとした笑みが浮かんでいた。
「冒険者の心得の講義は全三回を予定しているが、これ以降は歴史の話が多い。無理に受ける必要はない。比喩でも何でもなく、冒険者となるのに役立たないし別に秘密の授業などとももうかかわりがない。では、これにて授業を終了する」
そう答えた後、ジョルトは早足で教室を去っていった。
「どうしますか……って聞くまでもないですわね」
エージュはニヤリとしたサリスの顔とワクワクした表情で目を輝かせているプランを見てそう呟いた。
「お前だってそうだろ。あれで興味を持たない奴はいないさ」
サリスはエージュの緩んだ頬をぷにぷにと触りつつそう言葉にした。
エージュは恥ずかしがってサリスから距離を取りつつも、その表情はニヤニヤした期待に溢れたものだった。
特別な秘密授業。
裏と付く授業内容。
これで気にならない人なら、冒険者になろうなんてきっと思わないだろう。
「よし行くか……って三十分後だろ? これ結構遠いぞ。おいお前ら! 行くなら急ぐぞ!」
サリスがそう音頭を取るとその場にいた全員が立ち上がり地図を片手に移動を開始した。
当然、その中にはダルクの姿もあった。
「……お前も参加するんだな。なあ、その外見って事はやっぱりお前も冒険者生活経験組か?」
サリスがダルクにそう話しかけると、ダルクは迷惑そうな顔で首を横に振った。
「いいや。俺は冒険者として暮らした事などない」
「そうかい。まあクラスメイトとしてよろしくしようや」
その言葉に頷きもせず、ダルクは迷惑そうな顔のまま少し距離を開けた。
「……やっぱり迷惑だったかな。悪い事したかねぇ」
プラン達の元に戻ったサリスは後頭部を掻きながらそう言葉にした。
「……いや……あれはたぶん……照れてるだけなような……」
何となくだが、プランはそう思って呟いた。
「そうなのかな……だが、それならそれで悪い事したな。まあ過ぎた事は忘れて……とりあえず急ぐぞ」
サリスの言葉にプランとエージュは頷き早足で次の授業先まで足を進めた。
さきほどとは違い二十人でいっぱいになる程度の狭く薄暗い怪しげな部屋。
黒板や教卓どころか椅子、机すらない狭い部屋で九人が待っていると、ガラッと音を立てて部屋に誰かが入ってきた。
それは二十台前半くらいの若い男性だった。
革鎧と剣を持った冒険者らしい恰好の青年は、不敵に笑いながら目をギラギラと輝かせていた。
「……ようルーキー共。今日はルーキーしかいねぇな。つー事は今日はお前ら専属の授業だ。良かったな!」
そう言った後男は乱暴にドアを閉めた。
「つーわけでだ……真の冒険者の心得授業の時間だ。お前ら、耳をかっぽじって良く聞きな」
「その前に先生の名前は何でしょうか?」
プランは担任に名前を聞き忘れた失敗を繰り返さない為にそう質問した。
「良い質問だ。そして俺はこう答えよう。『言う気はない』とな!」
はっきりと、そしてしっかりとそう尋ねる男にプランはぽかーんとした表情でして目を丸くさせた。
皆同じように驚きざわざわした空気となっている中――男は笑った。
「ガハハ! 理由を教えてやろう。俺はな、冒険者として有名になるつもりだからだ。俺が名乗ったら皆が驚くような、そんな冒険者にな。それまでは名乗らないって決めたんだ。この気持ち、わかるか?」
プランは首を横に振った。
同じようにエージュも首を横に振っているが、サリスだけはニヤリとした顔のまま頷いていた。
「そう。これが俺だ。裏冒険者の心得で伝えるべき最初の事柄。それは冒険者を続けるにあたって最も重要な物を教える事だ。何かわかるな? ――そう、浪漫だ」
そう言って男は自らの剣を鞘から抜く。
その剣は酷い刃こぼれと錆でボロボロになっていた。
「これが俺の冒険の証だ。わかるか? この剣はもう使えない。それどころか修理すら出来ないただのゴミだ。だけどな、捨てられないんだよ。俺が最初のダンジョンアタック成功の暁に買った剣で、そして共に辛苦をなめ合った相棒だったからだ。これこそが俺の軌跡であり、そして俺の浪漫だ」
この浪漫ならプランにも理解出来た。
確かにボロボロで、もう剣としては使えないが……それでもその剣は美しかった。
「どうして人は冒険者などと危険で曖昧な職業を生み出したのか。そしてなぜ武官というシステムがあるにもかかわらず今尚残っているか。それはな、浪漫があるからだ」
未知なる迷宮、ダンジョンに潜り、恐ろしい強敵と立ち向かい、そして奥に隠された古代の秘宝を見つける。
そんな夢物語が、冒険者には存在しているのだ。
「浪漫が嫌いなら去ると良い。俺は浪漫しか話さないからな。遠慮するな。だがいつか後悔するだろう。俺が有名になった後でな」
そう言った後、誰も立ち去らないのを理解し男は満足げに頷いた。
そして男は浪漫について語りだした。
浪漫とは一つではない。
未知の冒険。
強敵との戦い。
伝説の武具との出会い。
そして、英雄と呼ばれる名誉。
誰にも理解されない戦いをして、誰にも気づかれず何かを護る。
それもまた、浪漫である。
ドラゴンに襲われた村を、一銭も取らずに助けた冒険者達がいた。
命をかけてドラゴンと立ち向かい、犠牲を出しながらもドラゴンを殺しドラゴンキラーの称号を彼らは得た。
そんな彼らの戦った理由は、一宿一飯の恩義だった。
貧乏な村であっても、他所から来た自分達を暖かく出迎えてくれ少ない食料を分けてくれた。
それは彼らにとって、命をかけるに十分な理由だった。
とあるソロの冒険者は旅の途中人攫いの噂を耳にした。
その直後にその村から美しい少女が誘拐され、その冒険者は彼女を追いかけた。
誘拐は組織的に行われており、バックには貴族の影があった。
それでも冒険者は諦めず少女を追い求め、そして少女を助け夫婦となった。
彼らは決して利己の為に戦ったわけではない。
それでも……その冒険は、戦いは確かに浪漫であった。
男の話し方は非常に上手く、この場にいる皆が話に引き込まれていた。
正直男から聞く冒険譚だけで授業を受けて良かったと思えるほどの価値があり、同時に男の事をまるで吟遊詩人のようだともプランは思った。
「こんな実際にあった浪漫ある話が、多くの本に、唄に残されてる。それらは確かに素晴らしい。冒険譚の大ファンである俺だからこそそう思う。だが、それで良いのか? 悔しくないか? 俺は悔しい。俺の冒険はこんな本になっていないからだ! お前らもそう思うなら……立ち上がれ。次の主人公は、お前だ」
その言葉を聞き、何故かサリスが拍手を始め、それに合わせて全員が拍手をしだした。
それに男も満足そうに頷いていた。
「……浪漫――夢を見つけろ。それが冒険者のなり方だ。そして、夢を忘れない。それが出来れば、それだけで冒険者で居続けられる。それを教えるのが、この授業だ」
ダンジョンアタックをしたいならダンジョン学という授業を受ければ良い。
初歩の初歩から教えてくれる。
特に、課題の中にダンジョンアタックもある為受けて損はない。
伝説の武具と呼ばれるような秘宝と出会うのは非常に難しく、そして険しい道のりだ。
それでも諦めないならば、地理学と歴史、考古学を学ぶべきである。
それらは全て、伝説のヒントだからだ。
逆に最新の武具を、古代の武具よりも強い物を作りたいなら武具制作の授業を受けると良い。
己の作った武具で戦うのもまた浪漫である。
強くなる事は大切だ。
どんな浪漫であっても、求めるならば力が必要だ。
だからこそ、戦闘を基準とした講義はこの学園には山ほど存在している。
このように、受けるべき授業は山ほどあり取捨選択が難しいだろう。
賢い答えを言えば、表側の授業で渡されたプリントを参考に受付の人か担任に聞けば良いだろう。
だが、もしも大いなる浪漫を追い求めるならば違う答えが待っている。
『馬鹿になれ』
欲張って、必要であろうとなかろうと、とにかく授業を取ってうけまくれ。
苦しくても、笑いながら続けろ。
その先に誰も見た事がない浪漫が待っている。
「もし……もし心が折れたなら、その時はゆっくり休めば良い。最悪諦めても構わない。浪漫を捨てた方が賢い冒険者になれるからな。そう、だからこそ! 今この時は、浪漫を胸にまっすぐ一直線に突き進め!」
男は拳を前に突き出し、そう吼えた。
「……というわけで今日はその具体的な成功例として一人ゲストを呼んでいるからその人の話を聞くと良い。俺も聞く」
そう言って男は生徒側に移動し、体育座りをしてワクワクした表情のまま待機しだした。
その直後、鉄の塊が部屋を揺らしながら入室してきた。
それは鎧と呼ぶのも不相応な、巨大な鉄の塊だった。
その塊はその身を隠せるほど大きな盾と、巨大な槌をその手に持っていた。
そして……その鎧にプランは見覚えがあった。
「あれ? ソラ?」
プランは盾部先輩の事を思い出しながらそう言葉にすると、鎧からは驚いたような声が響いた。
「ぷ、プランさん!?」
「さん!? 同年代で学園的にはそっちが先輩なのに!?」
「ああうんごめんなんでもないよ。プランもこの授業受けたんだ。そっかそっか。まあ特別扱いはしないから座って待っててよ。と言っても……これから話す事はぶっちゃけ大した事ない話なんだけどね」
「あれ? 先生が凄くワクワクした顔で待ってるから凄い話が出るのかと……」
ソラはヘルムを外す。
その顔は苦笑いに包まれていた。
「えっとね。冒険に成功した事のある学生は裏冒険者の心得で自慢話をするっていう暗黙のルールがあるの。本来なら逃げるんだけど……」
そう言いながらソラは教師であった男の方をちらっと見つけた。
「俺が捕まえた。さあ話すと言い。その素晴らしい鎧との出会いを!」
男はワクワクしながらそう叫んだ。
「はぁ……というわけでソラです。盾専門サークルの『円盾の騎士』(Knights of the Round Shield)に所属しています。これから私が話すのは……この鎧との出会いについてです」
緊張した様子でそう語った後、ソラは恥ずかしそうに人工迷宮での冒険の話を始めた。
近代に作られた謎の迷宮。
そこにいたのは非合法宗教組織で、彼らと戦いになった。
その果てに鎧を見つけた事。
それを聞いた先生である男と数人の男は悔しそうに顔を顰めながら、楽しそうに話を聞き質問を繰り返しぶつけた。
ありがとうございました。




