2-3話 一癖も二癖もある人物しかいない
「とりあえず……残った人で自己紹介しよっか?」
ぎくしゃくしたようなほんわかしたような寒いようなぬるいような、何とも言えない……一言でいえばぐっだぐだな空気の中、プランはそう呟き周囲の様子を見た。
この場に残っている新入生は自分達含めて六人。
その中で女性四人とかなり数が多かった。
プランにセクハラしようとした男性は軽薄な態度と人を見下したような視線をしていたがどうやら人望はあったらしく、新入生が三人ほど付いていってしまったらしい。
それ以外の、一流冒険者の風格を備えた粗暴な容姿の大男、ダルクもさっさと出て行ったのだが……今考えたら非常に上手に立ち回ったと言える。
自分の名前を売り、最低限の協調性を見せつつトラブルに巻き込まれずさっさと去っていった事を考えると、プランはそう思えた。
「とりあえず私からね。私の名前はプラン。なーんもないしなーんも出来ないのに何故かこのクラスに入っちゃったタイプです。……うん、迷惑かけたら皆ごめんね」
プランはしょんぼりとした様子でそう言葉にした。
「いや、うん……。まあ良いや。言わない方が俺達にとって得だしな。続いて、俺の名前はサリス。さっきの動きを見てわかると思うがガサツで荒っぽい。雌熊の方が女っぽいと言われる俺だが……まあよろしく頼むわ」
その言葉に小さく笑う声が響きサリスはニヤリと笑った。
「続いて、私エージュ・バーナードブルーと申します。冒険者、学問の徒である以前に貴人として行動しております。そのような私でよろしければ、どうぞよしなに」
そう言った後、エージュはスカートを軽くつまみあげ頭を下げた。
サリスとエージュはそう挨拶を終えた後、プランの傍に移動した。
理由は二つあり、一つは実際に戦闘出来ないであろう……少なくとも二人はそう思っているのでプランの立場を守る為。
そしてもう一つは、プランという存在と自分達は仲が良いというアピールの為である。
「あー。んじゃ次は俺か。テオだ。まあ……うん。悪いが俺は本当に普通な男だ。多少は戦えるしまあまあ器用で色々と出来る。そんなんで良ければまあよろしく頼む。……女性比率多くてちょいきついから気をつけてくれると嬉しいですはい」
テオと名乗った男は苦笑いをしながらそう言葉にした。
中肉中背――いや、少々背は低いが、それ以外だとテオは自分の名乗る通り普通の青年だった。
整った顔だが決してイケメンではなく、一言でいえば並。
少々個性的な恰好が多いクラスの中ではむしろそれを個性と言って良いほど普通であった。
「――じゃあ、残った男という事で次は俺か……」
そう言って男は軽く帽子をあげ、そのギラりと輝く目を皆に見せた。
「――俺の名前はヴェインハット。ヴェインでもハットでも……何なら『帽子男』でも構わないぞ」
そう言った後、男は帽子から指を放して被り直し、顔を隠した。
ヴェインハットの外見はテオと違い、異彩を放っていた。
緑がかったやけにポケットの多い布の服と、緑色のブーツ。
更にマントも緑色と帽子以外ほぼほぼ緑一色で、更にその厚手のマントで口元を隠している。
「帽子とマントで顔を隠したその風貌。そして短くしか話さないその口調……。それはまるで――暗い夜の住民のようであった……」
「……いや、あんた何言ってるんだ?」
自分自身に気取ったにナレーションを入れるヴェインハットにサリスは我慢出来ずそう突っ込んだ。
「……いや。カッコいいかなと思って。な?」
「な? じゃねーよ。確かにそういう雰囲気だったぞ。だけどな、口に出した時点で全部台無しだよ」
そう言われるとヴェインハットはふっと笑った後黙り込み、いかにも大物ぶった態度で椅子に座った。
「……ああ。俺この男の事何となくわかったわ」
サリスは疲れた口調でそう言葉にした。
「ほぅ。本当にわかったのか?」
「まあ、お前が見た目関係なく面白枠だという事はわかったわ」
「では今俺が何を考えているのかわかるか?」
「いや……流石にわからんな」
「そうだ。わかるわけがない! ちょっと露出の多い美人さんに俺の事を知ってもらえて内心小躍りしてるなんてわかるわけがないのだ!」
そう言った後、男はドヤ顔をしてみせた。
顔を帽子で隠しているはずなのに、何故かその場にいる全員がヴェインハットがドヤ顔をしていると理解出来た。
「まともに対応しますと何時までも会話が終わらないタイプだと思います。ですので……スルーしましょう」
何故か存在感をガンガン醸し出すヴェインハットを無視してエージュがそう言葉を発し、一同は自己紹介がまだ終わっていない最後の一人、小さな女性に注目した。
黒いローブを羽織って首から妖精石をぶら下げている女性はうとうとと船を漕いでいた後、自分の方に視線が集中している事に気づききょろきょろと周囲を見回す。
その後自分の後ろの方を見つめて何もいない事を確認した後、最後に自分を指差して首を傾げた。
「……えと、自己紹介お願いして良い?」
プランがそう尋ねると、女性は無表情のままこくりと首を動かし、ゆっくりと、抑揚のない声で言葉を紡ぎだした。
「ミグ……。ミグ・キューブ。妖精使い。好きなのは……猫……にゃー」
そう言葉にした後、ミグは無表情で手をくるっと丸め猫のようなポーズを取った。
「……中々に個性的なメンツだぜ……」
サリスは恐れおののくかのようにそう言葉にした。
「……サリスも同類だと思うよ……」
プランはそう呟いた後、こちらを見ている一年突破組の片方、クリスの方を見た。
「……あのさ、もう少しこう……冒険者らしい自己紹介しない? こう……何が得意で何が出来るかとかさ……」
クリスの言葉にプラン含めて多くの人が「あ」と短く呟いた。
「私は言ったよ? 妖精使い」
ミグはそう言った後、少しだけ自慢げに胸を張った。
「俺は……カッコつける事を考えて言っていないな。俺は――」
「狩人でしょ?」
プランがそう言葉にすると、ヴェインハットは挑発気味に小さく笑った。
「ふっ。何故そう思ったか知らないが、こう言わせてもらおう。本当にそうかな? 何か当てられたのは恰好悪いような気がするから俺はそう答えておこう」
そう言葉にした後、ヴェインハットはふっと小さく笑った。
「えっと……つまり……狩人でいんでしょ?」
「うん。ハンターって呼んでもらえたら嬉しい」
再度プランに尋ねられたヴェインハットは素直に頷いた。
「緑一色の服に赤っぽい茶の帽子。服装は見た事ないけど自然に隠れやすそうな服だから……狩人……ハンターさんかなって思ってね」
プランが考察した事を伝えると、ヴェインハットは小さく拍手をした。
「正解だ。この服は俺の考案した服でな。小物を分けてしまえる様にポケットを多く作ってある。混ぜたくない薬剤を分けてしまう時や急ぎで袋がない時の緊急用収納としてな。それになにより……ポケットが沢山ある服ってかっこいいと思ってな」
そしてヴェインハットはドヤ顔をして見せた。
――顔を完全に隠しているはずなのに、態度と雰囲気だけでドヤ顔をしているとわかるのは一種の才能かもしれない。
そうプランは思った。
「俺は悪いが特に何にもないな。本当に平凡な人間で、そっちのプランって名乗ったこの場を仕切っている子ではないが、どうして俺が選ばれたのか良くわからない」
「使う武器種は?」
テオの言葉に被せるように、サリスがそう尋ねた。
「片手槍とクラブだ。後は最低限だがダガーも使える」
「……獣の解体経験は?」
「シカ、イノシシなら実際に狩ってバラした事がある。牛、豚も一応あるぞ。調理関連でだが」
「料理も出来るのか?」
「ああ。あんまりうまくないけどな。一応罠も設置出来るし罠探知もかじった程度だが出来る」
「なるほど。下手な冒険者よりも頼りになるタイプだな」
そうサリスは断言した。
「そうか? 俺はそんなに優秀じゃないぞ。本当に自分の事を平々凡々な男だと思ってるし」
「そうかもしれんし違うかもしれん。それは俺にわかる事じゃない。だけど、それでもテオ、お前は多くの事に実際の経験がある。経験のない天才より経験の多い凡人の方が苦労を知っている。だからこそ、頼りになって信用出来る奴が多い。ま、俺の経験だがな」
その言葉にプランは頷き、そのすぐ横に何故かミグがいてプランの真似をしてこくんこくんと頷いていた。
「……ミグ……ちゃん? 何かな?」
「……プラン……さん? ちゃん? 様?」
「様以外なら何でも良いよ。そっちは何て呼んで欲しい?」
「……猫ちゃん大好きって呼べる?」
その表情は完全に何も映していない為、それが本気なのか冗談なのかプランには区別がつかなかった。
「呼べるけど、呼びたくない」
「じゃ、何でも良いよ。様付けでも」
「うん。わかった。ミグちゃんって呼ぶね」
プランの言葉にミグはむふーと満足げに頷いた。
「それで、ミグちゃん何か私に用かな?」
「えとね……プランちゃん。パーティー組まない?」
突然の言葉にテオと会話していたサリスとその様子を見ていたエージュも驚き、プランの方を見つめた。
「えと……突然どうしたの?」
プランがそう言葉にするとミグはプランにぎゅっと抱きつく。
少しだけプランより背の低いミグは、プランの首元に頭を擦りつけるよう懐きながらその手を背に回していた。
「……あのあの……どしたの?」
プランは慌てつつもミグを受け入れ、そう尋ねる。
「……うーん。……先約があるっぽいし我慢しよ。でも……臨時でも良いからいつか一緒に冒険行こ?」
「それは良いけど……どして私? 私何も出来ないよ?」
「大丈夫。何とかなるから」
「え、あうんありがとう……。いやそうじゃなくて。どうして私とパーティ組もうって言ってくれるの?」
「え? だってプランちゃん。妖精さんの事大好きでしょ?」
「……そういうのわかるんだ」
「うん。わかるよ。えへん」
ミグは自慢げに胸を張った。
「……私、一応妖精使いですけど……」
エージュがそう言葉にすると、ミグはちょっとだけつまらなそうに呟いた。
「エージュちゃんも良い感じだけど……素直じゃないから妖精さん的にポイント低いっぽい。もっと素直になろ? ふぁい、おー」
そう言って同じような表情のまま片腕を上にあげるミグ。
「……ご忠告ありがとうございます」
そう言ってエージュは溜息を吐いた。
その後サリスは身体能力が自慢で戦闘自体が得意と言い、エージュは魔法と剣の両用。
プランは戦闘が苦手で何も出来ないと言ったが、エージュもサリスも首を横に振った後、改めて三人でパーティーを組む予定であると皆に伝えた。
「……さてと、タイミング的にも良いし僕達が自己紹介しよっか?」
クリスがそう言葉にすると、隣の男性も頷いた。
「そうだね。良い物も見れましたし――浅学菲才な身ですが少しは先輩らしい事をしましょうか」
そう男性は綺麗な淡い笑みを浮かべた。
「とりあえず僕から。僕の名前はクリス。こんなナリだけどそれなりに戦えるよー」
そう言ってクリスはドレス姿のまま、シャドウボクシングをしてみせた。
その姿は全く強そうに見えないのだが……何故かわからないが誰一人この場でクリスに勝てると思える人はいなかった。
「そして私はイドラ。見ての通り吟遊詩人です」
そう呟いた後イドラはどこからともなくハープのような楽器を取り出し、十秒ほど演奏した後楽器をどこかに隠した。
「まあ戦闘能力はクリテ……クリスさんよりも低いですが、私もそれなり程度には戦えると思います。ただ、見ての通りどちらかと言えば芸術の方が得意ですのでそちらの依頼などで相談があれば是非おっしゃってください」
そう言ってイドラは優しく微笑んだ。
「……なんか、二人の姿が私と違いすぎて世界が違うような気が……」
おそろしいほど可愛らしくて美しいクリスと、淡い雰囲気を持った超美形の吟遊詩人イドラ。
その二人が同じ場所にいると、プランは女性としてどころか人として自信をなくしそうになるほどだった。
「いえ。そんな事はありませんよ。貴女はとても美しい。いえ、貴女の起こす事象が世界よりも美しいのです。どうか自信を持ってください」
イドラはそうプランに話しかけた。
「……良くわからないし私は自分が美しいって思った事は悲しい事にないけど、それでも褒めてくれてありがとう」
そう言ってプランはイドラに微笑んだ。
「――ああ。私にではなく他の方に笑顔を……いえ。作られた物は美ではない。だから待つしか……」
イドラは何やらぶつぶつ呟きながら手を顔に当てて悲しんだ。
「――百合の花か」
ぽつりと、ヴェインハットはイドラに向かってそう呟く。
その瞬間イドラの目はヴェインハットの方を向いた。
そして、二人ともまるで示し合わせたようにゆっくりと歩み寄り、お互いを睨み合う。
まるで喧嘩しそうな険呑な雰囲気で二人はただ見つめ合い、そして二人は――硬い握手を交わした。
「君とは……良き友となれそうです。人生で始めて、理解者を見つけた気分だ……」
イドラの言葉を聞き、ヴェインハットは帽子をくいっと傾けた。
「俺も綺麗な顔しやがってこのイケメンめと憎しみを走らせていたが……お前は抹殺リストに入れないでおこう。美を理解出来る素晴らしい同士だからな」
何を納得したのか二人は固く握手をしたまま、微笑み合ったまま動かなくなっていた。
「……ああ。イドラさんも同類な感じですか……」
ヴェインハットと気が合い熱い友情で目覚めたイドラを見て、エージュはそう呟いた。
「一部ある事を除けばマトモな先輩だから……うん。たぶん……」
クリスはフォローになってないフォローをしながら苦笑いを浮かべた。
適当に時間まで雑談をして解散した後サリス、エージュと共に翌日行われる授業を調べて予定を立て、一緒に食事をとった後プランは部屋に戻り今日出会った人物を振り返ってみた。
そして……そこでプランは大変な事実に気が付いた。
「……先生。名前言ったっけ? いや……たぶん……言ってないよね」
死んだ目をした適当そうな先生。
その外見と性格を考えると、ほぼ間違いなく自分の名前を名乗り忘れたのだろう。
怠惰が服を着て歩いているような、そんな人物に見えるが、それでもプランは先生の事をある程度は信用していた。
めんどくさがりなのは間違いなく事実だろうが……それでも先生は伝えるべき事はきっちり伝えているし、何より自分の口から特別扱いしているクラスだと説明しているのだ。
特別扱いしているクラスの担任に選ばれたのだから、きっとあの先生も何か凄い物を持っているのだろう。
「……それでも、あのやる気は演技じゃないんだろうなぁ」
プランは小さく微笑み、次予定が合えば何かお腹に貯まる食べ物を用意しようと考えた。
慌てた様子で去っていった学園生活三か月を超えた男性三人と女性一人組。
ダルクと名乗った使い古した服を着た大きな男性。
そしてプランに見下した視線を向けセクハラをしてきた男とそれについていき消えた男性三人。
彼らは交流と呼べるほど話せていないので振り返るほどの事がない。
それでも……今思い返すと最後のセクハラにかんしては少々以上にプランはイライラしていた。
「別にセクハラしようとしてきた人は今までいたよ。蹴ったり逃げたり叫んだりして何とかしたけど。うん、確かにいたけどさぁ……貧相な体を馬鹿にする為にセクハラしようって人は今までいなかったわ……。……貧相なのは事実だけど腹立つわぁ」
低い背に凹凸の乏しい体……そして幼いと言われても否定出来ない顔。
悲しい事にそれらは事実である。
ただ、それでも見ず知らずの人にあそこまで馬鹿にされる理由はない。
「……うん。切り替えましょう。いちいち気にしてたらキリがないわ。はぁ」
プランは小さく溜息を吐いた後、きちんと自己紹介出来た人の事を思い出していった。
今日きちんと話し、知り合いと呼べるほどに縁を結べたのは五人。
学園生活一年を過ぎ、クラスメイトだけど先輩でもあるクリスとイドラ。
新入生であるヴェインハット、テオ、ミグ・キューブ。
本名かどうかはわからないが、五人はそう名乗っていた。
その中でプランが一番気になった人物は、文句なしにクリスだった。
可愛らしく明るくてプランにとって理想とも言えるほどの容姿と立ち振る舞い。
元気一杯なのに女性らしさにも気品にも溢れて、エージュ以上に貴族らしい風格。
その上で、ほぼ間違いなくサリスよりも殴り合いが強いだろう。
そんな完璧としか言えない女性なのだが……何故かわからないがプランは強烈かつおかしな違和感を覚え続けていた。
一体何がおかしいのか、何が変なのか。
その違和感の正体はわからず言葉に出来ないのだが、それでも何かがおかしいのは確かだと直感が囁き続けている。
悪い人の気配はないから心配しなくても良いのだろうが……それでもやはり違和感の所為でクリスが気になってしょうがなかった。
イドラに関しては、プランは良くわからない。
志望ではなく実際に活動している吟遊詩人なのだが……吟遊詩人というオシャレな生き物にあまり縁がなかったプランはその生態を良く知らない。
外見は中性的な美形で、どこか儚さを感じさせる。
どことなくリカルドに似た外見だが、イドラの場合は中身もそれに伴っていた。
尋ねたら何でも答えてくれて普通の良い先輩のはずなのに……少しだけ変な部分がある。
「どうしてイドラさん、私の事をあんな優しい目で見るのだろう……」
その瞳に込められた感情が何なのかはわからない。
ただ、友情や愛情の類では決してない。
それだけは確かだった。
馬を見つめる時のエージュの目に近いが、あれほど執着を含んでおらず、その瞳は芸術を鑑賞するような穏やかさが込められていた。
新しく知り合いになれた新入生もまた、先輩たちと同じよう揃いも揃って個性的だった。
自分の事をごく一般的な人間だと言うつもりはないが、それでもこのメンバーの中では普通……だとプランは思っている。
まず、女性で珍しくプランよりも背の低いミグ・キューブ。
黒いローブを羽織った可愛らしい女の子なのだが、少しばかり雰囲気が独特である。
無表情ながらどことなく甘えたいんだろうなという雰囲気があり、それでいて妖精のように自由奔放で。
そして特に接点はないはずなのにプランにやけに懐いてくる。
その事をプランは不思議に思ってはいるがその好意は本物である事がわかるし、ミグに好まれる事は決して嫌ではなく、むしろ嬉しいとさえ感じていた。
続いてヴェインハット。
自称帽子男の男性なのだが……正直良くわからない。
おそらく、彼の事を詳しく知っても良くわからないだろう。
とても言葉では表せない変人……いや、変わった人だ。
彼もまた独特でかつ人間離れした不思議な雰囲気があるのだが……正直変人揃い過ぎてあまり気にならない。
強いてプランが分かった事と言えば……サリスの足辺りに良く視線が言っている事くらいだろう。
「……うん。気持ちはわかるけど……」
露出が多い恰好の多い上に、長く綺麗な足をしているサリス。
そこに目が行くのは男性として仕方がないかもしれないのだが、そういう視線は割と気づきやすいから止めた方が良い……と伝えた方が良いのだろうが……自分が言うとそれはそれでヴェインハットを傷つけるような気がする。
どうしたら良いか悩むプランだが……そういう視線をほとんど受けた事がなく、また男性の心理状況なんて知らないプランに解決出来る悩みではなかった。
最後に、テオ。
自称普通で、外見も能力も普通。
だからこそ、この変わった人が多いクラスの中で逆に目立っていた。
そして、このクラスの中で最も便利な人は誰かと言えばきっと彼になるだろう。
器用貧乏ではあるものの、出来る事が幅広いからだ。
魔法こそ使えないものそれ以外の初歩技術は粗方覚えている為、どこにどんな理由で連れて行ってもきっと役に立つ。
その上彼自信才能ではなく努力で習得した能力の為、教えるのが非常に上手い。
その為だろう、プランとサリス、エージュがパーティーを組んでいると知ったヴェインハット、ミグは自然とテオをリーダーにしてパーティーを構築していた。
「……こんなもんか。……うん。変な人ばっかだけど良い人が多そうで良かったかな。……全員と仲良く出来たら良いけど……」
それがとても難しいという事をプランは良く知っている。
確かに……あの男性には凄く嫌な気分にさせられた。
正直仲良くしたくないという気持ちもある。
しかし、そうであってもプランはクラス皆と仲良くしたかった。
皆が仲良く出来る世界など夢物語だと、元ではあるが領主だったプランは良く知っている。
いや、だからこそ……立場の違いでの影響が少ない学園内クラスメイトという関係なのだから、皆と仲良くしたい――。
そう願いながら、プランは明日から始まる一日の事を考えベッドの上で目を閉じた。
ありがとうございました。




