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1-11話 割と忙しい自由時間4


 ただでさえ広い学園内だが、その中でも第四エリアの広さは尋常ではない。

 何と言っても第三エリアまでを内包している巨大な山、その周辺全てが第四エリアなのだからその広さは発展した街をはるかに超える規模となっている。


 だからこそ、その第四エリアの交通網を網羅する為に色々な場所に待合所が設置され、今プラン達がいる待合所にも十人以上乗れる巨大な馬車が十台以上入るようなスペースが確保されていた。

 ちなみにこの待合所には現在は三台の馬車が待機してあり、それぞれの馬車側面には小さな看板が置かれ、往復先が表示されていた。

 それ以外の馬車はまだ来ていないか、もう出発した後らしい。


 プランはイヴに言われたように要綱を取り出して第四エリアのサークル名が乗っている地図を手に取ると、二人はその地図を覗き込んで見た。


「んでさ、二人は行ってみたいサークルってある?」

 サークル名のリストを確認しながらプランはそう尋ねた。

「あーそうだなぁ……。俺は運動系なら何でも。ただ、それを絶対したいみたいな拘りはないからそういう奴が入って迷惑になりそうな場所は避けたいかな。」

「あー。サリスはそんな感じだよね。確かに何でもこなせそうだし」

「プラン。お前だって運動神経は良いし何でもこなせるだろ? 足も速いし料理も出来る。体力も文句ないし何より誰とでも仲良くなれる。……むしろお前の苦手な事って何だ?」

「……戦う事が一番苦手。今苦手克服しようとしてるけど。それを除けば……うん……。地理とか凄く苦手。地図を読むのも少々ばかり怪しい。方向音痴ではないけど……」

 その言葉にサリスは小さく笑った。

「ああ。お前にも苦手な事があったんだな。そりゃ良かった」

「あと歴史とか礼節とかその辺りも超苦手だよ」

「ははっ。俺もだ」

 そう答えたサリスを見て、プランはくすっと笑みをこぼした。


「エージュは何かある? やってみたいサークル」

 その言葉に何やら難しい表情を浮かべていたエージュは我に返り、少し驚いた後作り笑いを浮かべた。

「え、ええ。私は……そうですね。乗馬か……後は魔法関連のサークルを見学してみたいと。これでも多少は魔法が使えますので」

 そう答えると、プランはなるほどと頷いた。

「うん。それも凄く貴族っぽくてエージュぽい。少々でも魔法が使える辺りも何かそれっぽいし、乗馬を嗜むってのもいかにもな貴族っぽい」

 そう答えると、エージュは優しく微笑んだ。


「二つほど勘違いしてるぞプラン」

「へっ?」

「まず、こいつは少々って言ってるがそんな次元でなく、実戦レベルで魔法が使える。剣も使えて魔法も使えるというめっちゃやっかいなタイプだ。…体力が致命的なほどみそっかすだが、もしこいつに体力があれば武官になれる可能性すらあっただろう。それくらいこいつは強い」

 サリスの言葉に、エージュは肯定も否定もしなかった。

「……私、友達に恵まれてるね。片や運動神経が凄くて、片や実戦レベルの魔法使い。うん、何か一緒にいるのが少しもうしわけなくなってきた」

「いや……お前も……。いや、何も言うまい。能力で一緒に行動するって決めたわけじゃないしな」

 そんなサリスの言葉に、エージュも何度も頷いた。

「じゃ、何を基準に一緒に行動するの?」

「は? ダチ以外の理由が必要か?」

 そんな事を当然のように言い放つサリス。

 それがとても嬉しくて、プランは二人をそのままぎゅーっと抱きしめた。


「んでサリス。もう一つの勘違いって何?」

 抱き着いた二人に苦笑いされながら引きはがされた後、プランはサリスにそう尋ねた。

「ああ。こいつが乗馬したいって言ったのは、貴族だからじゃなくてただ単純に馬が好きだからだ」

 ニヤニヤしながらサリスがそう言葉にすると、エージュは頬を染めてぷいっと顔を反らした。


「へー。良いじゃんお馬さん。んじゃ乗馬サークルに行ってみようか」

「プランさん……。私は素敵な友達を持ちました……。ですが、プランさんの希望は良いんですか? 正直私はプランさんに合わせるつもりでしたが」

「俺もだ」

 二人がそう言うと、プランは少しだけ考え込んだ。

「いやー。やりたい事の方向性は決まったけど具体的には決まってないからね。一応乗馬も方向性的には間違ってないかな」

「……プランさんのやりたい事って何ですか?」

「強くなる事。ただそれだけ。そういう意味では乗馬ってのも悪くないよね。一人で強くなる事に限界があっても、一人と一頭だとその限界はないし」

 そう言ってプランは――笑った。


 索敵範囲の増加だけでも軍事的に有効であり、戦闘以外でも行動範囲が各段に広がる為商売にも有用。

 乗馬を覚えて損をする事は決してないだろう。


「……ま、今は良いか。これから長い付き合いになるんだ。それから考えれば良い」

 サリスはそう言ってプランの頭をぽんと叩いた。

「へ? へ? どゆこと?」

「何でもないさ」

 そう言ってサリスはプランの頭をわしゃわしゃと撫でまわした。


「プランさん。ちょっと良いです?」

 エージュはプランの傍に来ると、耳元で、非常に小さな声で呟いた。

「昔の身元を隠すのであれば、もう少し頑張りましょう。苗字もなく定住していない普通の人は、歴史や地理を勉強する機会はないですよ?」

 その言葉にプランは目を丸くし、おでこに手をぺたんと叩いた。

「……あちゃー。ごめんね? でも、嘘はついてないんだ。ただ……うん。言えない事なんだ」

「構いませんよ。私にも隠し事の一つや二つはありますし、それにプランさんが悪い人でない事くらい見てわかりますから」

 そう言ってエージュは優しく微笑む。

 その笑顔に、プランは何も語れず小さな棘のような罪悪感を覚えた。




 馬車で移動した後数分ほど歩き、三人は目的の場所に到着した。

 恐ろしいほどに広い範囲が柵に区切られており、その中で馬達は優雅に走り回っていた。


「……おおう。本当に好きなんだ……」

 プランは馬の方を見ながら目がハートマークになっているエージュを見て、驚きながらそう言葉にした。

「おう。しかも、理由はわからないが自分の領ではあんまり馬と触れ合えなかったらしい。だから尚の事だろうな」

「そか。……んでさ、ちょっと予想外なんだけど、どうしたら良いだろこれ」

「おう。どうしよかね。俺もわからん」

 二人は柵に区切られた馬用の牧場、それが三つも四つも見える為どこに行けば良いかわからず、そう呟いた。


 そうこうしてどうしたものかと困っている二人と、二人の事を無視するかの如く馬を見つめているエージュ。

 そんな三人の元に、乗馬している男性が牧場内から走って来た。


 優雅に走る白く美しい馬と、その上に乗った綺麗な顔をした乗馬服が非常に似合った青年。

 まるで白馬の王子様のような男性は三人の傍に寄り、柵越しに話しかけて来た。


「やぁ。良い天気だね。今日は絶好の乗馬日和だよ。……おっと申し遅れた。僕の名前はアルフレッド。アルフレッド・フリューゲル・マルタ。一応このサークルの会長をさせてもらっているよ。よろしくね」

 そう言った後、アルフレットは爽やかに微笑んだ。

「ふ、二つ名持ち……」

 プランが驚きそう呟くと、アルフレッドは首を横に振った。

「うん。そうだけど、僕は別に凄くないから気にせず普通に、気軽に呼んでくれると嬉しい。僕が凄いんじゃなくて、僕の愛馬であるこの子、フリューゲルが凄いだけだから」

 そう言ってアルフレッドは優しくまたがっている馬を撫でた。


「ああうん。じゃ気軽にアルフレッドさん。二つ名と馬の名前が同じですけど――」

 その言葉を発した瞬間、さきほどまでさわやかイケメンオーラで溢れていたアルフレッドは腹が立つほどのドヤ顔となった。

「うむ! よく聞いてくれた。さあ聞いてくれ。我が愛馬フリューゲルの偉大なる活躍を」

 その後、アルフレッドはまるでオペラのように激しく、情熱的に乗馬をしたまま身振り手振りで自分の馬がいかに凄くて恰好良いかを語りだした。


「ああ。俺一つわかったわ」

「何が?」

 うんざりした顔のサリスにプランはそう尋ねた。

「こいつがどうしてこんな女共にキャーキャー言われそうな外見してるのにわりに女っけがないのか、その理由だよ。これをすればほとんど女は引くだろう」

「……そうね。自分ではなく馬の自慢をするのは悪くないけど……ちょっと……いえ、めっちゃくどいわ。確かにほとんどの人は……うん。距離を取ろうとするだろうね」

 そう言いながら、二人はアルフレッドの話を真剣に聞き入るエージュの姿を見つめた。


 やたらと自慢げで、ねちっこいアルフレッドの話を要約すると……とある相当高貴なお貴族様が病に伏し、薬がないと一分一秒の猶予が許されないという状況になった。しかもその薬は遠く、しかも危険な場所にある為軍ですら簡単に手出しできない場所だった。

 そんな、誰もが諦め本人ですら後継者の事を考えていた時に、薬を届けたのがアルフレッドとフリューゲルだった。

 軍が動いても不可能であると言われた事をやってのけた事。

 何より、我欲を持たずに人々を救ったその高潔さに貴族は偉く感心し、自分の娘と結婚してほしいとアルフレッドに申し込んだ。

 アルフレッドは自分にはもう心に決めた人がいるからとそれを断った。

 その時、それなら何か欲しいものはないかと言われ、二つ名を授与される事となった……らしい。


 長い上にくどい為その位しかプランは聞き取る事が出来なかった。

 そして、これ以上この話をして欲しくないからプランは深く聞くのも止めておいた。


「えと、アルフレッドさん。私達乗馬サークルの見学に来たのですがよろしいでしょうか?」

 プランが差し込むようにそう言葉にすると、アルフレッドはドヤ顔を止めて一瞬で元の優しく微笑む好青年に戻った。

「ああ。もちろん良いとも。その前に一つだけ誤解を解かせてもらって良いかな?」

「え、ええ。何でしょうか?」

 プランはまたさっきの話に戻るのではないかと怯えながら頷いた。

「色々と都合があって乗馬サークルを名乗ってるけど、乗馬以外にも馬関連なら全部大丈夫なサークルだから。単純に馬を見たいだけでも良いし、馬を描きたいからって来る絵描きさんも所属しているよ」

「あ、そうなんですね」

「うん。というわけで誤解を解いたところで、簡単にサークルについて説明するね」

 アルフレッドはさっきまでと違い、聞きやすくわかりやすい説明を始めた。




 乗馬系サークル『馬』なんて安直な名前のサークルだが、それにはしょうがない理由があった。

 現在『馬』は合計八つの馬専用の牧場を管理しており、その全てが別の用途に使われている。

 ただ乗馬するだけの牧場もあれば、戦闘用技術の訓練場やレース用の牧場、他にも一部の飼育が許可された人物以外立ち入り禁止の見るだけの牧場もある。

 それらは元々、全て別のサークルだった。


 昔は乗馬や馬術の戦闘専門、馬の治療や馬の魔法研究等様々な馬系サークルが存在していた。

 最大規模の時は、サークル数は四十を超え、牧場も二十を超えるほどの規模となっていた。

 だが、そのほとんどが予算不足でまともにサークル活動を行う事も難しい有様でもあった。


 ただでさえ金のかかるサークル活動に、馬関連と広大な土地の所有と言われて、学生が維持していく事は簡単な事ではなかった。

 そんな中、弱小サークル達はどうしようか考えた末に別のサークル同士の合併という方法を考えた。

 だが、これには大きな欠点があった。

 弱小サークル二つ程度が合併して、土地を共有した程度では焼け石に水でしかなかった。


 そして更に考えた結果、馬系で唯一黒字を叩きだし、金に全く困ってないどころか金がもうかっている馬系サークルが全てを吸収合併する事となった。

 それが乗馬系サークルである。


「というわけで、そこそこ貴族の方が遊びに来ていたのと、当時の会長がえらく有名な冒険者らしく、溢れんばかりの金を使ってサークルを一つに纏めんだ。だから乗馬系って名前だけは残っちゃったけど、ここは総合の馬関連のサークルなんだよ」

 アルフレッドの言葉に三人は納得したように頷いた。

「それで、実際の活動を見学されてもらう事は可能でしょうか?」

 食い気味にエージュが尋ねると、アルフレッドは満面の笑みで頷いた。

「いや、どうせなら体験していきなよ。君なら間違いなく、入会条件を満たしているし」

「……入会条件って何でしょうか? もしかして貴族とかなら……」

「いやいや。馬のサークルへの入会条件なんてたった一つしかないでしょう。というわけで三人に尋ねるよ。馬は好きかな?」

 にこにこするアルフレッドに対し、三人は同時に頷いた。

「うん。入会条件は全員満たしていると。んじゃ、君達が良ければ、ちょっと体験入会をしていかないかな?」


「……あ。私恰好……」

 満面の笑みだったエージュは非常に大切な事に気が付き、しょんぼりとした表情を浮かべた。

 サリスは少々足や腕が露出しているが非常に動きやすい恰好で、プランはいつも通りの服装。

 この二人の服装なら問題なく乗馬が出来るだろうが、エージュの恰好はドレス風の服装である為、乗馬に適しているとはとても言えなかった。

 乗れない事はないだろうが、初心者の乗馬体験で着て良い恰好でないのは確かである。


 そんなエージュに、アルフレッドは優しく微笑んだ。

「大丈夫。乗馬服のレンタルもあるから三人共着替えておいで。他人の着た服が嫌なら新品もあるけど、そっちなら買取って形になるよ。ああ。これも言っておこう。サークル自体は一切お金を徴収しないけど、本格的に乗馬をするとどうしてもお金が沢山かかるからさ……うん。悪いけど入会するならある程度は覚悟しておいてね」

 そんなアルフレッドの言葉に頷き、プランとサリスはレンタルし、エージュは新品の服を購入し着替えた。

 別に他人の着た服が嫌なわけではなく、ただ単純に、エージュは既に入会する気満々な為、どうせ買うなら後でも先でも変わらないだろうと思い購入を決断した。


 新しい衣装に着替えた三人だが、一人ばかり少々悲しい事となっていた。

 エージュは貴族らしく様になっており、サリスはスタイルが良いからか非常に見栄えする恰好となっている。

 ただし、プランだけは何故か子供が無理して大人の服着ました感満載といった感じとなってしまっており、何とも言えない悲しみがプランの中に渦巻いていた。


「……胸か、胸のせいなのか……」

 プランはしょんぼりしてそう呟くと、サリスは首を横に振った。

「すまん。身長も、腕や足の長さ、全部が足りてないと思うぞ。そいや、お前何歳なんだ。もしかしたらまだ伸びるかも……」

「十五ですが」

「……ああ。そうか。たった一個しか違わないのか……。うん、諦めろ」

 サリスの言葉にプランは露骨なまでにしょんぼりしながら頷いた。


「はい。三人共良く似合っ――うん。似合ってはいるね。うん。えと……僕が指導した方が良い? 女性の方が良いって言うなら誰か連れて来るけど」

 アルフレッドはプランの恰好について余計な突っ込みをいれず、笑顔を崩さずそう言葉にした。


「会長なら問題ないよね二人共?」

 プランの言葉に二人は頷き、アルフレッドの方に視線を注目した。

「うん。じゃあ僕が教えるね。んで、君達どのくらい乗馬経験があるかな? せっかくだし、自己紹介もしつつ教えてくれるかな?」

 その言葉に、三人共頷いた。


「じゃ、まず私から。プラン。貴族でもなければ苗字もないただのプランです。乗馬経験は……馬に乗って走った事くらいならあるけど、あんまり得意じゃないかなー」

 ――そいや、良くハルトやリカルドの背に乗せてもらったなぁ。

 そんな事を思い出しながら、プランは小さく微笑んだ。


「んで次は私。会長さん私の事はサリスって呼んでくれ。本名や苗字で呼ばれるのあんま好きじゃないんだ。男みたいな性質だからな、それくらいの方が丁度良い。馬に乗った経験はぼちぼち。ま、それなり以上には自信はあるぜ」

 そう言ってサリスは微笑み、アルフレッドも頷きながら微笑んだ。


「では最後に私が。エージュ・バーナードブルーと申します。乗馬経験は恥ずかしながらあまり……。昔から馬は(狂おしいくらい)好きでしたが危ないと言われあまり近づく事が出来ず……。誰かの補助なしには馬に乗った事すらございません」

 エージュは酷く恥ずかしそうにそう呟き、ぺこりと頭を下げた。


 三人の自己紹介が終わったと同時に、他の騎手が馬を三頭ほど連れてアルフレッドに手綱を渡しそのまま去っていった。


「うん。三人の事はわかったよ。とりあえず三人の為に初心者でも乗れる馬を連れて来たからまず乗ってみようか。……エージュさんは僕がマンツーマンで教えるから安心して」

 その言葉に頷いた後、エージュは絶望的な表情を浮かべ、地面に蹲った。


「ど、どうしたのエージュさん。男に触られるのが嫌なら誰か呼んでくるけど?」

 おろおろとした表情でそう尋ねるアルフレッドに、エージュは蹲ったまま首を横に振った。

「そんなどうでも良い事ではないんです! ああ……お馬さんが三頭も……。選んで良いなんてなんて至福……。でも、それなのに乗れるのは一頭だけ……ああ……魅力的な三頭……。私には選べません……」

 ぷるぷると体を震わせエージュはそう慟哭した。


「……あいつに任せると長そうだし俺らで先に選ぼうぜ。プラン、先に選んで良いぞ」

 苦笑いを浮かべながらプランは頷き、さきほど連れてこられた三頭を順場に見つめた。


 一頭目は自分の髪と同じような栗色の、とても毛並みが良く、若干丸みを帯びた馬。

 瞳はつぶらできゃるんとして、人間だったら相当器量良しになるだろうなという可愛らしい馬だった。


 二頭目は赤褐色の混じった黒色の馬で、他二頭と比べて少しだけ大きい。

 何となく強そうなイメージがあり、サリスに良く似合いそうだなとプランは思った。


 三頭目は栗色よりも更に薄い、クリーム色をした馬。

 体格は普通だが手足が少し細身で、またどこかか弱げな印象がありやけに寂しそうな瞳をしていた。

 プランは、その瞳に弱かった。


「私この三頭目のにするわ。おいで」

 プランがそう一言声をかけると、クリーム色の馬はプランの方にとてとてと寄って頭をこすりつけてきた。

「驚いた。確かに皆人懐っこい馬だけど、いきなりそこまで懐くなんて」

 アルフレッドはプランとクリーム色の馬を見てそう呟いた。

 驚いたと言っているが、その表情はとても嬉しそうだった。


「……人だけじゃなくて、お馬さん誑しでもあるのですね」

 エージュは妬みと嫉妬の炎を燃やしながら、鋭い視線をプランに飛ばした。

「あ、あはは。この子が寂しがりなだけだよ」

 そう言ってプラン頭をこすりつけてくるクリーム色の馬を優しく撫でた。


ありがとうございました。

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