表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あるエルフ少年の復讐譚  作者: ポムの樹
第一章 
6/6

その女性を一言で表すならば赤というのが正しいだろう。

全身は真っ赤なワンピースに覆われており、真っ白の足と手が際立って見える。とても森の中で行動できるような服装ではない。血赤色の眼球は煌々と光り輝き見るものを魅了する。


「大丈夫ですかぁ?」


「え、ぁはい。あのえっとあなたは?」


「まぁとりあえず着いてきてください。私の家が近くにあります。そこでいろいろ話しましょう。お腹も空いてるでしょ?」


その女性は俺が話しやすいようにわざわざ屈んで目線を合わせてそう言った。その言葉は今の自分にとって喉から手が出るほど美味しいものであり俺には断るなんて選択肢はない。

そこで俺はエリーの頭を優しく撫でながらゆすり起こしながら呟いた。


「エリー…助かったぞ。もう心配ない。あぁ」


視界は徐々にぼやけて頬を暖かい水滴が流れた。死を覚悟していたのにそこに救い糸が垂れて来たのだ。そんな時に泣かない子供はいない。そう考えた瞬間決壊が壊れ涙がとめどなく流れ出した。

そんな俺を彼女は聖母のような慈愛に満ちた表情で眺めていた。


「あれ、どうなったの。私生きてる…?」


スズは死を覚悟していたのか自分が生きているのが信じられないように、そうこぼした。


「おはようございます。お嬢さん。もう大丈夫ですよぉ」



「このお方が助けてくれたんだ。ご飯も貰えるらしいからついて行こうぜ!」



その言葉を聞いてやっと安心したのだろうか。張り詰めていた緊張感が緩和され、空気が落ち着きを取り戻した。


「でもカイルはどうなるの。私このままでカイルを置いていけない。」


「カイルって言うのはその死体のこと?あんしんしてもちろん離れ離れにはさせないから。」


そういうとその真っ赤な女性はカイルをお姫様抱っこして持ち上げた。


「ついてきて」


俺たちはその言葉に従ってその山のように大きく見える背中を追った。その足元には返り血なのかカイルの血なのかは分からないが血が飛び散っていて、血溜まりができていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ここまでで伏線がいくつも張られている。読み返す事に発見があり、とても読み応えがある。 [気になる点] カイルの生死。妹が普通に寝てること。 [一言] 続き待ってます。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ