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あるエルフ少年の復讐譚  作者: ポムの樹
第一章 
5/6

野戦

長らくお待たせしました

続きです

「死ぬ…死んじゃう…こんどこそ…あああああ!!!!」


「エリー!落ち着け‼冷静になってどうすれば生き残れるか考えるんだ。そうしないと本当に死ぬぞ!!!」


俺はエリーの激しく震える小さな体を包み込むように抱きしめた。


『フレイムウェェイブ!!』


カイルの周囲に炎の球がいくつも発生し、魔獣を暴れ狂うように襲う。さらに着後大爆発を起こし世界を数秒間爆炎が支配する。


「やった……か…?」


しかしそこには毛皮を黒く輝かせる獣の姿があった。


「おっ俺様の技が効かないだと…」


「もうダメ。終わった。」


スズは気力なくそうこぼした。その顔はうつむいていて見えないが絶望していることが分かる。カイルはもう為す術がないかのように大の字で仰向けに倒れている。


その時突然竜車が動き出した。車は荒々しくも高速で走っていく。


「なっなにぃ!?」


そう叫ぶエリーの言葉を聞きながら俺はどこか希望を感じていた。


「なぜかは分からないが竜が走り出したんだ。これなら逃げ切れ…あっ」


そのとき俺は気づいてしまった。その理由を…

そこには腸がこぼれて目が血走っているドラゴンがいた。

波状攻撃のように次々とドラゴンに飛びかかっている。


「きゃぁぁぁぁあああ!!!」


その声はすぐ背後から聞こえた。とっさに振り向くとそこではスズが襲われていた。


「スズに手を出すなあ!」


カイルの拳が狼を襲う…が、虚しく空を切った。そしてそのに伸ばしたはずの左腕はまるで何も無かったかのように跡形もなく消え去っていた。


「え゛……あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛」


熱い。赤いシャワーがダムが決壊したような勢い空を舞った。カイルは絶叫を響かせながら転げ回った。腕がないことが信じられない。まだそこに感覚は残っている。脳が心がその現実を受け入れることを拒否しているのだ。


「カイル!起きろ!死ぬぞぉぉ!」


凶刃は留まるところを知らない。黒光りの物体が飛んでくるのが見えた。


そして……轟音が聞こえたかと思うと…俺は空を飛んでいた。腕の中には縮こまったエリーがいた。


「はぁ?」


次の瞬間大地にたたきつけられた。鋼鉄のバットで背中を殴られたような信じ難い激痛が全身に走る。叫び声をあげようとするが、体それを許すはずがなく、血塊が口から飛び出す。


「おにぃ。どうなってるの?」


エリーが今にも死にそうな弱々しい声で尋ねる。俺はその声を聞いて少し冷静になった。現状把握をするために周りを見渡す。

遠くに巨人に握りつぶされたかのように粉々になった荷車だったものが見えた。そのさらに奥には力なく横たわるドラゴンとそれに群がる何十匹もの魔獣の姿が見えた。

カイルとスズはどこに行ったのだろうか。


「こっちよ」


後ろから声が聞こえた。振り返るとそこには意識がなく死んだように眠っているカイルとその横で小さくうずくまっているスズが滝の裏の洞窟の中に隠れていた。

エリーを連れて、重い体を何とか引っ張りながら洞窟の中に何とか逃げ込むと俺は気になっていたことを問うた。


「さっき何があったんだ?」


「詳しくはわからないわ。私が知っているのは竜車の勢いが上がったのとその次の瞬間に確かに聞こえた竜の断末魔だけよ。」


スズはそれ以上話さなかった。

おそらく荷車はその勢いに耐えきれず大破してしまったのだろう。


*****


長い夜が開けた。滝の水を飲み、また力なく座り込む。

カイルは既に事切れていた。おそらく血を流しすぎたのだろう。もう何もやる気が出ない。ここで死を待つのだ。

エリーはまだ幸せそうに眠っていた。

洞窟の入口から声が聞こえる。


「くばぁぁああああ!ゥヴぁァァァ!!」


そこに居たのは体長2メートル程の茶色の巨大なくまとその2回りは小さい黒い中型のくまがいた。おそらく洞窟の主なのだろう。スズは今まで見た事がないような顔をしていた。まるで全てを許してくれる女神のようだった。

俺はとうとう死ぬのか。思えば不幸な人生だった。エリー俺を呪ってくれ。大事な妹すら守れないひ弱な俺を。

いや俺にはまだやることがある。あの悪魔を殺さなければ


「こんなところで死んでたまるかあぁぁぁぁ!!!」


そう叫んで大型のくまの顔に飛び蹴りをかました。しかし鋼鉄を蹴ったかのようにビクともしない。そしておもむろに中型のくまが手を前に出した。

それだけで俺は洞窟の奥へと吹き飛ばされる。


「くそがァ」


もう一度攻めようとするが体が全く動かない。

そしてそのクマはエリーに手をかけようとした。


「やめろぉぉぉぉおお」


しかし危惧していたことは何も起こらなかった。突然黒いくまがこっちに吹っ飛んできたのだ。


「これは一体どういうことなんですかぁ」


その言葉の主は楽しそうに笑いながらゆうゆうと歩いていた。

中型のクマが凄まじい形相をしてその謎の女に渾身のタックルをしようとするがあっけなく避けられてしまう。


「遅い」


彼女は突進の隙を突いてくまを横から殴った。凄まじい風が吹き、獣の腹には文字通り風穴が空く。

もう1匹は仇をうとうと超高速の飛び蹴りをかました。しかし

見切られていたかのように下に潜り込まれ顔面にひじを叩き込まれてしまう。


「ヴぁァ」


しかし何とか持ちこたえ次の攻撃に備えるが、目の前には誰もいなかった。


「こっちですよー」


その声と同時にその女は後ろからくまの首に飛び乗りそのままねじ切ってしまった。


「さてと、とりあえずここから出ましょうか」


そう言うとその人は血まみれの顔で微笑んだ。









分かりにくいとことか誤字とか言ってくださるとですかります

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