プロローグ
「死ねぇぇぇぇぇ!!」
どこかでそんな声が聞こえる。視界は真っ赤に染まっており、木炭を含む風が激しく頬をなでている。
「逃げてぇぇぇぇぇ‼」
いつも耳にする声がいつもより荒々しく脳に響く。そして衝動的に体を動かそうとしたが指先まで全く動かない。
すると体の上に何か生暖かいものが覆いかぶさった。
「……あなた達だけは……絶対に…死なせ……ない…」
その何かは熱い液体を吐きながらそういったー気がした。
そしてその言葉を最後に俺は気を失った。
*****
「ーさかエルフが本当に存在したなんてな。俺たちも来た甲斐があるってもんよ!」
「こいつらは王族でさえ持っていない。コイツラ全員売り飛ばしたらとんでもない金が手に入るぞ!」
「エッヒャッヒャッヒャッヒャァァ‼」
そんな声で目を覚ました。
ーここは…どこだ?体が妙に熱い特に手首…
そう思い手首のほうを見ると手錠が手についていた。
ッッッッッッあぁェぇ?!
声にやらない悲鳴を上げながら激しく狼狽し、数秒息が詰まる。
何とか息を整えて、情報を集めようと周りを見渡す。
するとほとんど服を着ずに黒いローブを巻いた同い年ぐらいの幼いエルフが、大勢いて、隣では妹のエリーが眠っていた。
彼女の顔を見ると少々気も和らいだ。
その瞬間世界が揺れた。顔面を地面に強打し、意識が朦朧とする。
「君たちは…まさかエルフかい?」
その声とともに揺れが止まり、世界に光が指した。どうやら何かの乗り物に乗っていたようだ。
「あ、あなたは?」
エリーが俺の手を強く握りながら、目の前の大剣を細い体で軽々と担ぐ謎の青年にそう問うた。どうやらエリーもさっきの揺れで目を覚ましたようだ。
「僕…僕は……」
そこで俺は一日の間にいろいろなことが起こりすぎたせいで疲労でもう一度気を失った。