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テスト返しと赤毛との出会い


実力テストを受けて明後日。運命の日がやって来た。


「えっと、じゃあテスト返すぞ」


先生の一言でクラスがざわめく。


「1番から取りに来てくれ」


そして、次々と受け取る生徒。出番が近づく。


…そして、私もテストを全て受け取った。

どうなった?どうなったの?恐る恐る点数を見れば、全部綺麗に60点。


シャアアアアア!心の奥でガッツポーズをして席に着く。なつちゃんも心なしか嬉しそうだ。


「平均点は綺麗に60点だった」


先生の言葉に更に私は喜んだ。





テンションって高くなるとおかしくなる人っていっぱいいるよね?私がそうなんだけど考え事してるとテンションが高くなるタイプなんだよね。


テスト返しで舞い上がった私は調子に乗ってある計画を考える。その計画は高校生が楽しめるショッピングモールを建設することだよ!


建設者私、店舗案私、デザイン私の全て私によるプロジュースのショッピングモール!それを発想してつい考え事してしまった。


私は考え事をしてると階段を上る癖があります。会社では、1階から40階まで結構上り下りしてた。時々すれ違う社員に何でこんな所に子供が…みたいな目で見られたことが…。


と、とにかく、考え事して、屋上まで上っていたらしい。そして、気がついた時には春の爽やかな風を全身で受けていた。


なにをしてるんだ。私は。というわけで引き返そうとすれば、屋上の入口の上に人がいるのが見えた。…寝てる?


恐る恐る梯子を登ってみれば、赤毛の少年がいた。真っ赤な赤を頭に持つ少年は私が覗き込んでいるのに気づいたのか目を開けた。



「…なんだお前。見てんじゃねーよ。カス」


ほおお、カスって言われた!生まれて初めてカスって言われた!何だろう。カスって響きが素敵に聞こえる。


って言うか、初対面の人にカスって呼べるんだ~。凄いな。私だったらおじさんとか、亮くんあたりになら言えるかな?


「おはよう、カス」


って言ったらどんな反応されるかな?おじさんは突っ込んでくれそうだけど、亮くんは蔑んだ目を向けてきそう。。それはそれで怖いわ。


「おい?聞いてんのか?さっさと行けよ」


よく見れば、赤毛の少年は顔が整っている。どこかのアイドルにいそうな…。はっ!


「ねえ、少年!アイドルやりなよ!」


そうだよ!彼は売れる!売れるに違いない!私の第六感がそう言っている。


「は?お前…何言ってるんだ?」


少年は大丈夫か?みたいな目で私を見る。大丈夫です!あなたのような輝く原石を見つけられるこの第六感は衰えてません!


「ねえ、本当にやらない?事務所紹介するから!」


「はあ?俺、そういうのやらねえし…」


たじろぐ少年。


「名前!名前何ていうの!?」


私は興奮して叫ぶ。


「うるせえよ!」


少年も負けずに叫ぶ。勝負か?


「いいから!教えて!」


私は負けずに少年の襟を掴み、顔を近づけて言った。


「は?…分かった!分かったから揺らすなよ!揺らさないでくれ…!」


「じゃあ、名前は?」


「…赤羽 海叶かいと


「じゃあ、赤羽くん!何年何組!?」


赤羽くんは少し視線をさ迷わせてから答えた。


「1年3組…」


「よし!放課後、一緒に来てね!来ないと追いかけるよ!私、ストーカーについて多少の知識はあるんだから!」


私は彼の襟を離して仁王立ちする。


「あ、ああ…」


悔しそうに顔を歪めて力なく座る赤羽くん。


よっしゃー!大収穫!


アイドルじゃなくてもモデルとして行けるし!


「お前…。お前は名前なんて言うんだ?」


しばらくして赤羽くんがそう言った。


「私?私は白雪誠」


「誠…てめぇ覚えてろよ?」


赤羽くんが不敵に笑った。

…なぜ笑う。


「覚えてるに決まってんじゃん!」


ドヤ顔でそう言えば、赤羽くんが笑った。


「お前…面白いよな」


いや、いきなり突進してきた私を面白いって笑うあなたの方が面白いと思う。…私、今になって彼に強引なことしたわ…。考え事が頭ぶち抜けてハイになってたわ。メモリアルの件も含めてその点は反省しないと。取り敢えず、見つけたもんは見つけたからアイドルに絶対させるけどね!


「…そうかな?」


そんな黒い自分を隠して言ってみれば、赤羽くんは私を真っ直ぐ見た。まあ、彼座ってるから下から目線なんだけどね。心なしか顔が少し赤い。


「ああ。変わってると思う」


…どうしてこうなった。




次回は赤羽目線です!

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