表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/93

1話完結のつもりが長くなりすぎました;

よって、今は2話連続投稿になります。こちらは連続投稿1話目となっております。間違えないようにお願いします。




― 一度心からの礼をしてみたかったんだ。俺を変えてくれた彼女へと。 ―




 「社長、今日は何処かへお出かけになられるのですか?」


朝、起きて身支度を済ませ、書記の車に乗る私。


「うん。そうだよ。今日はテレビ局へちょっと出かけるんだ。何か用事あった?」


「いえ、今日は急ぎの仕事はありませんよ。ただ、今日の社長の服装はいつもと違く感じたので」


「あ、わかる?今日はテレビのバラエティー番組を見に行けることになった女子高生を意識してみたんだ。ちょっとさわやかなチェリーのワンピースに赤いシュシュにポニーテール。ちょっと化粧も付けているわくわくした感じをイメージしたんだ」


「なるほど…社長が本気になれば男装もできますしね」


「ふふ、書記が女装したいときは言ってね。いつでも完璧な美女に仕上げられるように準備しておくから」


そう言えば、書記が複雑そうな顔をした。


「それは…嬉しくない準備のような。使う機会がないことを私は祈ります」


どうやら女装に対していい思い出がないようです。まあ、大学であったことを考えれば書記が女装に対していい思い出がないのも理解できる。…女装喫茶は痛かったなあ。


なんやかんやぺちゃくちゃしていたら会社に着いた。そして朝議を終えて、いつも通り、社長としての一仕事を行う。キーボードをパチパチと鳴らしていていればリーンリーンと音が鳴り響く。時間だ。スマホのアラームから鳴り響いたその音を聞き、急いでデータを保存し、電源を切る。そして、書類に埋もれていたスマホを取り出し、アラームを切る。切ると同時にドアのノックの音が聞こえる。返事をすると、書記が入って来た。


「社長、もしよかったら私がお送りしましょうか?」


満面の笑みでそう言ってきたので満面の笑みで言葉を返す。


「じゃあ、ここの部屋の片づけよろしく」


書記が満面の笑みのまま固まっているので放置し、社長室を出てエレベーターへと向かう。無事に会社を出てテレビ局へ向かうために駅へ向かう。ちなみに会社ではお父さんに用事があって来た娘といった態度でやり過ごした。駅前になるとたくさんの人が声を掛けてくるが、なんなく躱し駅の中へ入る。テレビ局の最寄駅の切符を買い、ホームに出た所で丁度電車がやってくる。その電車に乗り、最寄駅まで行き、テレビ局まで歩く。テレビ局に着くと、テレビ番組招待状のチケットを見せる。それを見たテレビ局の人がひも付きのネームプレートを渡してくれた。一般と書かれたそれには横に少し赤い丸が付いていた。


「そのネームプレートは番組のスタジオ付きましたら外してください」


「わかりました」


スタッフさんにお礼を告げ、番組の行われるスタジオまで移動する。今回通る通路は一般客用の通路で、お仕事用の通路ではない為、もちろん芸能人とはすれ違ったりはしない。たまに忙しそうに人が通り過ぎるくらいだ。通路の様子を見ながら目的のバラエティー番組が行われるスタジオへと入る。スタジオにいるスタッフさんにネームプレートを渡し、スタジオにセットされた観客用の席へと座る。すでに観客はなんにんか入っており、興奮気味にゲストに関する話をしている。それを横目にセットを見れば、テレビでよく映る明るい雰囲気を醸し出すデザインのセットであることが分かる。

 今回見学する番組は我が白雪社の白雪事務所が誇るアイドルユニット『ラディアン』がメインキャストのいわゆる、事務所プロジュースの番組だ。白雪社、白雪事務所に縁のあるゲストの登場は恒例だし、逆に仲の悪い事務所の芸能人は出してもらえないというスポンサー白雪社の番組だ。



 ちなみに白雪事務所の誇るアイドルユニット『ラディアン』は男性アイドルユニットであり、白雪事務所の看板である。この白雪事務所が設置された2年前に最初のユニットとして売り出し、中々人気が伸びない低迷時代を半年過ごし、今では大手アイドル事務所の人気アイドルを抜かすほどの人気ぶりで世界的にもCDが売れ始めている。構成人数は3人。全員歌と踊りをマスターし、ファンサービスの勉強に余念がない真面目3人組である。驚くことに2年前までは高校で学ランに丸メガネという地味っぷりで3人密集していた。


それを見つけた亮君が必死にスカウトし、折れた彼らはアイドルへと転向。爆売れ、ヒットで高校受験と掛け持ちで仕事を行っている。ちなみに勉強の方は高校に時間がある時は行き、行けない時は仕事の合間に誰か白雪社の頭の良い人が教えている。ちなみに私も白霧静として教えたことはある。とても頭の回転が速く教えがいがあったのを覚えている。『ラディアン』のメンバーは青木慧あおきけい西園雷にしぞのらい北谷斗真きたやとうまの3人だ。慧は少し長めの茶髪を耳に片方だけかけていて、メンバーの中で1番歌が上手い。雷は金髪に流行のツンツンヘアーに右目の涙ほくろが特徴的で俺様系でよく恋愛ドラマなどの主演を務めている。


また、斗真は黒い髪を刈りこみがっしりとした体つきに優しい笑顔が特徴的で運動神経抜群である。そして、それぞれ個性的なアイドルであるため、固定ファンがそれぞれについている。そんな人気で忙しいアイドルグループを個人としてではなく、必ずグループで全員の顔が見れるのがこの週1でやっているこの番組、「ラディアントレンダー」だ。トレンドのファッショやアイテム、グルメ、芸能人何でもありの1時間番組である。当然この番組を直接生で見るためにチケットは毎回倍率が高い。では、なぜ私がこのチケットをもらったのか。それはね…今日のゲストに貰ったからだよ。


 観客が増えてきてスタジオが騒がしくなってきた。時間を見れば午後7時。そろそろ始まるころだ。


「観客の皆さん、説明があるのでお聞きください」


スタッフの人が説明を始め、観客は静かに聞き始めた。


まず第一に『ラディアン』が登場してきたら、拍手をする。キャー等の声は可。ただし、「けい~!」などの個人名を言うのは不可。

第二にリアクションをなるべく大きくとること。

第三にゲストが出てきた場合、拍手と声援を送ること。


この三つが主な説明だった。あとは私語は慎むなどの細かい物なので省略。…つまり今日のゲストは観客もわかっていないのだ。ゲストに招待された人だけがゲスト知っているのだ。ちなみに私はゲストからの招待でここにいる。


 「ではそろそろ始まりますのでしばらくお待ちください」


少しした後、本番始まりまーすという声でお決まりのBGMが鳴り響き、上から『ラディアン』が降ってくる。観客はラディアンの登場に歓声を上げ拍手が現場に広がる。この登場シーンは珍しく番組の関係に口を出した純のアイデアだ。観客や視聴者の度肝を抜けるし、日頃から体を鍛えているアイドルの『ラディアン』だからこそできた登場の仕方だ。最初の放送時にはネットが炎上し、テレビ局に電話が殺到した。以来、この番組は視聴率が高い。


「やあ、みんな。ラディアントレンダーの時間だよ」


「まーたこの時間がやって来たのか」


「一週間ぶりの面子だね」


上から、青木慧あおきけい西園雷にしぞのらい北谷斗真きたやとうまの順にセリフ(アドリブを含む)を言っている。


「ほんとだな。久しぶりだな、雷に斗真。元気にしてたか?」


慧が茶髪の長い髪を耳に掛けなおし、ウインクをする。そこで観客からの悲鳴が響く。


「おいおい、なに観客にちょっかいかけてんだよ」


雷が少し笑いながら慧に言う。


「…ははは、まいったな。話はそれぐらいにして今日のゲストを呼ぼうか」


「今日はどんなゲストが来てるんだ?」


斗真が腕を組んで聞いた。


「白雪事務所の後輩らしいよ」


慧が答えると雷が身を乗り出して答える。


「わかった!!メモリアルだな!」


「はい、ざんねーん。メモリアルは全国ツアーの最中でーす。来てるなんてありえませーん」


慧がドヤ顔で答える。雷は少し悔しそうに慧を睨む。


「じゃあ、アイドルか、モデルか、タレントか、それとも俳優か教えてくれよ」


斗真がそう言うと、慧は手に持っているカードを見て読み始める。


「ヒント1。最近デビューしたばかりの新人」


「最近…?最近は結構いろいろなやつがデビューしていてわからないぞ?ついこの間アイドルのデビューがあったからそれか?」


雷が答えるが慧は首を振る。


「ざんねーん。それは『新星の夜空』でしょ?4人組だから違うな…。ヒント2、単体」


「単体?単細胞生物?」


「分かった!ゾウリムシ!」


ヒントに反応した斗真の言葉に反応した雷が微生物の名前を答える。


「全く違うからね!そもそもゲストが微生物とかどうやってゲストとトークとかやるつもりなんだよ!腹話術師が隣についているのか!?」


慧のツッコミがすぐさま入る。『ラディアン』のさりげないコントに会場は笑いに包まれる。


「全く。最後のヒントね。赤い髪」


「赤い髪に新人で単体の微生物?」


斗真が首をかしげる。雷がそこで笑いはじめた。


「馬鹿、微生物に赤い髪が生えているわけないだろうが!」


「よし、じゃあ馬鹿な二人はスルーしてお客さんたちはもう今日のゲストが分かったかな?」


観客はくびを縦に振っている。私もそれに合わせて首を振る。


「じゃあ、そこの君!」


慧が指した先は私の2個隣に座っている人だった。指された女性が嬉しそうにしている中、私はほっとしていた。指された人の半径1人分がカメラに映るのだ。つまり、私は映らない。カメラが女性に固定されると女性はゆっくりとその名を口にした。


「カイト」


そこでパパララーンという効果音が聞こえ、セットの一部の壁が上昇していく。そこには、赤い髪に黒いジャケットと黒いズボンを身にまとっているカイトが両手をズボンのポケットに入れて突っ立ていた。観客席から大音量の悲鳴がこだまし、拍手が始まる。私も拍手をしてカイトが歩く姿を見守る。そのカイトの歩く先には先ほどコントわ繰り出していた大人気アイドル『ラディアン』。カイトが3人に促されて席に着き、ようやく拍手が止んだ。


「ということで今回のゲストはモデルの『カイト』です!」


慧がそう言い、メンバー次々に口を開く。


「それにしても、…俺らより歓声がすごかったよね。みんなカイトのファンなの?」


斗真がそう言って観客の方へ向く。観客のほとんどの人が首を縦に振っている。


「これは本当に期待の新人だな。俺らも負けてられないぞ」


雷がそう言って不敵に笑う。近くでキャッという声が上がる。きっと雷のファンなんだろう。


「俺ら、カイトとは初対面なんだよね。よろしく」


慧がそう言ってカイトと握手をする。それを皮切りにメンバーが自己紹介と握手を始める。おそらくこのシーンはカットだな。


「よし、じゃあ、早速一つ目のコーナー。カイトについて知ろうだな。みんな、カイトについて知りたいか?」


「「「「「「知りたーい」」」」」


慧の言葉に観客が返す。これぞ、番組の観客になるためのチケットの争奪戦が行われる理由。観客の反応でコーナーが始まるなどの観客参加型の形式がこの番組では取られている。


観客の言葉の後に、全身タイツの黒子が登場してボードを残して去っていく。ボードにはカイトについて知ろうと大きく書かれており、下に三つクエスチョンマークの付いた欄が設けられている。


「よし、現在人気急上昇中のカイト!その実態に注目だ!」


慧がそう言うと、雷が素早く立ち上がり、ボードの横についた。



みなさん、いつも読んで下さりありがとうございます。ゲストの正体、どこから分かりましたでしょうか。


――人物紹介⑥――

発芽 茜

美女。バード大学卒。第2課の課長。7人の小人の1人。自らデザインした服を着こなし、モデルをこなす。スタイルも良く、高嶺の花ならぬ高嶺の美女と呼ばれる。おしゃれでマイペースでクールだ。大峰 進と付き合っている。ツンデレ。たまに変なことを言いだす。


大峰 進

ワイルドイケメン。バード大卒。第3課の課長。7人の小人の1人。かっこよく、紳士的なため、彼のファンクラブは『オジサマファンクラブ』と名乗っている。発芽 茜と付き合っている。理系男子。


秋風 琴音

ショートカットに眼鏡、白衣を常にまとい、可愛い。医師としても1人前。バード大卒。第4課の課長。7人の小人の1人。ものすごく几帳面でスルメに目がないっスルメ女子。『ことたんファンクラブ』というものがあり、日々、彼女の写真は高値で取引されている。「白衣の天使」とこっそり呼ばれている。


夏目 亮(12)

第5課の部長。7人の小人の1人。7人の小人の誰よりも背が低く、幼い。あどけなさがありながらも目は1流であり、才能がある。大人を手玉に取るのが上手い。


東原 純

背が高く、整った顔立ち、武術で引き締まった体。バード大卒。警備課の課長。運動神経抜群で、スパイもでき、周囲の殺気を常に警戒している。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ