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目指せ1位の体育祭!10

本日4000字越えてます。


 ○×ゲームの間教室で独り寂しくお弁当食べてました。はい。クラスのみんな許して。ご飯とクラスメイトどっち取るの!って聞かれた場合の答えが出てしまった。私ってば非情な奴だ。


 そんなこんなですでに次の競技が始まっていて応援で盛り上がっている応援席にステルススキルを発揮して近づく。


 「まこちゃん!?…怪我大丈夫?階段から落ちたんでしょ?」


 私に気付いたなつちゃんが心配そうに話しかけてくる。それで気づいたのか、他の子も心配そうに見てくる。


 「私は全然平気だよ!事故で落ちちゃっただけだから!」


 「…本当に?MAIにやられたんじゃないの?」


 なつちゃんが少し目を鋭くさせ、私を観察するように話しかけてくる。残念。本当だから観察しても意味なし。


 「落ちたとしても、綺麗に受け身取れたから怪我何一つなし。全員リレーも行けるよ!」


そう言って、笑顔で力持ちを作ればなつちゃんの頬が少し緩んだ。


 「そっか。よかった。でも、何かあったらすぐに言ってね」


 「ありがとう」


 そう言い、二人で応援に戻る。今回は美智ちゃんと有紗ちゃんを含む幾人かがマーメイドの仮装をして障害物競走を行っているのだ。二人とももう終わってしまったようだけどとても綺麗で可愛い衣装を着ていた。




 そしてしばらくして、障害物競走、飴さがし、棒取り合戦、パン食い競争、大縄跳びがおわり最後の競技、全員リレーが行われようとしていた。私たちのクラスはここまでの点で4位と1位には行ってはいないけれど1学年では異例の点数らしい。最後の全員リレーは特殊で走ったタイムと平均の差で点数が出るらしい。つまり、あるクラスは80秒で走り終わりました。今回の全員リレーの平均タイムが120秒だった場合、得点は40点となる。逆に150秒かかったクラスは30点減点という、かなり平均点に左右されるシビアなものだ。


走るのは学年ごとだ。まずは1学年から。つまりは私たちのクラスも走る。みんなでエンジンを組んで意気投合する。木村君が掛け声かけた。


 「みんな、勝つぞ!!力合わせて優勝目指そう!」


 「「「おー!!!」」」


 ピストルの音によって最初は男子の阿部君が走り始める。


阿部くんは音と同時に走り出し、首位をキープしてそのままバトンを渡す。その後半分までは1位のまま走る。しかし、その後は1組、3組も主要戦力を入れていたようで抜かれてしまい、現在ビリ。ただ、私たちのクラスにもまだ主力が残っている。そう、陸上部のみんなだ。といっても3人しかいないけど。けれど、3人とも一騎当千の力を持っている。

 とうとう時間は過ぎ、ラスト4人。それまでみんな頑張ってくれていてビリではあるけれどあと少しで追いぬけるという差だ。そこでバトンが陸上部に渡る。ただ、他のクラスも陸上部だ。けれど、私たちは信じている。陸上部のメンバーがトップに躍り出てくれることを。そして、2組は3人で見事にトップになった。谷川さんから私にバトンが渡る。


 「白雪さん!」


谷川さんが真剣な表情でバトンを前に押し出す。私はそれを左手で受け取りしっかりと握りしめる。谷川さんの後ろには3組、1組とアンカーにバトンを渡そうと頑張っている姿が見えた。


 「頑張って!!」


谷川さんがそう応援してくれたのを機に走り出す。クラスの総合タイムが優勝へとつながる。よって、私も全速力で走って少しでも速く走らなければ。腕を大きく動かし、足もできる限り速く上げる。


パン!!


ピストルの音が鳴り響き、白いゴールテープを通り過ぎる。


『1位は1年2組です!』


放送の声が聞こえ、私は足を緩め、係の人にたすきとバトンを渡し、列の一番最後に並ぶ。すると、目の前の鳥羽さんが興奮気味に私に話しかけてきた。


「白雪さん!すごいじゃん!ぶっちぎりに一位だったね!他のクラスのアンカーはまだ走ってるよ!」


そう言われてトラックを見れば丁度3組のアンカーがゴールをしていた。その後ろには1組のアンカーが走っている。


「みんなのお蔭で1位になれたんだよ!ありがとう、鳥羽さんも!」


笑顔でそう言って鳥羽さんに抱き着く。


「し、白雪さん!?」


驚いたように鳥羽さんが声を上げる。私は笑顔で身を離した。


「1学年の中で1位になれたよ!これで優勝の確率が上がったよ」


「そうだね!頑張って来たかいがあったね!」


『2位1年3組、3位1年1組でした。1年生の見事な走りに拍手をお願いします』


どうやら、退場の時間になったようだ。ゆっくりと全員が立ち上がり列を作って退場する。


 退場した後、クラスのみんなで良い記録を取れたことを喜び合う。


「それにしても、まこちゃん速かったよね~」


なつちゃんが隣を歩きながらスッキリしたように言った。


「そう言えば、3組のMAIなんて口をあんぐり開けて誠ちゃんの走りを見てたよ」


有紗ちゃんがそう言っておかしそうに微笑んだ。


「あ、あとは他の学年の結果次第だね。みんな誠ちゃんの走り見て女神の降臨だって言ってたよ!」


「美智ちゃん!?なにその女神って!」


思わず私は声を上げて美智ちゃんに尋ねた。


「え、えっと誠ちゃんの走りがあまりにも素晴らしかったらしく周りの人が…」


め、目立ち過ぎた?た、確かに今振り返ってみればバトンを受け取った時はすぐ後ろに他のクラスの走者も見えた。けれど…ゴールした時には…。そっか、あまりにも集中していて気付かなかったみたい。アンカーは私がゆっくりゴールインしてバトンとタスキを渡して歩いて列の後ろまで並んだ所でゴールインを決めていた。つまり……私はどれだけ速く走ったんだろう。黒歴史がまた増えた。



 しばらくして、2年生、3年生の全員リレーが終わった。そして、最後の順位発表が行われる閉会式が始まる。ここまで先輩たちがどのようなタイムをたたき出したかはわからない。けれど、私たちのタイムはトップの方に位置するはずだ。なんせ学年で1位だからだったからだ。


『これより閉会式を始めます。まずは最後の人生リレーの順位発表です』


生徒会長が前に立ち、声をマイクによって響き渡らせる。いよいよ結果発表だ。周りを見て見ると中には手を合わせて祈っているような人もいる。私も心臓がドキドキと鼓動を大きくしているのを感じる。


『まずは平均タイムは264秒。そして、第1位』


生徒会長の綺麗な声の後にトコトコトコと太鼓の音が聞こえ、盛大なファンファーレが聞こえた。どうやら横で吹奏楽部が演奏をしているようだ。みんな、大きな音に驚いたが、すぐに前を向き、生徒会長の声の方に集中する。


『1年2組。タイムは208秒。得点は56点』


その瞬間、1年2組が湧きたった。中にも叫ぶ人さえいた。生徒会長は少し苦笑しながら次の発表を始めた。


 結果、私たちは準優勝で優勝は3年1組だった。しかし、私たちのクラスは悔しさの表情が見られず、爽やかな顔で後夜祭を迎えた。


「後夜祭のゲスト誰なんだろうね~」


「メモリアルだといいな~」


なつちゃんと美智ちゃんがほのぼのとした会話を話している。メモリアルなら亮君が今日はコンサートに連れて行っているから来れないんだ。美智ちゃんごめんね。


『さあさあ、ゲストの登場です!今回のゲストは華百合さんです!』


体育館のステージに真っ黒で艶やかな髪を頭の上で盛って、真っ赤なドレスを着た女性が現れる。ドレスは中華風の襟とヨーロッパのレースがふんだんに使われている舞踏会に出るような感じのものと合わさっている。


「え!?華百合さん!?」


有紗ちゃんが異様な興味を示し、大勢が群がるステージへの近くへと人をかき分けて進んでいく。


「華百合?私分からないな…メモリアルしか興味ないからかな?誠ちゃんは知ってる?」


「うん。華百合さんは歌手だよ。主に演歌系の曲を歌うことが多いんだけど、最近では演歌とクラシックの融合の曲を発表したり、海外でも歌を歌ったりと結構有名にな人だよ。よく呼べたよね」


「そうなんだ。…誠ちゃんて色々なこと知ってるね!」


「いやいや、そんなことないよ!でも、美智ちゃんもテレビで見たことあるんじゃない?先々シーズンにやっていたメモリアルの有栖川ありすがわ騎士ないとが主演を務めていた、『君は僕のお姫様』というドラマで弁護士の桜川さくらかわ千恵美ちえみを演じていたよ」


「え!?『きみひめ』の!?…もしかして第6話の君はまわしものではないという話の『私があなたの正体を見破って見せますわ!!』と書類を持つ手でヒロインの文島あやしま由利ゆりを指しながら言っていた人!?」


美智ちゃんの記憶力は万能なのではないかという疑惑が生まれてきた。


「…そうだよ。その桜川千恵美」


「なるほどね!さすが誠ちゃん!メモリアルのドラマを覚えているなんて!」


いやいや、私はスタッフとして裏方やってたから把握してるだけなんだけど。


「そんなことないよ」


「いやいや、今の話聞いてたけれど、二人ともすごい記憶力持ってるね。先々シーズンとかドラマ何やってたか覚えてないよ。受験生だし」


なつちゃんがそう言って苦笑いを浮かべた。そんななつちゃんに美智ちゃんが偉そうに笑った。


「はは、甘いよ、なつ。私の受験勉強はすべてメモリアルに始まり、メモリアルで終わったよ!」


「え?どういうことなの?みっちゃん」


「なんせ、メモリアルはファンの受験生の為に講義DVD、リスニングCD、英単語写真集などを出してくれてるんだから!メモリアルグッズを集めるだけで試験勉強できたから!」


おっと…。ここにもメモリアルの黒歴史が…。


「…そんなの出てたの?」


「そうよ!特にリスニングCDは何百回も聞いたよ!おかげでリスニングは満点だったしね!なんせあのメモリアルが一単語一単語、耳元でささやいてくれるの!とくにloveはやばかったよ!例文のI love you forever.なんてリピート必須だったよ!!」


そうなんです。メモリアルは勉強が非常にできる人が多かったため、女子高生、中学生向けに参考書なるものをメモリアルに絡ませて作ったのです。そうしたら、爆売れ。もう、今ではベストヒットともいえる白雪事務所定番商品として毎年発行している。ちなみに写真集の方は例えば、熟語のlookではリーダーの花咲はなさきあゆむが水着姿でカメラを覗き込む写真を撮影した。もちろん腹筋が綺麗に割れており、写真にすると近くから覗きこまれているように見える写真だ。これらの写真の関連付けにより、この写真集を買うことで成績が上がりましたというファンレターがよく届いた。なお、効果はメモリアルファンに限る模様。


この後、華百合さんが歌い終わり後夜祭が終了するまで美智ちゃんがメモリアルについてずっと語っていた。また、これらが全て違う話なのも衝撃だった。とにかく体育祭が終わり、そろそろ新入社員選考面接が始まる。そして期末テストも。会社の目標も大幅に進んできたし、一度、夏休みはアメリカに行くのもいいのかもしれない。と、美智ちゃんの話す内容に相槌を打ちながら考えていた。



みんなメモリアルファンになれ!!(洗脳)by美智

体育祭編、これにて終了です。次は何編でしょうか…。そもそも編があるのかも分かりません。しかし、新入社員選考編はまだ終わっていません。


~人物紹介⑤~メモリアル

花咲 歩

ウェーブした金髪と蒼い瞳の青年。一見クールに見えるが、恥ずかしそうに顔を赤めることがあるので可愛くも思える。メモリアルのリーダー。仕事が始まる前に呟くお決まりの言葉は「俺はメモリアルの歩。リーダーにして記憶を作る男…。ファンは神様、スタッフは天使。俺は屑。動いて笑顔なのが唯一の取り柄、しっかりしなくちゃ。しっかりしなくちゃ。俺がやらないで誰がやる。いや、誰もいねえ。俺がやるしかないんだ…」


渡辺 幹也

紫の髪に紫の瞳の青年。最近ストレスがすごく、寝れない為、隈が徐々に濃くなって来ているのが悩み。その隈がセクシーさを出していることを本人は知らない。特技はバク転。メモリアルのサブリーダー。仕事が始まる前に呟くお決まりの言葉は「俺は今日も愛を囁くのか…」


水野 冬夜

水色のショートヘアーからくりくりした目が片目だけ覗いている青年。本人曰く、女性恐怖症になる手前。メモリアルのメンバー。仕事が始まる前に呟くお決まりの言葉は「オンナコワイオンナコワイ。でも仕事だからやらなきゃ…。ファンの記憶に残らなきゃ…」


瀬理町 秋斗

茶髪で大柄な青年。熱血派。メモリアルの最年少メンバー。仕事が始まる前に呟くお決まりの言葉は「俺は熱血じゃなくて無口。俺は無口。喋らない。喋らないぞ…」


有栖川 騎士

黒髪黒目のロン毛の青年。王子様みたいな容姿をしている。本人は自分の名前が好きじゃない。メモリアルのメンバー。仕事が始まる前に呟くお決まりの言葉は「俺は騎士。ファンの騎士だ。ファンには礼儀を尽くさなければならない」


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