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目指せ1位の体育祭!7


 100メートル走で無事1位を取れ、現在応援席へと向かっている最中。もう二人三脚は始まっている。二人三脚はクラスごとに2ペアずつで計四人で参加する。1レースに6ペアで競う。この二人三脚は同じクラスごとに行われている。私達2組は3年2組、2年2組と行う予定だ。今回も順番はくじで決まっていて、1組、3組、2組の順で行われる。つまりなつちゃんの出場は応援席についてゆっくり見れるということだ。


 「ねえ、白雪さん本当に速かったね!私、負けないとか言って結構大敗したよ~」


 鳥羽さんがそう言って悔しそうにしている。


 「でも二人でいい点とれたね!」


 そう、この競技、100メートル走、二人三脚、30メートルサイドステップは1位が50点、2位が40点、3位が30点、4位が20点、5位が10点、6位が0点という配点になっている。つまり今女子だけで90点取れた。たしか男子は80点だからいきなり200点近い点数をもぎ取れたのだ。これは大きいと思う。


 「…そうだよね!白雪さん。次は勝つから!」


 鳥羽さんは瞳を燃やして私に言った。


 「次も全力で勝つからね!」

 

 そう言いながら前を見ればいつ間にかダイナマイトボディが目の前にあった。


 「うわあ!」


 驚いて止まり、前を見ればMAIがいた。


 「び、びっくりした」


 どうやら勝負について熱く語っていたため周りが見えなかったみたい。気づけば1-3の目の前を通っていた。


 「あなた達…なかなかやるわね。私のクラスの精鋭が勝てなかったんだもの」


 MAIが少し声のトーンを落として言った。


 「でも、あなた。白雪誠」

  

 MAIが私を指で差して言ってきた。


 「あなた、速く走りすぎじゃない?一体どうしたらあんなに速くなるの?」


 なにか文句を言われると身構えていたけれど、率直な疑問を聞かれた。鳥羽さんもMAIの言葉にポカンとした表情をした。


 「速くなる方法?」


 思わず呟いた言葉にMAIはそうよと言った。MAIはMAIで私の速さに驚いたのかな?


 「…あなたがいる限り私は勝てなそうなのよ。だから、教えなさい。そして、私達クラスが勝つ」


 「はあ?ただであなた達のクラスを強くして優勝させるなんてことできるわけないでしょ?」


 鳥羽さんがそう言ってMAIを睨んだ。MAIは頭がいい。きっと私が教えた情報をクラスに反映させて優勝を狙おうとしているんだろう。けれど、クラスの人も見た限りMAIに協力的ではない。仮にMAIにその情報を教えたとしてもクラスの人たちと上手く情報を共有して優勝することはできないと思う。ただ、私が速く走れる秘訣はすぐに反映できるものではないので別に教えてもなんにもならないと思う。


 「…5歳から。5歳から毎朝ジョギングしてたからこんなに速いんだと思います」


 「…5歳から毎朝ジョギング?私も毎朝走っているけれどあなたみたいに速くなれないわよ」


 「うーん。他は特にしていないからわからないです」


 本当に自分でも運動がこんなにできるなんて不思議だ。


 「じゃあ、きっと才能なんだね!さすが白雪さん!そろそろ3組だけど、観戦しなくていいの?」


 鳥羽さんがそう言って私を押しながら応援席に戻る。その時のMAIの表情は見ていなかったけど、嫌なオーラが出ていたのが忘れられない。



 「お、誠ちゃん、おつかれ!!」


美智ちゃんが暖かい笑みで私を歓迎してくれる。


 「ナイスラン!感動したよ」


有紗ちゃんもにこりと微笑んで迎え入れてくれる。そして、美智ちゃんの声でクラスメイトも戻ってきたことに気づき、素敵だったなど褒めてくれた。




そして、なつちゃんの二人三脚が始まる。思わず立ち上がり応援を始める。なつちゃんと組んでいる男子は夏木君という少し背が低く、優しい人だ。


二人が合図とともに走り出す。二人ともスタートはバッチリだ。いきなり1位に抜きんでる。


 しかし、それよりも速いペアがいた。他の学年のペアだ。


 「うわ~、上級生って速いんだね~」


美智ちゃんが感動したように言った。結果的になつちゃん達が三位、そして、もう一つのクラス代表のペアが5位だった。


 「上級生って凄いね。どんな練習したんだろ」


 「ね。ところでなつは連続で競技だけど大丈夫かな?」


 美智ちゃんと有紗ちゃんがそのような会話をしている。そういえば…。


 「生徒会の人が連続で競技に参加する人は一回入場門から出て合流して入場するって言ってたよ」  


 「そっか~、じゃあ戻って来ないのか~」


 「ちょっと横跳びの前に声かけときたかったよね」


 美智ちゃんと有紗ちゃんが残念そうだ。私も声かけときたかったな。


 そして30メートル走が始まった。私のクラスからはなつちゃんとバスケ部の夕凪春瀬という子が出場する。この子はバスケ部で期待の新人でスポーツ系女子に分類されるであろう子である。そして、対決するのは3年3組、2年1組である。

 

 


~そして、結果は惜しいの一言であった。まず、夕凪さん。彼女は2位の人と接戦で3位であった。そして、なつちゃんはとても頑張っていたが残念ながら5位であった。ただ、頑張ってサイドステップする姿に男子が釘付けだったのは言うまでもない。


 そしていよいよ女子による応援合戦が始まる。


『お次のプログラムは5番、乙女による応援合戦です。様々なクラスの女子による応援をお楽しみください。まずは1年1組の応援です。テーマは「燃えろ!1年1組」です。炎をイメージした応援にご注目ください』


 まずは1年生からクラス順に応援合戦が行われる。呼ばれたクラスの女子は応援席からロープを越えて前進し、配置につく。そして3分という短い間に曲を流しながら踊ったり応援したりするのだ。この競技の残念な所は衣装が作れないことである。つまり体育着のまま踊るので少しさびしい気がする。





 1組の応援は熱血溢れる感じで迫力があった。次は私たちのクラスだ。


『続きまして1年2組からの応援です。テーマは「勝利の女神」です。女神がどのように舞い降りるのかを楽しみにご覧ください』


 男子が席に残って見守る中私たちは中央目指して歩く。私が踊る位置は中心である。センターである。そう、非常に目立つのである。けれど、クラスのみんながそう決めたのだからしょうがない。やるとしたら全力で踊ります!


 曲は日向率いるオクロックの『目指そう』という曲だ。マラソンのイメージソングになった曲で一本の道をゴールまで頑張って走るというストーリーを織り込んだ曲だ。


 曲が流れ始めると後ろから順に立ち上がる。私は一番前なので一番遅く立ち上がる。そして移動して真ん中の列に移動する。真ん中の列に移動した後、みんなが集まってきて踊り始める。皆が踊っている最中に私は背の高い子二人に担ぎ上げてもらい、フレーフレーと叫ぶ。曲がサビに入ると同時に高く飛び空中で前方向に2回転。そして、みんなが邪魔にならないように避けてくれたスペースに着地し、一緒に踊り始める。周りからはおおお!という声が聞こえた。けれど今は応援に集中して踊る。…ん?よく見たら観客席の後ろ辺りに書記がいない?物凄い勢いでシャッターを切っているのが見える。そしてカメラから顔を離し、満面の笑みを浮かべている。そして、その笑みを見てしまった生徒が悲鳴(喜声)をあげて倒れてしまった。そこで書記はその気絶した生徒を抱きかかえ、近くにいる先生に話しかけている。…ん?あの先生よく見たら担任じゃない?先生が驚いたように書記を見ている。そしてチラチラと私の方向を見てくる。書記もつられて私の方に顔を向けるけどその顔が満面の笑みで…ああ、また一人生徒が幸せな空の旅に…。担任が慌てて書記を引っ張り始めた。お願いだ。もうこれ以上騒ぎが起きないうちに帰ってくれ。遠い目でそれを見つめる私。


 『1年2組の皆さん、素晴らしい応援ありがとうございました』


…あれ?終わった?自分の体を見れば、最後のポーズが決まっていた。


 「まこちゃん!!すごい決まってたね!!最高だったよ!」


 なつちゃんが嬉しそうに私に声を掛けてくる。


 …ああ、せっかく集中して楽しんでいたのに後半あの書記の事しか考えてなかった。よし、あとで書記はワンパンだね!!





~人物紹介②~

須川 菜摘(15)

呼称はなつ。超可愛い。隣の地域の中学出身。有紗と美智と海叶と同中。人当たりのいい明るい子。ボブのカットに、前髪にオレンジのグラデーションの花のピンを付けている。小柄な顔で瞳はくりくりしていて、鼻と口は控えめな感じ。肉食系女子。イケメンに目がない。クラスは1-2。合コンで彼氏を作った。文化祭委員。50m走は9秒25。外見とは裏腹に料理が苦手。


下山 有紗

呼称はあーりん。美人。黒い髪を胸元まで伸ばし、少し巻いていて色気がある。背が高く、胸も大きい。女子に嫌われている。菜摘と美智と海叶と同中。オクロックのファン。クラスは1-2。合コンで彼氏を作った。文化祭委員。


山田 美智

呼称はみっちゃん。美人。黒いストレートの髪で有紗と同じくらいの長さ。切れ目。和服の似合うヤマトナデシコのイメージ。菜摘と有紗と海叶と同中。メモリアルのファン。クラスは1-2。彼氏が既にいる。誰にでも優しい八方美人。お嬢様説が高校で浮上している。図書委員。



今回は高校の仲良しの3人を紹介しました。

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