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実力テストを誤魔化す回

朝議を終えた私は会社の裏口から出て、学校へと向かう。


もちろん、徒歩だ。書記の車など勘弁願いたい。送り迎えなんて目立つからね!




「おはよう!」


教室に着き、先に席にいたなつちゃんに話しかける。


「ああ、おはよう…」


「ん?元気ないね?」


なつちゃんは見た感じからして元気がない。なぜか目元にも隈がある。


「今日実力テストだからさ…徹夜しちゃって」


「へ~、今日って実力テストなんだ!」


そうだったのか。実力テストか…。実力テストって何出るんだ?


「え?まこちゃん知らなかったの?」


「え?うん」


なつちゃんの疑問に答えれば信じられないという目で見られた。


「中学校のおさらいだよ?大丈夫なの?」


うーん、中学校行ってないからな…何出るか分からん。四次関数とかかな?それともスペイン語とかそういう系?


「大丈夫なんじゃないかな?」


「…その様子だとあんた勉強してないでしょ…」


「…」


なつちゃんの言葉に図星になった私は思わず視線をさ迷わせた。


「まあ、赤点とんなきゃいんじゃない?」


赤点…ってなんだ?


「赤点って何?」


「え?知らないの?30点以下の点数の事だよ。この学校、偏差値ちょっといいから、赤点だと補習だって。気をつけようね」


なるへそ。



「あ、先生だ」


なつちゃんの言葉で視線を前に移動すれば先生が来ていた。


「よし、ホームルーム始めるぞ!今日は朝日奈は休みだ」


先生の一言でクラスがざわつく。


「あいつはアイドルだからな。忙しい。いない時は結構あるから来た時に色々教えてやってくれ。今日は実力テストだな。毎年、平均60点くらいだから、しっかりやれよ」


おお、先生。ありがとう。平均60点取ります!


ホームルームが終わり、テストが始まる。


1時間めは国語。


漢字や小説などを読む問題だ。


なあんだ。古文は出ないのか…。


漢字も漢検一級のような難しさでもない。こういうのは、点数を計算してみて、60点を狙おう。


あ、この小説。読んだ読んだ。

ノエルってタイトルの小説。ページ数は436ページの長編だ。この冒頭の


「ちょっとばかしのイタズラをやってみた」


は、53ページの8行目から始まる奴だね。相手があまりにもムカツクから主人公が仕返ししようとする場面だ!


…でもなんで先生はこの場面を選んだんだろう。


早々に回答を記入し終わり、わざと間違えたところが非常に惜しい間違えになっているか確認。よし、ないね。


「終了」


琴音と一緒に開発している新薬の化学組成について考えていたら、先生から終了の合図が聞こえた。


「今日は欠席がいるため、問題用紙も集める。名前も書いたか?」


え?集めるの?私、めっちゃ化学式書き込んじゃった…。大丈夫かな?


後ろから渡された回答用紙と問題用紙に自分のを重ねて前に回す。


きっと大丈夫。先生を信頼しよう。国語の先生。問題用紙は見ないで!



「国語終わったね!」


なつちゃんが少しスッキリした顔で話しかけてきた。


「私さ、山張ってたんだけど当たったよ!良かった!」


「良かったね」


「まこはどうだった?」


ここは…まあまあって答えとくべきか。


「まあまあだよ」


「そっか!」


そして数学。


問題を見た途端私は目を疑った。


ナニコレー!?ナニコレ!?えー!


やばい…簡単すぎて冷や汗が出てきた。

a+a?2aに決まってんじゃん!何?ふざけてるの?赤ちゃんでもできるよ!…赤ちゃんは流石に無理だわ。


その後も分数やら比例やら作図やら、出てきた。そこであっさり解き終わった私。


え…四次関数は?


くそ!60点を狙う方が難しい!部分点が何点か分からない!


「終了」


はあはあ…。国語以上に難問だった。60点狙うのが。


「できた?私、悲惨なんだけどー」


なつちゃんがそう言って悔しそうに机を叩いた。隣の席の男子が引いてるよ。


「私は結構苦戦した…」


60点取るのがな…。


「だよね~、良かった仲間がいた!」


そっか、60点取るの難しいよね!ってそんな邪道を行ってるのは私だけだよ!


「ははは…」


私は取り敢えず愛想笑いをしていた。




英語の前に昼。


「ねえねえ、私達もいい?」


そう言ってきたのは有紗ちゃん。隣には美智ちゃんもいる。どうやら自分の椅子を持ってきたようだ。


「いいよ~」


なつちゃんが微笑んだ。

周囲の男子がチラチラとなつちゃんを見ているのが見える。


「ありがと!白雪さんもいい?」


「もちろんだよ!」


私はドヤ顔して親指を出す。


「ありがとう!」


有紗ちゃんと美智ちゃんは嬉しそうに席に座る。やはり可愛い…。そこで男子がチラチラとまた見ている。分かるよ、君たち。可愛いよね。彼女達。


そこで、全員が弁当を出し、食べ始める。


「うわ!誠ちゃんの弁当美味しそう!お母さんが作ったの?」


美智ちゃんが驚いたように私の弁当を見る。

え?そんなに美味しそう?


「ううん、私が作ったよ?食べる?」


そう言えば、驚きの顔で固まる美智ちゃん。


「…い、いいの?」


「もちろんいいよ?なに食べる?」


「じゃあ、この卵焼きを…」


「どうぞ」


そう言えば、美智ちゃんが恐る恐る卵焼きを箸で掴む。


「…ん、うまっ!」


美智ちゃんは口にそれを入れて美味しそうに食べた。


「これ、美味すぎるでしょ!なんでこんなに美味しいの!?」


なんで?特に何もしてないけど…。


「料理はおじさんに教えてもらったんだよね」


「…なるほど」


まあ、おじさんっていっても部下のおじさんだからね。血縁のじゃ無いけどそれだと怪しまれるから、血縁の叔父さんという事にしておこう。


「すごいね。これ全部手作り?」


「そうだよ?」


有紗ちゃんは手作りと聞いて驚いている。


「うちなんて、親任せだよ!しかも親もほとんど冷凍の入れてるし!」


「そうなんだ」


うちも母親いたら作ってくれたのかなぁ…。

少し悲しくなった。それを感じたのか、なつちゃんがこう言った。


「ねえ、その唐揚げ、私のベーコン巻きと交換しない?」


「いいよ!」


有り難し、なつちゃん!私はなつちゃんのベーコン巻きを食べながらそう思った。




英語。それは私の第2の母国語である。バード大学では、様々な国の人がいて、色々とコミュニケーションを交わした。そう言えば日本語を教えてあげたこともあったっけ。確か…ジョニーにかな?


というわけで英語。超簡単だった。正直間違える方が難しいと思う。しかし、ここでやらかすわけにはいかない。スペルを読み間違える。例えば、rightを、lightに読み間違えたとか。英語は200点満点なので、そういうのを80点分考え、なんとか終えた。


「終了」


「やばい!英語苦手なんだよね…。150点行くかな…まこちゃんはどのくらい取れそうなの?」


なつちゃんの言葉に少しドキッとする。150点が平均だったりしないよね?


「わ、私は…120点くらいかな?」


「そうなんだ」


うん、明後日のテスト返しが恐怖だ。



10/9

2行目高級車→送り迎え

英語の得点微修正

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