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遅刻と七不思議


ついに、ブックマークが100を超えました…。なんということでしょうか。本当にありがとうございます。


そろそろ衣替えのシーズンになってきて、一応、夏の制服をクローゼットにしまった。天気予報では暑くなる予定だけど、私の予報では寒冷前線がやってきて、お昼ぐらいに一雨降らせて、気温を下げて帰っていく。よって、まだ冬服で大丈夫だと言える。


今日はいつも通り朝早く起きて、お弁当作って、走って、お風呂。そして、書記の迎えで白雪社へ。いつも通り会議をして、人事部に白霧静の代わりに他の人を派遣しておく。そして、書記の車に再び乗り、高校へ向かおうとしていた。いや、さあ出発だ!の雰囲気にはなったんだよね…。でもね、なんか知らないけど葉月が乗ってるんだよ…。


「…葉月…なんでここにいるの?」


恐る恐る聞いてみると、葉月はしれっと答えた。


「誠も高校行くんだろ?電車とか面倒だし、一緒に乗っていっていいよな?」


そして、エンジンをつけてドライブに切り替えた書記が私と葉月のやり取りを聞き振り返る。


「葉月!?な、なぜここに…」


今気づいたんかい。


「いつも誠を乗せていくんだから、俺も乗せてってよ、羽空」


「絶対、嫌だ」


「なんでだよ」


書記がすごく嫌そうな顔をして、こちらへ振り向いた。隣の葉月は動じることなく、真顔だ。


「社長を送るのが私の唯一の癒しの時間だからだ」


ん?私を送るのが癒しの時間?


「なら、俺を乗せても癒しの時間になるだろう。よし、行け。羽空」


「嫌だ。私と社長の時間を奪うつもりか?」


??書記の言いたいことがよくわからない。私を送るのが癒しの時間=車の運転が書記の趣味のパターンと私を送るのが癒しの時間=仕事がないのが癒しの2つが挙げられる。そして、最後の書記の台詞せりふ。どう見ても時間を奪っているのは書記だよね?さっさと葉月も乗せて途中で下ろしてくれれば遅刻しなくてもいいものを…。丁度電車と通勤ラッシュに重なってもう遅刻確定。どうしてくれるのかな?


「奪っているのは羽空だろ?」


「その通り」


「「ん?」」


葉月の言葉に同意すれば2人が驚いたように私を見た。私は怒っていた。ふつふつと静かな怒りを。私の貴重な高校生活が2人のせいで削り取られたのだ。


「つべこべ言わずにさっさと発車して。でなければ、私は電車で行くから」


「しゃ、社長、申し訳ございません。発車させていただきます!」


私が怒っているのを感じたのか、すぐにアクセルを踏み出した書記。気が動転して事故らないことを祈る。横でそれ見たことかと笑っている葉月にも釘を刺す。


「葉月も、こういう風にこっそり乗らないで、会議のあとにすぐ言うとかしないと時間がロスするから、ちゃんと次から言ってね?」


今の私のポーズはthe女社長だ。腕と足を組み、少し上から斜めに葉月を見下ろす。そのくせ、服装は女子高生だからなんとも言えない残念さがあるかもしれない。けれど怒りのオーラは伝わったはず。ほら、お陰で葉月が萎縮して敬語を言い出した。


「…はい。突然乗り込んだのは俺が…悪かったです」


車で土下座しそうな勢いでそう言った葉月。ついでに、面接の件も言っておくか。


「…あと、新入社員の面接、面接官を葉月よろしくね。しっかりやらないと後でどうなるかわかってるよね?」


そして、私は首に手を当てる。意味がわかったのか葉月は肩を震わせて小さく返事した。よろしい。あ、今の首に手の動作はクビっていう意味ね。お陰で土下座する手間が省けた。少々葉月には申し訳ないけどね。


そんなやりとりをしている間にいつも降りるところに着いたようだ。私はお礼を言って車から降りる。見れば、葉月も反対側から降りるのが見えた。

ここで問題が生じます。さて、遅刻という形で学校に着いた私と葉月。一緒に学校へ入ります。さて、どのような結果になるでしょうか。



結果は丸わかり。それを偶然生徒、または先生に見られ、葉月と私の関係性を疑われる。そして、私は白雪社の関係者と発覚。高校生終了のお知らせが流れる。


…まあ、そうなるよね。というわけで、葉月に先に行ってもらうか、私が先に行くかか。


「ねえ、葉月。最初と最後、どっちがいい?」


いきなり質問した私に葉月は瞬きを繰り返して聞き返してきた。


「えっと…登校の順番?俺、誠と一緒に行きたいんだけど?」


と…とりあえず、私はそれが嫌だから、質問したんだけど。


「いーい?葉月。もし葉月と登校したら私がどうなるか考えてみてよ。葉月なら浮かぶでしょ?」


葉月はしばらく宙を見る。だんだんと顔がにんまりとしてくるのが不思議でたまらない。もしや、葉月は私がみんなにバレてるシーンを想像して、ニヤニヤしているのだろうか…。だとしたら、葉月は私に相当な怨みを持っているに違いない。特にさっきの件。


なんか、このやりとりで時間が押してる気がするので、葉月の意識がこちらに戻る前に学校に行くことにした。


「いってらっしゃいませ!」


走って5m程で書記が空気を読まない見送りをしてきた。お陰で葉月の意識が戻ってしまった。とにかくダッシュで葉月が追いつけないように差をつけなくては。




校門が見えてきたので、ちらりと後ろを振り返る。見れば、葉月が真顔で1m後ろを走っている。怖い!軽くホラーだから!!こっちは全速力で必死に走っているのに、振り向いたら真顔のイケメンが同じ速度でぴったり1m後ろにいるのはホラーだから!!こうなってしまっては、2人登校はバレてしまう。次の作戦は、校門の壁に潜み、校舎を見つめる。私、目がいいから、窓の中の風景が見えてしまう。4階までバッチリ。だから、全生徒がこちらを向いている瞬間を見て、光の速度で校舎に入れば行ける。完璧だ。問題はそのタイミングがいつかだ。とりあえず、4階は特別教室で誰もいないみたいだし、3階は運良くどのクラスもいない。体育館で何かやってるのかな?問題は1、2年。葉月のクラスは教室にいない。2年もちらほらいない。これは、いける。あとは、1年3組の1人がこちらを見ているだけだ。彼さえ、こちらを見つめなければ…。ん?思ったけど、彼が瞬きしている間に行けば良くない?そんなこと考えていたら2年の教室の1人もこちらを向いた。なんということでしょうか。神が私に登校するなと言っている。隣で壁に寄りかかってる葉月がどうしたのとこちらに聞いてくる。


いや、あんたのせいだから!!!


私は軽く舌打ちで返事をした。よし、1年3組瞬き、2年視線外した!!!


そこから、全力を出して校舎に入り込む。後ろを振り返れば、ものすごい砂煙が立っていた。うわ、恥ずかしい。そして横を向けば奴がいた。


「一緒の登校楽しかったね、誠」


こちらは全く楽しくなかった。



~その後


「白雪、地面を這いながら席につこうとするんじゃない」


「…はい」


私は担任に怒られた。


そして、昼休み。


「まこちゃん、なんかたまに幽霊が爆走して校舎に入るらしいよ。今日は砂埃がやばかったのそのせいみたい…。七不思議怖いよね…」


「そ、そんなのがあったんだ…怖いね」


驚きの表情でなつちゃんに対応する。すいません、それ私たちです。とも言えずに。


2月25日がこの小説の誕生日なので2月25日に特別閑話を入れようと考えています。そして、登場人物詳細も入れてみようと思っています。

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