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地獄の新入社員選考5


飲み会次の日です。今日は小金沢くんとの仕事です。今日は日曜日だから、明日は学校。とりあえず、3日目は手伝えないから今日頑張らなければ。


「おはようございます」


そう言って人事部に入ると、昨日と同じ感じにみんな働いていた。私はささっと速人の所へ行き、仕事内容を確認する。


「風山部長、今日の仕事はなんでしょうか」


まあ、小金沢くんとの仕事だってことは知ってるけど一応ね?一応。


「おはよう、白霧。今日は小金沢と一緒にこの書類をまた分けて欲しい。そして、面接官の組み合わせを決めてくれ。その後にこの大学に小金沢と行ってきてくれ」


やっぱり今日は小金沢くんとペア仕事か。面接官の組み合わせとは、白雪社は1対1の面接じゃなくて、3対複数の面接を採用している。その3人のペアを決めることをそう呼んでいる。ちなみにその3人は1人目が主官、質問をしていく司会進行役の人だ。ついでにその人挙動、仕草を観察して見抜くことも役割の一つ。2人目が副官、主官のサポートもしながら、面接者の答えと履歴書、志望動機書を見比べる役の人だ。3人目が書記官。面接者が答えた解答を記録する係。まあ、独自の面接システムだから、他の会社がどうかはわからないけど、結構いいシステムを作ったなと我ながら思う。

と、自画自賛をしていたら、速人が紙を渡してきた。あ、今日行く大学のパンフレットか。パンフレットには大きく青田せいでん大学と書かれている。青田大学は私立の大学で結構有名な大学だ。


「その青田大の教授がうちがどういうところを見て新人採用しているか知りたいらしいから、人事部として、きっちり教えるのが仕事だ。できるよな?」


「できます」


私はこの会社の社長。説明ぐらいやってやろうじゃないの!!


「あ、メインは小金沢な。ちびっこは補佐」


おい。私の決心を返してくれ。


「小金沢は一応、人事部新人の中で1番期待できると俺は考える」


小金沢くんの方を見ながら、速人が小さく呟いた。私が続きを促すように視線を送れば続きをぽつりぽつりと言っていく。


「確かに、九条も小金沢には負けてないが、あの人と接する力は持っていない。対して小金沢は誰にでも仲良く接するし、他者との円滑なコミュニケーション能力が他人より秀でてる。人事部とは他の部所とのやり取りを上手くし、お互いの利に叶う人材を提供する。そんな場所だと俺は思っている。だから、小金沢にはこんな仕事をさせてみるんだ。将来のエース育成のために、な」


最後にドヤ顔で締めくくる速人。でも、速人がこんなふうに人事部のことを考えてくれているとは思わなかった。


「素晴らしい考えだと思います。きっと社長が聞いたら最高の評価を下さると私は考えます」


だから、私は白霧静としての最大の褒め言葉を与える。そして同時に社長としても最大の褒め言葉を与えておく。


「な、社長…!?」


速人は驚いてしばらくフリーズした後、回路がショートしたようにぼふっと音を立てて顔を真っ赤にした。


なぜそこで顔を真っ赤にさせる必要があるのか疑問に思いながらも私はお辞儀をして小金沢くんの所へと机を持っていくために、前の席の所へと行った。


見れば、美少年とお姉さんが昨日と同じように座っていた。お姉さんはまたマニキュアを塗っている。美少年はどうやら書類を分別しているようだ。2人の邪魔にならないようにこっそりと机のところへ行き、移動を開始しようとする。


「あれ、今日はここじゃないんですね」


まあ、当然視界に入れば気付くよね。


「今日は小金沢さんとの仕事なので」


「そうなんですね」


美少年よ、さっさと仕事をしなさい。それと、隣のお姉さん。お願いだから私を睨まないでほしい。とりあえず、お辞儀をしてさっさと机を運ぶことにした。


小金沢くんの机は部屋の真ん中辺りの列の端にあった。


「おはようございます、白霧さん」


「おはようございます、小金沢さん」


机を横にくっつけ、椅子も持ってきた。仕事ができる体勢完了。


「まずは面接官決めですよね?」


「はい」


小金沢くんに仕事の内容を尋ねると、書類を見せてくれた。


お、7人の小人が最初にいて、あ、葉月も面接官今回やるんだね。他には、色々な部の部長や新入社員の中からも選ばれてるんだ。ちなみに、私は白雪社で働いている会社員の個人情報や特徴は全て覚えてるから、相性とかそういうのもすぐにわかってしまう。速人は私にぴったりの仕事を選んでくれたみたいだ。恐らく、たまたまだけど。


「 では、組み合わせを決めていきましょう」


「えっと、まずは上の方から割り振りたいのですがいいですか?」


私は早速意気込み、声をかけてくれた小金沢くんに提案してみる。


「上から…というのは何故ですか?」


ぐ…やはり小金沢くんはそこに突っ込んできた。なぜ、私が上から割り振りたいかというと、上の奴らはなかなか個性的なメンツで…ぶっちゃければ、我が強い、個性の塊集団だからです。はい。でも、これを小金沢くんに言うわけにはいかない。もし、言ったとすると、『白霧さんって上の人馬鹿にしてますね笑』なんて辛辣な評価が私についてきてしまう。ここはどう理由を述べればいいだろうか…。よし、こう行こう。


「もし、小金沢さんが自分が苦手な上司と面接官をやらなくてはならない、となったらどう思いますか?面接官をきちんとやる自信ありますか?」


「…面接官をやるどころか会社に行きたくないな…」


小金沢くんが何か思い出したように顔を顰めた。


「なので、上司から決めて、それぞれ平穏に終わりそうな組み合わせを考えていきましょう」


そう。特に要注意な人物は慎重に考慮しなければ。


「わかりました。上から決めていきましょう」


こうして、面接官の組み合わせを決めて行った。

要注意人物…はてさて誠は誰のことを考えたのでしょうか。


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