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the 飲み会1

かなり遅れました!すいません!


よし、副社長への用事が終わってようやく社員とのご飯だ。エントランスに近づくにつれて、足が速くなっていく。エレベーターを使い、1階へ降り、廊下を歩いて、社員たちの帰宅ラッシュに合流する。流れに押されながらも、身を捻じって右端へと進んでいく。ふと、人ごみから出たと思ったら、身体が傾いていた。


 「あ…」


思わず声が出る。転ぶ。そう思って、転んだ瞬間に受け身で反動を殺して、起き上がろうと覚悟して構えれば、いつの間にか誰かの胸の中にいた。


 「し、白霧さん…大丈夫ですか?」


心配そうな声が響き、この体の持ち主が分かった。九条君だ!知り合いだとわかった途端に顔に熱が集まるのが分かった。


 「え、えっと、すいません…」


下を見ながら、体を離す。うーん、しかし、しっかりした胸板だった。鍛えてるのかな…。少なくともバリバリ文科系のおじさんよりはあるね。


 「こ、こちらこそすいません…」


私が恥ずかしがっているのに気付いたのか、九条君も恥ずかしそうに顔を逸らした。


 「おいおい、九条。なに格好つけておいて、照れてんだよ~」


いきなり九条君の後ろから手がにょきっと現れ、九条君の肩を掴んだ。それにぎょっとしていると九条君が後ろを向いた。


 「小金沢!からかうなよ!ただ、単に白霧さんが転びかけていたから支えただけだ」


 「ふーん。他意はないんだな。ずっときょろきょろしていて挙動不審だったが」


 「小金沢!!」


どうやら、右端にあるベンチに座っていて九条君で見えなかったみたい。九条君が言った小金沢って人は黒っぽい茶髪で、少し体格のいい人だ。おそらく、人事部にいた。うん、そんな見てないけど一瞬視界に入ったから、いた。とりあえず、挨拶しとこう。


「今日はよろしくお願いします」


とりあえず、無難に挨拶。小金沢君は手を軽く上げてくれた。


「こちらこそ。騒がしくてすいません。からかうのが趣味なもんで」


軽く愛想笑いをして、相槌を打っておく。


「いいえ、大丈夫です」


「はあ、とりあえず、あと1人も後ろからこっちきてますし、合流して、お店行きましょう」


九条君がちらりと私の後ろを見た。少し振り向けば、人事部にいた黒髪を後ろで束ねた女の人がこちらにやってきていた。


九条君が私を見て少し微笑んだ。


「じゃあ、行きましょう」


九条君と小金沢君が歩き出したのを見て、私も歩き始めた。




案内されたのは駅の高架下付近の居酒屋さん。名前は『八兵衛』。個人が経営しているお店で、サラリーマンが数人お酒を飲んでいた。


席はカウンターと座敷があり、私たちは座敷で正座して席につく。


「一応、自己紹介しましょうか」


そう言って目の前の九条君がぺこりと会釈した。


「白雪社人事部の九条飛鳥です。まあ、みなさん知ってますけどね」


はははと笑う九条君を見ながら、次は俺の番かと斜め前の小金沢君が口を開いた。


「俺は小金沢 優人ゆうと。九条と同じく人事部にいます」


軽く頭を下げる小金沢君を見ながら、左にいる女性が口を開いた。


「私は並木 香織と言います。同じく人事部に所属しています。九条さんと小金沢さんとは飲み仲間です」


頭を下げる並木さんを横目に私は自己紹介を始める。


「私は白霧 静です。経理部の七海の部下です」


そして一礼。さあ、これから飲み会が始まる。


「えっと、白霧さんはお酒飲まないんですよね?」


九条君が遠慮げに聞いてきた。


「ええ。そうですけれど、みなさんは遠慮せずにどうぞ」


そうそう。飲んでくれれば口が軽くなる。そして、仕事場のことを漏らしてくれるはず!なんて、ちょっと下心を持っている、私。


「えっと、俺は遠慮なく飲みます」


小金沢君がお辞儀して、メニューでお酒欄を見始める。それを見た並木さんも私をちらっと見て、メニューを見始める。さあさあ、九条君もと思ったら、なんか遠慮しているのか飲まない宣言し出した。


「俺はいいです。ご飯だけ食べます」


無理にお酒勧めるのはいけないから、諦めよう。


「白霧さんはドリンク何か飲みますか?」


「私はオレンジジュースで」


飲み物を聞かれて反射的に答えた。いつも書記に何か飲む?って聞かれると、スッキリ爽やかなオレンジジュースを頼む。


「「「…」」」


ん?みんな黙った。


「白霧さんは意外と子どもっぽいんだな…」


「きゅ…キュンとしてしまった…」


「飲み会にオレンジジュースは可愛いわ…」


九条君、小金沢君、並木さんの順にボソッと呟いたけど何を言っているのか聞こえない。思わず首を傾げれば、慌てたように並木さんが口を開いた。


「し、白霧さんはオレンジジュースですね!小金沢さんはビール、九条さんは何にしますか?」


「あっ、俺は烏龍茶で!」


「普通だな!おい!」


九条君の選択した飲み物に小金沢君が突っ込んだ。


「いてっ!小金沢!!暴力禁止だろ!今頭叩かれて脳細胞百万個は死んだぞ!」


「ははは、お前みたいな頭のいいやつの脳細胞が百万個死んだところでどうということはないだろ!」


「いや、頭良くないし」


なんか、面白いやりとりをしている。学生達がやりそうなやりとりだ。


「はい、お待たせしました!ビールとピーチサワー、烏龍茶、オレンジジュースです!」


店員さんがそう言って、飲み物を置いていく。


さあ、まだまだ夜はこれからです。




お、オレンジジュース飲みたくなってきました!笑

ハロウィンです!

トリックオアトリート!!


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