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葉月の真意


人事部から、少し早足で副社長室へと向かう。もう少しで退勤時間だから、早めに終わらせないとね!!


そして、人事部の廊下からエレベーターへ。エレベーターで最上階に向かい、副社長室をノックした。


「どうぞ」


5秒ほどで葉月からそう聞こえた。


「失礼します」


とお辞儀して入り、ドアを閉めて、眼鏡を外した。


「ねえ、葉月。どうして私の学校に転校してるの?」


さあ、私は今怒りの頂点にいるんだよ?どう答える気?葉月。怒りのせいで少し笑った後ろに般若がいたかもな。葉月は私をじっと見つめて、口を開いた。


「じゃあさ、誠。今日の屋上に一緒にいた奴は誰?友達?」


まあ、なんということでしょう!質問に対して質問で返してきました!!答えが答えが全くわかりませんよ!議長!


脳内で私の怒りの部分が私の思考にそう言ってくる。


本当に、困ったもんだよね!葉月はマイペースっていうか、人の話を聞かないというか!


「先に質問に答えて!」


少し強めにそう言えば、葉月が小さくため息をついた。いや、ついたって私は許さないぞ。


「…マーケティング」


「それは私で充分だぁ!!たかがそれだけで高校に通うの!?」


「俺、高校行ってないから…」


ぐ、それを言われると私も同じだからなんとも言えない。本当はバード大学じゃなくてお互い面識なく、アメリカの高校に通っていただろうに…。


私が押し黙って何も言えないのを感じたのか。葉月が今度は質問をしてきた。


「さっきの質問。答えられるよね?」


屋上にいたのは、赤羽くんだよね?


「ただの友達だよ」


赤羽くんはとても仲いい友達だと思う!


「…やましいことないの?」


その言葉に少しドキッとした。仲良くなったきっかけはモデルにスカウトすることだったからだ。


「な、ないよ」


そう言えば、葉月の目が細まった。


「…嘘ついてるだろ?」


どうやら勘づかれたようだ。伊達に長い間過ごしてきた訳では無い。さて、逃げ口を探さなくちゃ!


「は、葉月だって、高校入ったのやましいこと考えてたんじゃないの!?」


そう言った途端葉月の眉がぴくりと上がった。ほんの0.2秒。あ〜あ、これでわかっちゃった。葉月も嘘ついてんじゃん。


「葉月も嘘ついてるじゃん!」


「…ついてない」


そっぽを向いて拗ねたように言う葉月。拗ねたって無駄だよ!


「あ、わかった!葉月考えてたやましいこと!」


すごくピンと来たような顔で言えば、葉月がはっとこっちを向いた。


「そ、そっか…葉月はそうだったのか…」


私の演技に葉月があわあわしだした。


「ま、誠。違う。誤解だ…」


お、とうとう言う気になったかな?少し引き気味の顔で葉月を見た。まあ、一応予想立ってるし言ってみるかな。


「まさか、葉月が…」


葉月が青ざめた顔で唾を飲み込んだ。


「JK狩りしようとしてるなんて…!!」


あ〜あ、葉月くん、私わかっちゃったよ。なんていう変態なんだ。そう思って葉月をちらりと見れば、葉月が真顔になっていた。


あれ、開き直ったとか?


「誠…それ本当にそう思ってるの?」


少し冷めた声でそう言われ、ようやくミスったことに気づいた。


「あっれ~、違う?」


残念な気持ちでそう言えば、葉月の後ろに青い炎が見えた。


「誠…誠の中の俺ってどんな奴なの?そんなに変態な奴なの?俺、怠惰なだけでそんな書記みたいに変な奴じゃないよね?」


やばい、葉月の目が本気だ…。


「ご、ごめんなさい!わざわざ高校に入りたいのって女子高生に会ってみたいからだって思ったの!」


「…女子高生ってもう会ってるよね?その理由なら俺が高校行く理由なくない?」


「え…どこに女子高生が…」


葉月が怒りを静めてため息をついた。


「誠…だよ。制服着てる姿は見てないけど、今は女子高生でしょ?」


「あ、そうだった」


確かに、私は今女子高生だ。葉月はそんな私を見て、もう一度ため息をついた。なに、私って葉月にとってストレスの原因!?ため息っていたくない人といると自然に出たり、すごく疲れると出るんだよね!でも、あんまりすると幸せが逃げるんだからね!


というわけで、ストレスの一つになっている私は潔く捨てゼリフを吐いて退散したいと思います。


「こ、今度会ったら覚えておきなさい!」


「え?誠?」


眼鏡を手に持ち、ドアをくぐり抜け、ドアを閉める。眼鏡をかけて、お辞儀。


「失礼しました」


よし、エントランスに向かって行こう。丁度退勤の時間に重なってるしね。


~ここから3人称


1人取り残された葉月はただ呆然としていた。


「っくく」


そこへ、1人の笑い声が聞こえる。押し殺したつもりで押し殺せなかった声が漏れ、部屋に響く。


「無礼だぞ」


葉月がそう言って振り返る。すると、葉月の仕事机の横に誠の書記、七海羽空が立っていた。


「すまん。全くお前の思いが伝わってないなと。そして、数多の詐欺師を滅多切りにし、女の言葉に引っかかることもないのに簡単に騙されるとはな」


そのセリフに葉月が目を鋭くさせる。


「お前に言われたくない。真の変態」


「それは素晴らしい褒め言葉だね」


葉月の言葉に嬉しそうにする羽空。葉月は小さく舌打ちし、そっぽを向く。


「でも、言えないよな。まさか、高校に行く理由は誠の傍にできるだけいたいからなんてな」


「黙れ」


葉月が睨んでるのを気にした様子もなく羽空は口を開いた。


「で、屋上にいた赤髪少年?彼がどうかしたのか?」


「どう見てもあれは誠に恋してる目だった。好いてないと本人が言っても、気にはなってるはず」


羽空は少し考えるそぶりをした。


「赤髪なんだよな?この前に尾行していたのを止めた…」


「…あいつか…」


葉月がそう言って、小さくため息をついた。


「誠は誰にも取らせないぞ…今まで何人から守ったか」


羽空はくすりと笑って葉月が蹴散らした人の名前を上げていく。


「ロッキー、ジェン、マイケル、ユノン、ポール…」


「名前聞くだけで嫌になるからやめてくれ」


「相変わらず、すごい数を蹴散らしたね」


葉月はため息をついて、口を開いた。


「誠に好きになってもらうのは俺だ」


「俺も負けないけどな」


羽空も負けじとそう呟く。


「変態には決して負けない」


「…変態なわけないだろ。いつの間にか、ストーカー気質が定着してしまっただけだ!」


葉月の言葉に羽空があわあわして答えた。


「ふっ、自業自得だ」


葉月は片方だけ口を上げ、誠が来た方と反対側のドアから部屋を後にした。




ストーカー事件は第28部のストーカーVSストーカー?の内容ですね。ちなみに、蹴散らされた人の中にいたマイケルは誠と地層について盛り上がっていたあの人ですね(*^^*)


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