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赤鬼~不良界で流行中~


「赤羽くん?」


ゆっくりとドアを開けて、そっと彼の名前を呼んでみた。すると、彼はゆっくりと振り返って…。


「あん?誰だ?お前」


はい。別の人でした。後ろ姿そっくりだったのに、振り向いたら全くの別人。誰だよ。赤羽くんだって言った人…。…私だよ!


とまあ、心の中でノリツッコミするぐらい恥ずかしくてテンパっております。あ、髪の毛の天パではなく、心のテンパです。


「え、えっと間違えました。人違いです…」


「間違え?俺を誰と間違えやがってんだよ?あ?」


「えっと…後ろ姿が赤羽くんに似てて…」


めっちゃ不良の人だ。ガチの。赤羽くんの初期状態と完璧に一致してる。


「あ?聞こえなかったわ。もう一度言え」


「だから、赤羽くんの後ろ姿とそっくり…」


あれ?なんか、この人嬉しそう?嬉しそうに私の言葉をもう一度と促してくる。それから、何回も同じことを言った。…もしかして…赤羽くん意識して髪の毛染めたりとか?


ふと、ドアが開いた音がした。


「…あれ、誠か?」


この声は…。



後ろを向けば本物の赤羽くんが立っていた。私が赤羽くんに話しかけるよりも早く、赤い髪の毛の不良が口を開いた。


「本物の赤鬼じゃないすか!!!」


…え?赤…鬼?疑問に思って赤羽くんを見れば赤羽くんも呆然としていた。そんなことも知らず、赤髪の不良さんは早口に赤羽くんへと話しかけている。


「やべえっすよ!過去の伝説のヤンキーながらにファッション会のカリスマ!今の不良の流行りは赤髪で、赤鬼の服を着るのが主流なんすよ!」


ほう…。赤羽くんは不良界の流行を作ってる人だったのか。赤羽くんは未だ現実に戻れずにいるようだ。ピクリとも動かない。


と、思ったけど、声が聞こえた。


「…く、黒歴史が…」


なるほど。前に不良やってたのは黒歴史なんですね。しかも赤鬼って呼ばれてたのかな?赤羽くんの内心を知らぬまま、赤髪の不良、略してあかふは口を開いた。


「え!?赤鬼の黒歴史っすか!?なんすか?それ?」


どこどことでも言いたいように、顔をあちこちに向けているあかふくん。


あかふくん。その赤羽くんの黒歴史は目の前のあなたのことも入ると思います。


「…まあ、そうだな。どこにでもあるんじゃないのか」


赤羽くんは復活して私でも見たことない笑みを浮かべて、決めゼリフを吐いた。何故か、笑っているのに絶望している笑みだった。


「んおお!赤鬼さんの黒歴史はどこにでもあるってことですね!わかりました!俺、みんなに自慢して来ます!」


そう言って、去っていくあかふくん。


多分、赤羽くんは目の前の不良さんのことも1部だって言いたかったんだよね…。


「おはよう、誠」


急に赤羽くんが照れくさそうにそう言った。


まあ、あんな出来事あったら私も恥ずかしくて照れるよ。


「おはよう、朝から大変だったね」


そう言って、笑えば、赤羽くんが顔を逸らした。


…私、やっぱり笑顔気持ち悪いのか。次からは極力笑わないようにしよう。


「まあ、…れ…とっては…かった…な。……とに……て」


「ん?」


私のような老婆にはぼそぼそ声は聞こえないのです。


「いや、何でもねえ」


「そっか。あ、転校生見た?」


「…まあ」


赤羽くんの目が少し据わった。これは、副社長だと気づいて上司かよと目が据わっているのかな?


「どうだったの?私、ちらっとしか見えなかったから、少し聞きたい!」


意地悪いと思うけど、少し赤羽くんの感想を聞いてみたい。赤羽くんは少し考えるそぶりを見せて眉を寄せた。


「…誠もそういうの興味あるんだな」


「あるよ?普通の女子高生だから!」


かっこいい男の子の話するのは普通のことだよね!そうだよね!


「お、おう…」


若干赤羽くんが引いてる気がするけど気のせいでしょう。赤羽くんがちらっとこちらを見た。そして、すぐに視線を逸らす。


なに!?なにが言いたいんだ!?


そして、赤羽くんの奥、ドアにちらりと人影が映った。おそらく、あの感じは葉月だ。人気者(予定)の転校生様がわざわざこの屋上にサボりに来たのかな?でも、目が合ってすぐに去っていった。なにがしたかったんだろう。


「やばい。こんな時間か。1時間目始まるぞ!」


赤羽くんが時計を見たのか慌てたように私に言った。


そう言えば、亮くんにサボるなって言われてるんだっけ。


「そっか!じゃあまた今度話そう!」


「悪いな。じゃあ」


赤羽くんは本当に申し訳なさそうに屋上を出ていった。


さて、私も教室戻りますか。帰ったらいろいろ葉月を責めなきゃな~。


あれ、結局赤羽くんに葉月のこと聞き忘れたや。ま、いっか。




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