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副社長…?


書記のメモ。それがとうとう現実になった。


『副社長が高校の編入試験を受けたようです。場所は春野高校』


まるっきり私の高校じゃないか!!


そして、なつちゃん、有紗ちゃん、美智ちゃんと遊んだ次の日。


「おはよう!まこちゃん!!なんか、隣のクラスに転校生が来るらしいよ!しかもめっちゃイケメンらしい!」


…書記の言ってた通りだった。


「へえー」


「ねえ、HR終わったら見に行こう!」


え、嫌だ。仮に葉月じゃなくても嫌だ。イケメンってだけで、葉月とか、書記とか、おじさんとか癖のある人ばかりじゃん。あ、一応赤羽くんも不良だから、癖あるか。よって遠慮する。


「いや、私は大丈夫だよ。すごい人混みになりそうだし…後で感想聞かせてね」


そう言えば、なつちゃんがこう言った。


「あれ、そっか…まこちゃんは美女だから自然にそういう人達寄ってくるもんね。叔父さんとか」


え、私、美女でもないし、イケメン寄ってこないよ?…なるほど。今の私の発言=イケメン興味無いし。周りにいっぱいいるしになるのか…。そして、なつちゃんは軽く私を脅しているわけだね。あなたは普通の女の子じゃないのね?って…。これは行かなきゃ普通の女の子じゃないか。


「っ!やっぱり行く!!」


  焦ったように言えば、なつちゃんが嬉しそうに笑った。


 「ふふ…、じゃあ、行こっか」


   その笑みは自分の罠に動物が嵌った時の笑み、所謂猟師さんの笑みに似ていた。


  「よし!おはよう!HR始めるぞ!」


  なつちゃんの笑みを何人が見つめてるだろうかと数えていれば、先生が勢いよく入ってきた。あ、いまので、男子生徒が全員先生のほうを向いちゃった。これじゃ、数えられない…。まあ、半分以上はいるということが分かったし、いいか。さすがなつちゃん。モテモテだ。


  「今日は特に変わりがない通常授業だ。あとは、今日は晴れだから、体育とか、熱中症に気をつけろよ。五月でも暑い日は暑いからな。あと、みんな知ってるだろうが、1組に転校生が来た。なんでも、帰国子女でカッコいい男らしい。いいか、見に行ってもいいが、あんまり騒ぐんじゃないぞ。特に女子の声は職員室までよく届く」


  転校生の話題になると、女子生徒がざわざわしだした。先生の忠告は多分聞こえていない。とりあえず、ずるいかもだけど、なつちゃん達と一緒に行って、人ごみに巻き込まれて、外出ちゃったパターンで教室に帰ろう。一目見れば満足だしね。


  ふと、隣のクラスがきゃーきゃーしだした。


  「お、転校生が来たらしいな。とりあえずHRを終わらせる」


  そう言って、先生が逃げるように、いや、一目転校生を見るために?教室を出て行った。そして、急ぐように立ち上がる女子たち。


  「さ、まこちゃん、戦闘準備だよ」


  同じように立ったなつちゃんに手を掴まれる私。

    

   え?もう行くの?まだ、1組HR終わってなさそうですけど…。そう思ってるうちに教室から引っ張り出される。そして、大量の女子たちに巻き込まれる。


  1組に流されるまま歩いていたら、空いているドアから、教卓のあたりに立って、営業スマイルを浮かべている葉月が見えた。


 やっぱり、なんで、葉月勝手に高校入ってるの!?副社長として仕事があるからそんなに来れないはずなのに!


 「あれ、あのひとなんかの雑誌出てなかった?」


 「whiteじゃない?」


 「え、白雪社の副社長じゃん!!」


 葉月の顔を見てか、そういう人たちがいる。とりあえず、ずらかろう。流れのまま押されて、1組の端へ。その際に前のドアを横切った。そしたら、葉月がこっちを見た気がするけど、気のせいだろうね。だって、周りのみんなが、


  「きゃー!こっちを見てくれた!」


  「私、目が合っちゃった!」


  って言ってるもん。


 そして、隣の空き教室の廊下を通り過ぎ、一番端の階段を屋上まで上った。そして、ドアガラスから外を見れば赤い髪を揺らして黄昏ている赤羽君の後ろ姿が見えた。


  ほ、HRはサボったのかな??


なんだか、今までのように沈んでいるんだろうというイメージです。



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