表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/93

現状を解決す!!証拠集め編1

  合宿が無事というほど無事ではなく終了し(日向の事)、なつちゃん達、癒しの3人衆と涙ながらのお別れをして会社に戻り、証拠集め。


  「こちらが事故現場で、このブレーキ跡が向こうの社員でこっちのタイヤ痕がうちの社員だ」


  おじさんがそう言って指を指す。おじさんは私が現場確認をすると言って会社を去った後、慌てて仕事を放り投げて、この現場を案内する手筈を整えてくれた。ちなみに私は今、白霧静となっております。理由は、ここが人目につくから。大きな道路と小さな道路のぶつかるところで、歩道には人がたくさんいて、お店もたくさんある。


  「みて、食品界のプリンスよ」


  「やばい、格好いい!」


  そう言って写真をパシャル女性の方々。ここに可愛い普段着を着た女子高生がいたらどうだろうか。


  「え?プリンスデート?JKと?」


結論、おじさんが変態というレッテルを貼られる。というわけで変装。まあ、あとは同じ高校の子がいたら、私がおじさんといるのを変な風に思われるというのもあるかな。


という訳で、白霧として出動。おじさんに説明を受けて、証拠をじっと見つめる。タイヤの跡は片方ブレーキがかかっていない。そのブレーキがかかっていない方がうちの社員らしい。あれ?そういえば、西園寺家って…。


どうやら、調べてみる必要がありそう。そもそも白雪社は車部門に手を出してないし。社員がライバル企業の車を使っていても別にどうこういうわけでもないしね。


「お…藤堂さん」


危ない。こんな人混みが多い道でおじさんとか言いそうになっちゃった。お、と言った時点でおじさんに睨まれた。そう!おじさんの苗字は藤堂だよ!


「…なにかわかったのか?」


おじさんがそう言って、タイヤの痕跡を見つめた。


「まあ、わかりましたので、取り敢えず本社に戻りましょう。支給調べて欲しいことがあります」


「了解した」


そうして、会社に戻った私は白霧から白雪に戻り、会議室へと向かった。


「ちわわ!」


「社長…変な挨拶は良くないぞ」


扉を開ければ横の壁に純が寄りかかっていた。


「まあまあ。固いことは言わずに」


テーブルを見れば、誰もいなかった。それもそうか。いくら非常事態でも仕事はしないとね。


「ん?なんで純はここにいるの?」


純が不敵に笑った。目を愉快げに揺らし、片方の口角を上げる笑い方だ。


「社長…俺を使うだろ?」


なるほど。さすが、純。私の思考をお見通しという訳か。


私も笑う。きっと純と同じ笑みをしている。


「まあね。純。悪いけど、少し覚悟してもらうよ。一緒に捕まる覚悟を」


「地獄まで一緒に行ってやる」


純がそう言って私の手を取った。そして…そこに口づけをした。


…え?


「え?純…そこまでしなくて良くない?」


「吹雪にこうすれば雰囲気が良くなると聞いたんだがな…」


…おじさんの野郎め。後で覚えてろ。


「社長!!…え?」


ドアを閉めて、純と話していたが突然ドアが開いた。書記が嬉しそうにドアを開けたのだ。大きな音を立ててドアが軋む。


…壊れるっつうの。


「…どうしたの?」


少し冷めた目で言ってしまったが気にしない。書記は目を何回か擦って口を開いた。


「そ、その手はなんですか?」


あ、純に手を持たれたままだった。


「「共闘の証」」


2人でそう同時に答える。



「…え?」


そう、2人で犯罪覚悟のハッキングをする。だから、一緒に頑張ろうっていう話をしていたんだよ。ん?違う?いや、これは共闘宣言をしていたんだよ。決して、変な茶番などではない。


「という訳で、書記。取り敢えず、失礼するね。しばらく秘密機器管理室に篭るから。警察来たら、適当に誤魔化して。まあ、ないと思うけど」


さりげなく、書記も巻き込む。



「では、社長、俺は先に行って準備しておくな」


「了解。よろしくね」


純は頷き、扉から出て行った。


「社長…」


書記の声が少し低くなった。これは反対されるのかな。


「安心して。絶対にミスらないし、一瞬で証拠抜き取るから」


「そっちを言ってるんじゃないんです」


書記が私の手を取った。


「そう気軽に人に手を触らせるんじゃありません」


そう言って、手にスプレーをかけた。


白雪社開発品:キラキラスプレー


説明☆このスプレーは主にテーブル、キッチンにお使い下さい。肌にも優しい。除菌や油汚れを落とします。どれも花の香りがして部屋の匂いも良くなります。※決して完璧に除菌できるわけではありません。食事にはかけないようにしてください。


って…おいおいおい。なにしてんの!書記!


書記は心配そうな顔で私を見つめ、凛々しい目を少し伏せた。


「社長が………汚れる」


私は即座に書記の手から逃れた。


「私は、もともと汚れてるんです!汚れるとかないんです!純は細菌じゃありません!」


もう!私を綺麗だとか言うのやめて欲しいよね!


「社長はお綺麗です!ずっと見ていたいくらいに!」


書記がそう言って、私に一歩近づいた。


ふと、書記の少し横に時計が見えた。午前11時。やばっ!早くしないと西園寺グループのセキュリティーが厳しくなる!


「ごめん、書記!そろそろやばいから行くわ!また、後で!」


そう言って、ドアを開けて早歩きをしだした。廊下は走っちゃダメだよ!




私がいなくなってしばらくして。


「あーあー、逃げられたね」


「葉月…見てたのか」


私が出て行った扉とは違う扉から葉月が入って来た。


「まあ、途中からだけど。社長は気づいてたよ」


「そうか…」


「まあ、そういう演技もいい加減にしないとウザがられるんじゃない?」


「…もうキャラ的に張り付いてるよ…」


葉月が書記を可哀想な目で見た。


「…お粗末さま」




その頃の私は


「やばい!あと20分じゃん!どうして最上階にそんな部屋作ったんだろ。地下とかに作ればよかった」


などとぼそぼそと呟いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ