クラスで合宿だ!3
勉強会も一区切りし、お昼。カラオケにて頼んでおいたパーティーメニューフルコースがやってくる。
「やっぱり最初は日向だろ!」
クラスの男子がそう言って、日向が苦笑いする。女子もノリノリで日向を促した。
日向が曲を検索して、予約した。曲は日向ソロの新曲。『今、目の前にいるのに…』だ。恋をしている相手が目の前にいるのに、手が出せない…。そんな歌らしい。つい2週間前に出した曲だ。
「わあ!新曲!」
有紗ちゃんが立ち上がって叫び、辺りを見回して静かに座った。日向がそれを横目に歌を歌い出す。
ふとした時に 目に付いた
彼女はもしかして
あの君なのか
気になりだしたら止まらない
自然と目が君を追ってる
伸ばしかけてやめた手は
宙をさまよい消えてく
いつか君に言いたいよ
君はあの君ですか
こんな感じの歌だ。私は亮くんからこの歌の歌詞を横流ししてもらった。いや、実体験をしたかのようにリアルな歌詞に驚いた。
『こんな詩を作れるなんて日向ってすごいよね!』
『いや、これは本当に体験したことなんじゃない?』
私が褒めれば、亮くんは少し考えた素振りをしてこう答えた。もしそれが本当なら日向は青春してるね!私はミジンコのミの字も青春してないよ!
日向が羨ましかった。
というわけで前回と同じ展開…かと思いきや、今回は美智ちゃんによるメモリアル攻めはなかった。
だから、私は事務所で新人のラティーという歌手のデビュー曲『花元の木』という歌を歌った。亮くん作曲で作詞はラティーだ。この曲のイメージと歌詞がとてもマッチしていて、ラティーのセンスの良さを表している作品である。私が歌うことで少しでも貢献できたらなって思う。
歌い終わってマイクを置けば、凄い拍手されていた。
「この曲、凄いね!感動した!」
なつちゃんがそう言って、笑ったのがとても印象に残っていた。
「後で、検索してみよう!」
と有紗ちゃんが言ってくれてたのが嬉しかった。
そして、公民館に戻り、再び勉強会。食事?食事はね、普通だったよ。可もなく不可もなく美味しかったよ。
今度の勉強会はカラオケの疲れもあってかみんなはかどっていなかった。少し、失敗したかな?そして、私はプリントがすべて終わってしまった。
~お風呂
銭湯に来た私たちは服を脱いで体を洗い、お風呂に浸かっている。
「ふあー、生き返る~」
美智ちゃんが親父くさくそう言った。
「今日は結構楽しかったね!」
「だよね!宿題もはかどったし、いい感じ」
なつちゃんと有紗ちゃんが満足げにそう言ってくれる。
「ところでさ、誠ちゃん、木村くんのことどう思ってるの?」
美智ちゃんが突然変なことを聞いてきた。
「木村くんのこと?」
「そうそう!わざわざ勉強教えてもらったりしてたじゃん!なんか…日向くんが羨ましそうに見てたんだよね」
なつちゃんが背中を壁につけた。
「ああ、そういえば!」
有紗ちゃんが水飛沫を飛ばして指を出した。
「ちょ、あーりん、こっちに飛んだ!」
その水がなつちゃんを直撃した。
「ええ~、ってことはもしかして…誠ちゃんが好きなのかな?」
美智ちゃんが身を乗り出して私を見た。胸の谷間が見えてますぜ。
「まさか、んなわけないよ。木村くんに教えて欲しかったんじゃない?」
何気に木村くんの教え方うまかったしな。
「え!?まさかのBL!?」
「BL!?ぶっはっ、うける!」
美智ちゃんが驚いたように叫び、それを聞いた有紗ちゃんがが吹いた。
「そしたら、絵になるよ!」
美智ちゃんが叫んだ声が壁の向こう側に聞こえませんように。
「あのさ、まこちゃんって胸綺麗だよね」
なつちゃんがいきなりそんなことをのたまった。
「え?」
「あ、そうそう。1番美しい胸だと思う」
有紗ちゃんも私の胸を褒めてくる。
「私が男だったら揉もうとしちゃうな。今も…」
そう言って、美智ちゃんは両手をわきわきしだした。
その後、なぜかクラス全員に胸を揉まれた。
「もう、お嫁に行けないよ…」
この呟きに反応した人は誰もいなかった。悲しい。




