社員旅行計画
早速、社員旅行の計画を練り上げることにした。放課後、いそいそと会社へ行き、会議を開いたが、なぜか白雪社系列の旅館に泊まることになった。
「…どうしてそうなったの?」
勝手に話が進められ、意見が通らなかった私は青筋を浮かべてそう言った。会議に熱を出していた7人の小人が反応してピタリと止まる。
静寂が会議室を満たす。
私はそれを気にせずもう一度問う。
「どうして、白雪社系列になったの?」
少し威圧をかけて言えば、おじさんが恐る恐る口を開いた。
「俺たちの仕事の成果も見えるし、自分たちの仕事がきちんと出来てたか実感したいからだ」
ん?仕事仕事って。あんたも仕事病?仕事やりたくて仕方ない系?
「…それは違う」
茜が腕を組んでそっぽを向いた。え?ここでツンデレ発動?
「他の会社の旅館に行っちゃうとアイデア盗んじゃうかもだし、社長にはじっくりと寛いで欲しいからだよね?」
琴音が白衣のまま、そう言って、茜の方を向く。
どうやら、本当にツンデレだったぽい。
「別にあんたのためじゃないんだからな」
ご丁寧にセリフまでどうも。
「それに、ここの旅館はスルメがデュフフフ」
「琴音、涎」
「わあ」
すかさず、進が琴音にツッコミ、琴音は驚いて涎をすする。
「私は、みんなの為に社員旅行しようと思ったんだけど」
「社長は…色々と頑張ってるからな」
純がそう言ってニカッと笑った。
「1番いい所持っていきやがった…」
おじさんがなぜか悔しそうに机を叩いていた。
えー、でも私は高校生とかわがまま言ったし、元々この会社は私のわがままで始まったし…。迷惑しかかけてなくない?
「やっぱりみんなが寛げるところが…」
「俺らももちろん寛げるよ」
琴音のスルメの話当たりから部屋に入ってきた葉月がふと口を開いた。
ぽかんとする面々。
「だよね?」
そんなことを気にせず、葉月はみんなに同意を求める。我に返ったみんなは首を勢いよく振り出す。
いまの有無言わせなかったよね?強制的に頷かせたよね?強引だよね?
「そうだ。俺らももちろん寛ぐ」
おじさんが棒読みで言った。
隣の茜や書記に叩かれている。
「あーあ、楽しみだな。社長、一緒に寝ない?」
亮くんがニコニコしてそう言ってきた。
「それは、警備課として反対させてもらう!」
純が慌てて立ち上がって言った。
「そうだ!貞操が危ない!」
おじさんがそう言って立ち上がる。
誰の貞操が?別に12歳の少年と一緒に寝て何が危ないの?私が亮くん襲うとか思ってる?私、そんな野蛮な人じゃないよ?
「何言ってんの、吹雪、純。貞操がうんたらかんたらとか。俺にも分かるように言ってよね~」
「くっ、この確信犯が!」
亮くんの言葉におじさんが眉を寄せてそう言った。何が確信犯なの?さっきから会話についていけてない。亮くんと寝たらいけないの?
「よし、社長は一人部屋隔離だな!」
「えー…」
ボッチで寝るの?隔離って何?私、寝癖悪い?
「社長、寂しいなら私が一緒に…」
書記が小声でそう聞いてきた。いや、書記と寝たらなんか嫌な予感がする。という訳で断る。
ショボンとした書記を横目に私はいい考えを思いつく。
「じゃあ、茜と琴音と寝ればいいじゃん!」
「それはだめだ」
進が即答した。理由は察しがついた。
「茜は俺と寝る」
すぐ様茜が立ち上がり、進にジャブをしだした。
聞いた?いまの聞いた?想定してたよ。だから、だからね?
ボイスレコーダーで録音しときました!
これを茜と進のファンクラブで美女と野獣について騒いでいる人に売る。きっと高くつくだろうな!
「ちょ、やめろよ。悪かったって!」
そう言いながら、進はやすやすと茜の拳を受け止めている。なんか、ボクシングジムのトレーニングみたいだ。
「じゃあ、琴音~」
「お断りします」
まだ言い切ってないのに即答された。
琴音はメガネを光らせてドヤ顔で言った。
「私はスルメ女子の方々と女子会ならぬスルメ会を開くんです」
なんだよ、スルメ会って…。スルメ女子って…。
「そこに私も」
「ダメです」
またもや即答された。
「スルメ会はスルメを愛する者達限定で行います。信仰するスルメ神にお祈りを捧げ、スルメを食べ、身を清め…」
あー、あー。長いので省略。このあと2分ほど琴音は口を開き続け、最後にドヤ顔をして口を閉じた。
「え~、一人やだよ…」
「じゃあ、俺が一緒に寝ようか?」
呟けば、葉月が珍しく真面目な顔でそう言ってきた。いつも眠そうなのにね。
「「「お前が1番危ない!」」」
いきなり、おじさん、亮くん、純が叫んだ。3人同時ってツッコミトリオか!
とにかく、誰か同じ部屋でワイワイして寝たかった。ただそれだけなんだけど…。それが許されないなんて…。
「誰か一緒に寝ようよ」
そう言えば、部屋がシーンとした。なんだいなんだい。みんなして…。…待てよ。まだ社員はごっそりいるよね?軽く1000人ほどはいるよね?
「じゃあ、他の社員と」
「駄目です」
書記が即答した。何故だと睨めば書記が無表情でこう言った。
「神聖な社長を汚染されている社員に触れさせるわけにはいかない」
しかも、両腕の肘をテーブルにつき、手を組み、顎を乗せてそう言う。
「…お前は何を言っている」
おじさんにすぐ様叩かれた書記。全く同意だ。
「はあ、じゃあアミダで決めようよ。この中で私と一緒に寝る人」
「「「「は?」」」」
結構な人がは?とか言ってるけど気にしない。
「でね、こういうの想定してアミダ作ってあったんだ!もちろん、進と茜と琴音は抜いとくね。他に参加したくない人いる?私が嫌いな人」
あえて、最後に私が嫌いな人を入れる。これぞ断られない策!もし、断られたら、私は嫌われているということ。諸刃の剣でもあるよ。
シーン。良かった。誰も何も言わない!
「じゃあ、回すから線つけてって」
もう、名前は適当に書いたから、線だけなんだよね。
そう言って書記に紙を回す。
書記は真剣な顔つきで計算を始めた。
「確率は5分の1。そして、線を引くことによってできる方程式は…」
ぶつぶつ呟きながら、線を引いていく。そもそも、計算した所で当たる位置わかんないんだからどうしようもないと思うけどね。
みんな真剣な顔で線を引いていく。そこまで真剣にやらなくても…。そんなに私と同じ部屋嫌だ?
何だか、気分が落ち込むなあ。
肩を落としてれば茜と目が合った。
「呪われないことを祈る」
なんか…不吉なこと言われたんだけどどういうこと?私、悪いことした?
あ、結局社員旅行は白雪社系列で、…他決まってないじゃん。
よっしゃあ!これで四月は終わりです(*^^*)
次回からは五月となりますm(_ _)m
スルメ女子は造語です。もちろん、スルメ会も造語です。




