後ろに視線を感じる
はい、赤羽くんと屋上で話して別れて放課後。
何かね、後ろに視線を感じるんですよ。まだ学校にいるから誰かが遠巻きに見ているのかなと思われる。
でもこの視線は書記に似たものを感じる。まさか書記は学校にいるまい。ていうかいたら、減給だよね。
普通に校舎を出よう。下駄箱へ行き、靴を履き、外へと出る。少し暖かい春の風が頬へ触れた。
残念、視線は外れない。こういうのは、後ろとか振り返らずに適当に歩いて相手の後ろへ回ろう。
校門を出て、真っ直ぐ進む。会社へ向かいながら巻く。この戦法に決めた!
二つ目の信号機を右!そこで、人にぶつかってしまった。
「ぶっ、すいません…」
人の胸の当たりに鼻が当たった。男の人だ。
「いえ、こちらこそすい…」
あれ?この声?思わず上を見れば、驚いた顔の書記がいた。
「え?なんでここに…」
「しゃちうむむむむ」
今は尾行されてるから!私の役職呼ばないで!という意味で口を塞ぐ。
「ごめん、少し尾行されてるんだよね。歩いて会話しよう」
そう言って、手を離す。
「ふふふ、手にキス…ふふふ」
何故か書記は不気味に笑って歩き出す。道行く人が変な目で私たちを見る。
やめて!私は変な人じゃない!
「ふざけてないで、ストーカー巻かなきゃ!」
小声で怒れば書記がピタリと止まった。
「…ストーカー」
あ、さっきの尾行云々は聞かれてませんでしたか。
「それは…私の役職ですよ。喧嘩売ってるのかなんだかわかりませんが、私がぎったんぎったんにしてきます。なので、先に行っていてください」
あれ…ストーカーって役職だったっけ?というか犯罪だよね?捕まるよね?
それにぎったんぎったんって何するつもり!?
「お願いだからあんまりやらかさないでね?」
恐らく私の笑みは今引き攣っている。書記はそんな私に満面のイケメンスマイルを向けて言った。
「もちろんですよ。私が何をやらかすと言うのです?」
すぐに歩き出す書記。これはやばい。絶対なにかやらかすぞあいつ。
とにかく、私は何もカンケイシテイナイ。そうだ。そうしておこう。
心に汚い決心をして前を見れば、女性の何人かが気絶していた。…書記にやられたのかな。これだから無駄にイケメンは…。
それに書記はなんでここにいたんだ…。とにかく、減給なのは間違ってないよね?
次も投稿してありますm(_ _)m




