誠の休日、第3課
ふう、第2課疲れた…。
クールな茜のテンションに追いつかず、逃げるように出た次は、その彼氏の第3課。
野性味あふれる笑みを浮かべる進の課である。
第3課は第2課の上の階にある。インテリアや建築、電気系。そういうのを担当している課だ。そのため、大工さんらしき男の人が多い。
ドアを開けて、周りを見渡せば凄く静かだった。並べられた机。誰もが話さず、デスクワーク励む素晴らしい仕事場。私は、彼らの集中を遮らないために無言で進の課長室までむかう。
コンコンコン。ドアをノック。
「白霧です」
「入れ」
業務のような挨拶で室内に入り、両脇に固められた本棚に、ブラインドを背に座っている進が出迎える。
「悪いな。仕事…ない」
仕事を貰おうと口を開けば、すぐにそう返された。
「…え?」
「うちはしっかりしてるからな。という訳で帰っていいぞ」
え?仕事…監査はいいの?
「いらんな」
心の内を代弁するかのように口を開いた進。
私は開いた口がふさがらなかった。
「まあ…今日は俺のところで最後なんだろ?家に帰ってゆっくり休めよ」
優しく労るように言う進。
そう言われたら、帰るしかないじゃないかよ…。
「分かった…ご苦労さまです」
おそらく嫌そうな顔をしていたんだろう。進が苦笑して私に手を振った。
~
「ーという訳でさ、午後は空いてるんだよね」
現在、会社を離れ自宅。私の家は二階建ての一軒家。書記に車で送ってもらい、暇なのでお喋り中。
書記は少し笑いながらもキッチンでお茶を淹れてくれる。
「それはラッキーですね」
「何がラッキーなの?私のこと知ってるでしょ?」
「社長の仕事中毒は末期ですね~」
「そう!今もパソコンを開こうとしてハッとなった所なんだよね」
「では、私とデートはどうですか?」
「は?」
え、何言ってんの、コイツ…。
「この前、帰り道に美味しそうなパフェ見つけたんですよ。カップル限定だったので一緒に食べませんか?」
書記はイケメンスマイルで私に頼んでくる。思わず私もクラっときたよ。
でも、でもね?書記だから!
今も私が飲んだお茶の淵をティッシュで拭い、ティッシュをポケットにしまう書記。それ捨てるよね?捨てるんだよね?
「あはは、断るよ」
「そうですか…残念です」
本当にしょぼんとしてしまう書記。ここで罪悪感を感じてはいけない。心を鬼にして無視する。
コラ!チラチラ見たって効かないからね!
「とりあえず、今日は家にある本読みまくるわ」
「わかりました。では、帰りますね」
「はーい、気をつけてね」
よし、本読もう!書記が家を出たのを確認し、鍵をかけて、書斎へ向う。
実は私写真脳なんだよね。一度見たのは忘れないっていう…。
色々な本を積んでテーブルに座り、私は読書を開始した。
次話から学校メインになります!
書記のティッシュの用途が気になる…。




